①未明(みめい)
掲載日:2026/05/21
(世界はいつだって不公平だ)
日が昇るのまだ、濃紺の空をみながら呟く
雪のちらつく世界の中
凍える指に息を吹きかける
水汲みしないと…
仕事をしないと…
そっと腫れた頬をなでる
歯を食いしばり、重くなった桶を井戸から引き上げる
「あ」
ロープが手から滑り
嘲笑うかのような音を立てる
パシャン
桶が底につくと、ため息が漏れた
(…また始めからか)
ふと視界に陰が入るり
何だろ?と顔をあげたその時!
…ぐっ!
喉笛に、オオカミが…
痛い、息ができない、なんで?
段々と意識が遠のく…
最後に思う
(やっぱり世界は不公平だった…)
本作は、雰囲気と読後感を重視した短編実験として書いたものです。
シリアスな空気を短い文章の中でどこまで成立させられるかを試しています。




