第4話:国宝級のナイフと、最恐魔女を骨抜きにする『超振動破甲兵器(※マッサージガン)』
「あ、ありがとう……! この御恩は一生忘れない!」
ミスリルのナイフと引き換えに『FRISK(※聖級の精神高揚薬)』の小箱を手に入れた三人組の冒険者たちは、何度も頭を下げながら迷宮の上層へと帰っていった。
彼らの足取りは、先ほどの遭難者とは思えないほど軽く、信じられないスピードで暗闇に消えていった。恐るべし、ミントの力。
「さて……」
俺は手元に残された、淡い銀色の輝きを放つナイフを見つめた。
ミスリル。魔力を通しやすく、絶対に錆びないと言われる伝説の金属だ。王都のオークションに出せば、小さな家が建つほどの価値がある。
俺は少し手が震えながらも、それを目の前の光る板に近づけた。
『ピロンッ! 国宝級アーティファクトを吸収しました。5,000,000ptチャージされました』
「ご……ごひゃくまんっ!?」
俺は思わず裏返った声を上げた。
スライムの魔石が150pt。あのブラッド・ミノタウロスの極上魔石でも5万ptだったのに。
500万ptって……これでシーフード味のカップ麺が三万個以上買えるぞ!? 一生遊んで暮らせる!
「騒々しいぞ、アルト。たかが人間の玩具一つで」
折りたたみ椅子でくつろいでいたエレノアが、呆れたようにため息をついた。
彼女はさっき、テントに近づいてきたキメラの群れを『ちょっと肩が凝っているから』という理由で、準備運動がてら全滅させてきたばかりだ。
「そういえばエレノア、肩が痛いって言ってたよな?」
「うむ。長年、勇者どもと戦い続けてきた古傷もあってな。迷宮の湿気で時折、筋肉が石のように強張るのだ」
魔王軍幹部でも肩こりには勝てないらしい。
俺は500万ptの圧倒的な財力に物を言わせ、ウィンドウの『家電・健康グッズ』という未知のカテゴリーを開いた。
そこで、一つの奇妙なアイテムが目に留まった。
【筋膜リリース・マッサージガン(強力振動・4種アタッチメント付き) 特価:4,800pt】
古代文字は読めない。だが、その絵とフォルムは……どう見ても銃か、何かを打ち砕くための鈍器だ。
「これだ……! 間違いない、装甲を持った魔物を粉砕するための『超振動破甲兵器』だ!」
俺は即座にポチり、いつものように異次元ロッカーからそれを受け取ってきた。
黒光りするT字型のフォルム。先端には丸いゴムのような球体がついている。
俺が側面のスイッチを入れた瞬間。
——ヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ!!!
「うおっ!?」
俺の腕全体が痺れるほどの、凄まじい高周波振動が始まった。
間違いない、この先端を敵の鎧に押し当てれば、内部から木端微塵に破壊できる凶悪な武器だ!
「おい、アルト。その禍々しい黒い塊はなんだ……? 魔力は感じないが、空間そのものを震わせるほどの振動……まさか、城壁を崩すための攻城兵器か?」
エレノアが警戒して身構えた。
「いや、違うんだ。エレノア、ちょっと後ろを向いて座ってくれないか?」
「な、何を企んでいる……? まさか私を背後から……ひっ!?」
俺は容赦なく、振動するマッサージガンの丸い先端を、エレノアの華奢な肩(一番凝っていそうな部分)に押し当てた。
「あ、あぁぁぁああぁっ!? な、なんだこれはぁぁぁ!?」
エレノアが奇声を上げた。
「私の、強靭な魔族の筋肉が……内部からドロドロに溶かされていく……! 骨の髄まで響く、この圧倒的な暴力……!! なのに……っ!」
エレノアの体がビクンビクンと跳ね、彼女の口から今まで聞いたこともないような、甘ったるい声が漏れた。
「ああっ……! そ、そこ……そこだ……! もっと……もっと深く……! 勇者の聖剣で斬られた古傷の強張りが……嘘みたいに解れていくぅぅ……!」
最強の魔女は、完全に白目を剥いていた。
顔は真っ赤になり、口元はだらしなく緩み、威厳もクソもあったものじゃない。
「ふぅ……。現代の破甲兵器って、治療にも使えるんだな」
俺が三分ほど肩や背中に当ててからスイッチを切ると、エレノアはスライムのように折りたたみ椅子にぐったりと溶けていた。
「はぁ……はぁ……。アルト……貴様という男は……」
彼女は涙目のまま、俺をねっとりとした熱い視線で見上げた。
「私の魂まで……その謎の振動で支配する気か……。いいだろう、今日から私の肩は、お前のものだ……毎日これを要求する……」
こうして、500万ptという莫大な資金と、完全にマッサージガンの虜になった最強の用心棒を手に入れた俺の迷宮ライフは、いよいよ本格的な軌道に乗り始めたのだった。
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(PVが急激に伸びていて驚いています!読者の皆様、本当にありがとうございます!)
次回はいよいよ、500万ptを使った「店舗改装(?)」が始まります。お楽しみに!




