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追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる ~「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら、世界中がパニックになっていますが?~  作者: あとりえむ
第9章:富士山大噴火

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第44話:八岐の暴水『ヤマタノノズル』

「力技でぶち抜くぞ」


 灰坂ソウジは、トラックに積んだ超高圧コンプレッサーのエンジンを全開にした。

 彼の手には、金属製の奇妙な先端パーツがついた漆黒の太いホースが握られている。


『ブハハハッ! 何ヲ持チ出ス魔道具カト思エバ、タダノ黒イ紐デハナイカ!』

『酸ガ効カズニ自暴自棄ニナッタカ、人間!』


 マグマの海を塞ぐようにスクラムを組む牛頭ごず馬頭めずの大群が、腹を抱えて笑い声を上げる。

 彼らの分厚い皮膚と筋肉は、魔法も砲弾も通さない難攻不落の城壁だ。


「笑ってられるのも今のうちだぞ、ラード共」


 ソウジはホースの先端──八つの噴射口を持つ特殊ノズルを、敵の大群へと向けた。


「配管清掃用の洗管ホースってのはな、先端から『後方』に向かって超高圧の水を噴射するんだ。その猛烈な推進力で、自ら配管の奥へ奥へと自走しながら、こびりついた汚れを粉砕していく」


 ガチャン! と、ソウジが手元のトリガーを引いた。


「こいつはウチの特注品だ。八方向への超高圧スピン噴射で、どんな強固な油脂もミンチにする。──行け、【ヤマタノノズル】!」


 ドギュルルルルルルルルルルッ!!!


 凄まじい轟音と共に、ノズルの後方八箇所から、カッターの刃のように鋭い超高圧の浄化水が噴出した。

 その圧倒的な推進力により、漆黒のホースはまるで『八つの頭を持つ水の大蛇』のように荒れ狂いながら、ソウジの手を離れて牛頭馬頭の群れへと突進していった。


『ナッ!? グァァァァァァァッ!?』


 先頭にいた牛頭の巨体が、回転するヤマタノノズルによって一瞬でえぐり取られた。

 超高圧の水流は、彼らの誇る「厚き脂肪ラード」も「剛毛(馬の毛)」も関係なく、紙くずのように切り裂き、粉砕していく。


『ヒィィィンッ! 止メロ! 防御構エ──ギャアアアアッ!』


 馬頭たちが慌てて巨大な防御体制を構えるが、自走するノズルは彼らを貫通し、さらに軍勢の奥深くへと潜り込んでいく。


 ギュルルルルルルルルッ!!

 ズババババババッ!!


 ホースは生き物のように身をよじらせ、八方向へウォーターカッターを撒き散らしながら、数万匹の鬼が密集する「肉の壁(油脂の詰まり)」の中をドリル状に掘り進んでいった。


『エグいエグいエグい!!』

『ホースが完全に生きてる! 大蛇だ!』

『S級上位の鬼が、ミキサーにかけられたトマトみたいになってるんだが……』

『ヤマタノノズル(物理)』

『これが……お掃除……?』

『水道局の最終兵器』


「よし、順調に食い込んでるな。コアちゃん、ミカエル、ホースが絡まないように送り出してやれ」


「はいマスター! スルスル行きますよー♪」


「お任せください、ソウジ様!」


 コアちゃんがニコニコしながら、コンプレッサーから伸びるホースをナラカの穴へとどんどん送り込んでいく。それをミカエルが、途中で絡まないように飛びながら調節する。

 やがて、ホースが数百メートルほど深部へ到達した時だった。


 ドシュゥゥゥゥゥゥンッ!!!


 地鳴りのような音と共に、ノズルが牛頭馬頭の最深部(詰まりのコア)を完全に貫通した。


「抜けたぞ! バルブ解放、圧力を逃がせ!」


 ソウジの合図と同時に、マグマ溜まりを塞いでいた「栓」が崩壊した。


 行き場を失っていた超高圧の火山ガスが、「プシュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」と凄まじい勢いで上空へと噴出していく。

 それはまさに、ボイラーの安全弁が正常に作動し、危険な蒸気が一気に抜けた瞬間だった。


「おおおっ! 社長! マグマの液面が、信じられないスピードで下がっていきます!」


 剣崎が歓喜の声を上げる。

 圧力が抜けたことで、逆流しようとしていたマグマが本来の地下深くへと引いていく。

 そして、粉砕されてドロドロになった牛頭馬頭(ラードと毛髪の塊)たちもまた、重力に従ってマグマと共に「下水の底(ナラカの最深部)」へと勢いよく流されていった。


『アビャァァァァ……ッ(流サレルゥゥゥ……)』


 ***


 一方、その頃。

 富士山のさらに地底深く、ナラカの最下層にある『閻魔の御殿』では。


「ふははは。ワシの先陣部隊が、今頃地上を火の海に変えておる頃じゃろう。そろそろ、この閻魔大王様が直々に降臨してやろうかのう」


 超巨大な炎の魔神・閻魔大王が、玉座から立ち上がり、マントを翻して堂々と出陣しようとしていた。

 しかし。


 ゴボゴボゴボッ! ズザザザザザァァァァッ!!


「……ん? なんじゃあの、上から降ってくる大量の水と、肉片の塊は?」


 閻魔大王が見上げた先、ナラカの縦穴から、超高圧の浄化水と共に、原型を留めていない牛頭馬頭のミンチが、まるでナイアガラの滝のように降り注いできた。


「えっ? ちょっ、待っ──」


 ドバアァァァァァァァァァッ!!!


 逃げる間もなかった。

 地獄の王は、自らの配下の残骸と大量の水に押し流され、さらに深い奈落の底へとグルグル回転しながら流されていった。


「ワシ、マダ、一言モ喋ッテナイノニィィィィィィッ……!!」


 ***


「……よし。ボイラーの詰まりは完全に抜けたな」


 地獄の王が流されたことなど知る由もなく。

 火口でホースを巻き取りながら、ソウジは満足げに頷いた。


「あとは、ヒビ割れた配管(火口)を『パテ』で塞げば修理完了だ。セシリア、あれを持ってこい」


「はい! 準備できておりますわ!」


 噴火の危機は去った。

 だが、ソウジの過剰な「仕上げ作業」が、富士山という日本の象徴に、とんでもない変化をもたらすことになろうとは、まだ誰も予測していなかった。


(続く)

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あなたの一日がピカピカでありますように


あとりえむ 作品紹介

地球の『受理』を以て、僕の存在を証明する。 やっぱりせかいはまあるいほうがいい 監査の魔王 至高のミミちゃんを見守る会 君が遺した種子は、森には還らなかった。

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