2話 大丈夫かっ!?
リラが強く鈍い音を立てた直後。タマは慌てた様子で彼女に近寄った。
「大丈夫か!?」
明らかに大丈夫そうではない音にタマが心配そうにたずねる。そんな様子とは裏腹にリラも同じように慌てた様子で答えた。
「わわっ!? だっ大丈夫です。わっ私、おっちょこちょいですけど、石頭なのでっ!?」
「頭打った場所を確認しても大丈夫か?」
「はっはい。お願いします」
「なら。少ししゃがんで」
「わっわかりました」
タマはリラに指示を出すとリラが頭を打ち付けた場所を確認する。リラの頭部にはたんこぶや傷はなく問題はなさそうであった。
「ケガやたんこぶは……ないみたいだな。一応大丈夫そうだけど、この後のオリエンテーションが終わったら保健室か病院の専門の人で確認してくれ」
「やっ優しい……同性だけど惚れてしまいそうです。あの子と大違いです」
タマの言葉にリラが小さくつぶやく。ケガの確認に集中していたのかタマは声が聞こえたことに気づいたのか頭を傾げた。
「何か言ったか?」
「いっいえっ!? なんでもないですっ!?」
「そうか? まぁ、何かあったら言ってくれよ」
「き、気を付けます」
「うん。もういいぞ」
「はっ。はい」
タマの言葉にリラは少し離れる。リラは安堵した様子で言葉を続けた。
「でも、良かったぁ。教室に入ったら男の子しかいなくて少し心配だったんですよ」
「分かる。弟子であっても異性だけしかいない空間は緊張する」
リラの言葉に洋子が同意する。それにタマは蘆屋と紅蓮を見てたずねた。
「そうなのか?」
「俺らに言われても分からねぇよ」
「そうだな。アンナさん。分かりますか?」
「そんな事聞かれても私は人形だから分からないわ」
「だそうだ」
タマの問いに男子2人が答える。タマは思いついたように言った。
「そうなのか。あ。そうだ。これ終わったら学園内を探検しないか?」
「おっ。いいな。これから学ぶ場所だけど面白そうなものが多そうだ」
「面白そうね」
「アンナさんも興味がありますか?」
「ええ。一緒に行きましょう」
「ええ。喜んで」
タマの提案に紅蓮と蘆屋が乗る。そんな反応にリラと洋子は顔を見合わせた。
「あの。もしかして……」
「ん。警戒心は極薄。たまに私も心配になる」
「やっぱり」
深刻そうにする2人はタマを見る。タマは少し後ろへ下がった。
「どうしたんだ? 少し怖いぞ」
「タマちゃん」
「あ、ああ。なんだ? 水野さん」
リラがタマを覗き込むように近づく。タマは困惑しながら聞き返すとリラが真顔で言った。
「私の事は呼び捨てでリラと読んで下さい。タマちゃんはもう少し異性のお相手を警戒してください。初対面ですけど、危なっかしいですよ」
「そっそうなのか?」
リラの警告にタマは頭を傾げる。それにりらはうなずいた。
「はい。ここまで警戒がないのは流石にどうかと思いますよ? もし、悪い人だったら攫われてしまいますよ?」
「おっおう。気を付ける」
タマが返事をするとリラはゆっくりとうなずいた。
「分かってくれてよかった。改めてよろしくお願いしますね。タマちゃん」
「うん。よろしくな。リラ」
「はい。蘆屋さんと紅蓮さんが行くなら私と葛葉さんも同行しても大丈夫ですよね?」
「お、おう。2人も良いか?」
笑顔であるが、少し重いリラの言葉に対して背後の男子2人にたずねる。紅蓮と蘆屋は無言でうなずいた。
「いいみたいだから大丈夫だぞ」
「はい。良かったです」
「ん。私の意見は聞いてくれてない」
リラが笑顔のままうなずくと横で巻き込まれた洋子が不満そうにつぶやく。タマは洋子にたずねた。
「効かなくても勝手に着いてくるだろ?」
「ん。以心伝心。つまり相思相愛」
「待って。何でそうなるの?」
返って来た洋子の言葉にタマは困惑する。このまま話を続けるのは不味い判断したタマは話題を変えてリラにたずねた。
「そっそういえば席って決まってるのか?」
「えっと。席は好きに決めて大丈夫らしいです。生徒全員が集まる事は滅多無いらしいので」
「そうなのか?」
「ん。学園での授業は確かにあるけど、それ以上に学生用の九十九士としての依頼が重要」
「依頼?」
「そんなものがあるのですか?」
洋子の言葉にタマと一緒に居るパンドラが反応する。
「はい。通常の学園と異なるのはこの依頼という形式です。学園の依頼をこなすと単位という形で得る事ができるんです。その単位を使う事で一部の授業の免除やテストのみ問う形で軽減を行う事が出来るのです」
「そうなんだ」
「そうなのだっ!」
「っ!?」
タマの言葉に男の大きな声が聞こえた。タマは体を震わせると背後を振り返る。振り返った先には刀を持ち、いかにも鍛え抜かれた筋肉が浮かんだジャージ姿の男が教室に入って来た。
リラとの会話を中心に教室でのやり取りのお話。




