2話 本当に分かるの!?
弾が自身の体を確認して叫んだ直後。その声にパンドラが目を覚ました。
「うぅ。何が起こったのですか?」
パンドラは箱の上から起き上がる。パンドラの声が聞こえると弾はパンドラの方を向いた。
「おっ!? 起きたのか!?」
「どっ!? どなた様!? むぎゅっ!」
少女の姿となった弾がパンドラを掴む。そのまま前後に揺さぶりはじめた。突然の出来事にパンドラは訳が分からないといった様子で混乱する中で弾は叫んだ。
「俺だよっ!? 俺っ!? さっき契約しただろ!?」
「うぶぶぶっ!? すっ! ストップですよっ!? 可憐な人の子よっ!? 今、確かめるのです!?」
パンドラがそう言うと荒ぶっていた弾が止まる。弾は手のひらを広げてパンドラを乗せる。パンドラは眼に青い光を灯しながら弾を見た。
「ふむ。どれどれ……なるほど? ……ふあっ!? 本当にさっきの人の子です?! 何で女の子になってるのですか!?」
「ああ。そうだ。それと俺の名前は弾だ。どうなってるんだ!? これ?」
パンドラが驚きの声を上げる。弾が肯定するとパンドラは頭を横に振った。
「弾ですね。弾。今の貴女の状態の詳しい原因までは分からないです」
「おいっ」
弾はパンドラを睨む。パンドラは怯む様子もなく、言葉を続けた。
「でも、私と契約してダンボールの戦士になったと同時にそうなったという事だけは分かったのです」
「それは分かるのか?」
「私そっくりの美少女なのもありますが、確かにしっかりと私との繋がりあるのです。間違いなく、さっき私と契約してくれた人の子であるのは間違いないです」
パンドラがはっきりと答える。弾は頭を傾げた。
「……そんなにそっくりなのか?」
「はい。髪質や目つきは違いますが、それ以外は私とそっくりさんです」
「嬉しくない……」
「なにおー。せっかくの美少女ですよっ! 神々の世界でも美少女神コンテストで愛らしさNo.1を取った事のある自慢の見た目なのですよっ!」
弾がげんなりした様子で答える。弾のその反応にパンドラは怒る。少しするとパンドラは気の抜けるようにその場にへたり込んだ。
「ふわぁ…………」
「どうしたんだ?」
弾がたずねるとパンドラは答えた。
「……うぅ。力が抜けるのですぅ」
「大丈夫なのか?」
「……さっきみたいに死にかけてた訳ではないので大丈夫です。ですが、力のほとんどが弾に流れたみたいです」
「力を?」
「はい」
弾の問いかけにパンドラは素直に答える。弾は心配そうに言った。
「…………回復は出来るのか?」
「時間はかかりますが、問題ないのです」
「そうか。ひとまず死ななくて良かったな」
「……私のせいで女の子になったかもしれないのに私の心配してくれるのですね?」
弾の言葉にパンドラはたずねる。
「故意じゃないんだろ?」
「当然です。契約は初めてではないですが、契約の途中から意識が飛ぶなんて例外は初めてですよ」
「それなら怒りをぶつけ続けるのも筋違いだろ。さっきはカッとなって悪かった」
弾は頭を下げる。それにパンドラも同じように頭を下げた。
「いえ。いきなり性別が変わって気が動転するのは当然ですよ。私も戻る方法を探す為にできる限り力を貸しますよ」
「おう。よろしく頼む。えっと……すまん。名前忘れた」
弾は申し訳なさそうにパンドラにそう言うとパンドラは笑顔で答えた。
「パンドラですよ。親しみを込めてパンドラちゃんでもいいですよ?」
「よろしく。パンドラ」
「むぅ。まだ、好感度は足りませんか。でもよろしくです」
弾が指先を出すとパンドラは両手を伸ばして握手をする。お互いに仲を深めると弾の背後から扉が開く音がした。
弾が振り返ると穏やかそうな女性が出て来る。弾と目が合うと女性は声を掛けた。
「あら? 人がいるわね? さっき凄い光があったけど、何があったの?」
女性が話しかけると弾の手のひらに居たパンドラが再びダンボール箱に乗って弾の耳元へ移動する。パンドラは弾の耳元でたずねた。
「どなたですか? どことなく弾に雰囲気は似てる気がしますが?」
「俺の母さんだ。母さん。俺だよ。俺」
「私にはそんな可愛らしい娘はいないですよ? 居るのは可愛い息子が2人に夫だけですが?」
弾の母は頭を傾げる。弾は今の姿が大きく異なっている事に気づくとその場で膝をついた。
「そうだったっ! 今の姿違うじゃんっ!? 分かるわけないじゃん!」
「あらあら? もしかして弾ちゃんかしら?」
「「!?」」
弾の母の言葉に弾とパンドラは同じような顔で弾の母を見る。その反応に弾の母は花が開く様な微笑みを浮かべた。
「やっぱり弾ちゃんじゃない。女の子になったみたいだけれど、どうしたの?」
「本当に分かるの!?」
弾は思わず聞き返す。弾の母は力強くうなずいた。
「もちろんよぉ。さっきの落ち込み方は正しく弾ちゃんよ」
「そんな所で見分けたのっ!?」
想定よりも嬉しくない見分け方に弾が驚愕する。
「ふふっ。母親が我が子の動きや癖を見分けられないわけないじゃない。見た目は変わっちゃっても目元や口調なんかもそのまんまだから良く分かる輪」
「……」
弾は母の言葉に動きが止まる。弾の母は息子の肩の方にいるパンドラを見つけると彼女にたずねた。
「それにしても肩に居るのはツクモ神かしら? 貴女が息子を娘に変えた元凶?」
「確かにその通りかもですが、今回のは完全に事故なのです」
「そうなの?」
パンドラがそう答えると弾の母は自身の息子に問いかける。弾は素直に答えた。
「うん。そこに居るパンドラを助けようとして気がついたら……」
「あらあら。それは災難だったわね。とりあえず中に入りなさい。流石に女の子なのにその格好は少しはしたないわよ」
「う、うん」
弾の母が優しく招き入れる。弾はパンドラを肩に乗せて落ちたズボンとパンツとダンボール箱を持って家の中へと入った。
弾が女の子になってからの混乱と弾の母親のお話。
次回は事情説明とこれからについてのお話の予定。12/3(水)頃の予定です。
ここまで読んで下さりありがとうございました。次回もお楽しみに。




