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1話 よろしく

 入学式を終えた後。生徒達は列について行く形で校舎内の通路を進む。一番離れた校舎の1階を進んで行くと生徒達はそれぞれの教室へと別れて行くと金髪の少女は移動する生徒達から少し離れて立ち止まった。


「ここが……」

「学び舎ですか」


 生徒達が移動していく姿を見ながらダンボール箱を持った金髪の少女タマとダンボール箱に入って空を飛んでいるタマをそのまま小さくしたような少女のツクモ神のパンドラが教室の前でつぶやく。人の視線が少ないのを確認するとタマはたずねた。


「そろそろ大丈夫そうか?」

「そうですね。ダンボール・ステルスを解除しますよ」

「ああ」


 タマがうなずくとパンドラはダンボール・ステルスを解除する。その場で立ち止まっているタマとパンドラに対して背後から声が聞こえた。


「もういい? 早く教室に行こ?」

「あ。すまん。葛葉さん」


 タマは一緒に歩いて来た葛葉 洋子の言葉に謝る。目的の教室まで移動すると後ろの教室の扉から中を見る。教室の中にはタマと洋子を除いて3人の生徒がいた。


「なんで覗いたの?」

「いや。初めてだと緊張しちゃって」


 ためらうタマに洋子はジト目で見る。気まずくなったのか話題を変えるように言葉を続けた。


「なっなぁ? 葛葉さん。なんで中の生徒が少ないんだ?」


 10個ある席に対してタマ達を含めて5人の生徒の数に頭を傾げる。そんな疑問に洋子が答えた。


「ん。九十九士学園は名前の通りに九十九士を育成する学園。タマは私と同じ交神科。だから少ない」

「うん? 確かに案内にはそう書かれてたな。それがどうしたんだ?」


 洋子の言葉にタマは九十九士学園の入学案内の内容を思い出しながらたずねる。


「交神科は高位のツクモ神と契約した人が来る科。私みたいな古くからの契約している一族やタマみたいに突然変異じゃなければいないから少ない。それに家のお勤めとかで来れない生徒もいる」

「なるほど。それで少ないのか。ちなみに葛葉さんは全員知り合いなのか?」


 タマは納得しながらたずねる。洋子はうなずいた。


「一応、家の関係で軽くは知ってはいる。ただ、お互いに認識はしているけど、特に話をしたりとはないから友人であるとかではない」

「そうなのか」


 タマは洋子に言われた生徒を見る。綺麗なドレスを着た人形を机に置いた落ち着いた感じの青みがかった黒髪の少年と活発そうな赤髪の少年の2人が会話をしており、少し離れた場所では緊張した様子のおっとりそうな女の子が席に座っていた。


「は、入るぞ」

「うん。そんなに緊張しなくても噛みついて来たりはしないから安心して入ると良いよ」


 洋子が少し呆れた様子でそう言うとタマは扉を開ける。扉を開ける音に反応して生徒の3人の視線がタマと洋子の方に集まった。


「わっわぁっ! すんごい美人さんとかわいい子だ」

「おっ。おっす。葛葉師匠じゃねぇか。やっぱりこのクラスだったか」

「紅蓮。葛葉様に失礼だぞ。こんにちは。葛葉様。それと見かけない顔だな。外国の子か?」


 同性の子が2人入ってきたことに表情を和らげる少女と洋子に対してラフな反応を見せる赤髪の少年とそれを窘めながらタマに興味を示す青みがかった黒髪の少年がタマ達を見る。


「ん。紅蓮はもう少し目上の人に対しての敬語を覚えるように。大輔は固すぎ。同じクラスメイトだからさんでいい。依頼が来た時に苦労するよ? 」

「うへぇ。頭の固い上の連中の相手とかは大輔とか師匠に任せるんじゃダメか?」


 紅蓮と呼ばれた少年は顔をしかめながらそう言うと洋子は頭を左右に振った。


「ダメ。今はそれでもいいかもしれないけど、卒業した後のお勤めとかで支障が出るよ? 紅蓮の家だと分家の年上の人の中に虎視眈々と狙ってる人いるでしょ。その人に敬語もできない若造とかで舐められるけど、それでいいなら別にいいけど?」

「うっ。やっぱダメかぁ。真面目に覚えるしかないかぁ」

「ん。精進すべき」


 洋子の言葉に紅蓮と呼ばれた赤髪の少年は渋い顔をしながらもうなずくと洋子の隣にいるタマに気づいたのか声を掛けた。


「っと。初めましてだな。自己紹介しようぜ。俺は来夏(らいか) 紅蓮(ぐれん)。紅蓮って呼んでくれよな。もちろん呼び捨てだぜ?」

「あ。ああ。分かった。俺は環 タマ。俺そっくりな方がパンドラだ。よろしく。紅蓮」

「パンドラなのです。よろしくなのですよ」


 人懐っこい笑顔で紅蓮が名乗るとタマとパンドラは名乗り返す。互いに相手の名前を認知すると紅蓮は隣にいる青みがかった黒髪の少年を指して言った。


「おう。よろしく。環さんとパンドラさん。で。こいつは大輔。俺のダチだ」

「雑過ぎだろうが。環さん。すいませんね。私は蘆屋(あしや) 大輔(だいすけ)と申します。でこの子は私の相棒のアンナさんです」


 蘆屋はそういうと机の上の人形も一緒に紹介する。タマは人形を見る。若干デフォルメされた少女の人形はフリルとリボンがたっぷりの黒いドレスを纏っていた。


「あ、ああ。よろしく。蘆屋さん。それとアンナさんもよろしくな。」

「ええ。よろしくね」


 タマが蘆屋とアンナと呼ばれた人形に対してよろしくの挨拶をすると返事が返って来た。


「しゃっ喋った!?」

「ええ。ツクモ神なのだから喋るのは当然でしょう?」

「そっそれもそうか」


 アンナがそう言うとタマは納得した様子を見せる。それに意外そうな声が返って来た。


「あら? 順応性が高いのね。あそこの赤髪の子はしばらくビビってたのに」

「びっビビってねぇぞ。ただ、呪いの人形なんて何されるか分からないんだから慎重になっただけだ」

「ね?」


 アンナが同意を求めるようにたずねる。タマは苦笑しながらそれにうなずいた。


「そうみたいだな。ちなみにアンナさんってなんのツクモ神なんだ?」

「ああ。見ての通り人形のツクモ神だ」

「大輔の言う通りよ。貴女は気に入ったから力を貸してほしかったら言いなさい。大輔の手が空いてるなら力を貸してあげるわ」

「分かった。その時はよろしくな。アンナさんも困ったことがあったら言ってくれよな」

「ふふっ。良い子ね」


 タマの言葉に気を良くしたのかアンナは微笑む。そんな様子を見た蘆屋が驚いた表情を見せた。


「アッアンナさんが微笑んだっ!」

「珍しい事なのか?」

「ああ。滅多にない事だ。良い物を見せて貰ったよ。ありがとう」

「おっおう?」


 勢いよく礼を言う蘆屋にタマは困惑する。その様子に紅蓮が呆れた様子で言った。


「大輔の奴はアンナさんガチ恋勢だでな。たまにおかしくなるんだ。それ以外は真面目な奴だからよろしくやってくれ」

「そっそうか」


 紅蓮の説明にタマは何とも言えな表情でうなずく。趣味趣向は人それぞれなので葬い人もいるかといった様子でひとまず納得すると少し離れていた少女が話しかけて来た。


「あっあのっ!? 私もいいですか!?」

「あっああ。俺は環 タマ。それとこっちはパンドラ。よろしく」

「ん。貴女としっかり話すのは初めて。私は葛葉 洋子。そこの男子2人の師匠もしている」

「わっ私は水野 リラと申しますっ!?」


 タマと洋子が名乗ると緊張した少女リラは名乗ると勢いよく机に頭突きした。

 一部のクラスメイトとの邂逅と自己紹介のお話。


 ここまで読んで下さりありがとうございました。次回もお楽しみに。

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