15話 うぅ……
遅れましたが、更新です。
「うぅ……」
夕食を終えたタマは激動の1日の中で1番悩む問題に直面していた。タマについて来たパンドラは呆れた様子で言った。
「タマ。まだ脱がないのですか? 速く入りますよ」
「いや。女の子の体になったんだから悩むに決まってるだろ。って!? 何でもう脱いでるんだよっ!?」
そういうとタマはパンドラから視線を逸らすように慌てて眼を閉じる。パンドラはタマが気づかない内に服を脱いでいた。タオルを巻いているとはいえ、裸の状態にタマが慌てるとパンドラは頭を傾げた。
「え? お風呂に入るんですから服を脱ぐのは当たり前ですよ? 何を恥ずかしがってるんですか?」
「……恥ずかしいんだよ。俺は男でパンドラはツクモ神だけど女神だろ。女の子だろうが」
「なるほど。タマは私を女の子として見てるのですね。でも、タマも今は女の子ですよ? なにも問題ないのです」
「それでもだよ。パンドラは恥ずかしくないのかよ?」
タマは目を閉じたままたずねる。
「別にタマが相手なら恥ずかしくないですよ? 」
「少しは恥じらってくれよ。悩んでるこっちがバカらしくなって来るだろ?」
パンドラの純粋な言葉にタマは恥じらうのがバカらしくなったのか目を開ける。タマはパンドラを見てから安堵した。
「良かった。何も感じない」
「何で安堵するのですか?」
タマの最初の声だけ聞き取ったのか若干不満そうにパンドラがたずねる。タマは答えた。
「パンドラだと悪い意味で意識しなくて良かったから安堵してるんだよ」
「…………それは褒めてるのですか? これでも一応女なのですよ?」
「褒めてる。かわいいと思うぞ」
「そうですか。まぁ、許しましょう」
タマが即答すると嘘ではないと判断したのかパンドラの機嫌が直ると言葉を続けた。
「ほら。タマも早く脱いでくださいよ。お風呂に入りますよ。サクラにも言われてるのですよ」
「うっ」
パンドラがそう言うとタマはためらう理由を思い出して脱ぐのをためらう。それにパンドラがしびれを切らしたのか言った。
「もぅ。早く入らないと風邪ひいてしまいますよ?」
「分かった」
パンドラが急かすとタマは覚悟を決める。タマは着ていた物を脱ぐとパンドラと共に風呂場へと入る。風呂場に入るとタマの最初に眼に入ったのは自身の姿であった。
「うわぁ……」
タマは自身の姿を見て声が漏れる。
風呂場の湯気で要所は見えなくなっているが、パンドラと同じ美しい金髪。体のメリハリは薄く、それが神秘的な雰囲気を作り出して可憐な妖精のような姿が映っていた。
そんなタマの様子にパンドラが少し心配した様子で言った。
「見惚れるのはいいですが、風邪ひきますよ?」
「っ!? そ、そうだな」
タマはパンドラの指摘に慌てた様子でシャワーのひねりを回す。
「冷たっ。少し待ってくれ」
「分かったのですよ」
最初は冷たい水が出てくると冷静になったのかタマはパンドラに少し待つように指示を出す。
暖かいお湯に変わるとタマはシャワーの勢いを弱めて調整するとタマはパンドラに言った。
「よし。パンドラ。浴びれるぞ」
「ありがとうですよ」
パンドラはシャワーを浴びる。彼女は手早く小さくした洗面用具で体を洗うとシャワーから離れた。
「もういいのか?」
「はいなのですよ。それではまずは髪の洗い方です」
「え? 違うのか?」
タマはたずねる。それにパンドラはうなずいた。
「違いますよ。洗うには手順があるのですよ。マッサージをするように優しく洗うのです。その後はしっかりシャワーで洗い流すのです。洗い方は私の真似してください」
「分かった」
そういうとパンドラは頭を洗い始める。それを見たタマは同じようにゆっくりと髪を洗う。マッサージするように優しく洗ってからお湯でしっかりと髪を濯ぐ。
髪を洗い終えるとパンドラはタマに言った。
「次は体を洗う時はタマもですよ」
「体も?」
「違いますよ。まず、体を強くこすり過ぎると体がヒリヒリしちゃうのです。だから、しっかりとボディーソープを泡立てて優しく洗うのですよ」
「それは大丈夫なのか?」
パンドラの説明にタマが頭を傾げる。
「大丈夫なのですよ。それで汚れは落ちるのです。泡で汚れを落とすのが重要なのです。慎重にしないと大変なのはタマなのですから気を付けてくださいね」
「わ、分かった」
そう言うとタマはパンドラと同じように全身を泡で洗うとシャワーで洗い流す。体を洗い終えるとパンドラは言った。
「ひとまずはこれでオッケーですよ。追々覚えて行きましょう。お湯に浸かるのですよ。髪をお湯につけると痛みやすくなるのでゴムでまとめるのです」
「こうか?」
タマはあらかじめ桜から受け取った荷物の中にあったゴムで後ろの髪をお湯につけないように纏める。
「それではお風呂に入りましょうか。タマ。お湯を」
「了解」
タマはプラスチックの桶にお湯をはる。パンドラはお湯の温度を確認するとゆっくりと小さな湯船に入る。
タマは無事にパンドラがお湯に浸かるのを確認すると同じようにお風呂のお湯に浸かった。
「「はぁぁぁ」」
タマとパンドラはお湯の気持ちよさに声が重なる。そのまま蕩けたような表情でお湯の中でタマはパンドラを見る。
パンドラもタマを見ていたのか視線が合った。
「気持ちいいな」
「ですねぇ。お風呂の気持ちよさは世界共通です」
「だなぁ」
お湯の中で2人はのんびりとした空気でしゃべる。パンドラは思い出したように言った。
「タマ。上がったらタマの連絡先を教えてください」
「いいぞ。一緒にチャットできるアプリとかも教えるよ」
パンドラの言葉にタマはうなずく。
「ありがとうですよ。ついでにエス・エヌ・エスという奴をやりたいので教えてくれますか?」
「良いけどする時の出す情報は気を付けてくれよ。特に位置の情報なんかは場合によっては誘拐されかねないからな」
パンドラの要望にタマは念を入れるようにそう言うとパンドラはうなずいた。
「分かっているのです。悪い奴というのはどこにでもいるのですから出す情報には気を付けるのです」
「それならいいけどさ。一応な」
「無法地帯なのですか?」
パンドラがそう言うとタマは何とも言えない表情で答えた。
「どっちともいえるから答えに困るんだよなぁ。本当に調べものとかには便利だし楽しい場所でもあるのも本当だけど、治安はよろしくない場所でもあるからなぁ。たまに犯罪に巻き込まれることもあるらししいし。正直、良く分かってないから注意事項は母さんとか父さんから聞いた方が良いかも」
「そうですね。後でサクラかソウジロウに聞いてみるのです」
「そうしてくれ。他に聞きたいこととかあるか?」
タマがそう言うとパンドラは目を輝かせて言った。
「いっぱいあるのです。後はですね。タマの住んでいる場所について教えてください。おすすめの食べ物のある場所とか。美味しい名物とか」
「食べ物ばっかりじゃん。まぁ、いいけどさー」
パンドラは要望を出すとタマは少し呆れた表情で真面目に答えていく。そうしてのぼせる直前までタマとパンドラはおしゃべりを続けて後で桜に怒られる事になるのであった。
夜の会話と言ったらお風呂。という訳でお風呂での会話のお話。
次回は次の日のタマの幼馴染に会いに行く予定のお話。もちろん何もない訳がなく。
今週は少し予定が入ってるため、次の更新は1/25(日)の予定です。
ここまで読んで下さりありがとうございました。次回もお楽しみに。




