第63話 呼び出し
ーー「さて、これからだけど。まず私とグラは2週間後の会議に呼ばれてるからもうじき出発しないとね。でもそうしたらすぐに魔族との戦いが始まるでしょうから……なんだかんだやれることも少ないかもね。」
ーー「戦いにはおれも連れてってくれよ。なんとか交渉でもしてよ。」
ーー「まぁそこは大丈夫よ。フリナはどうする?あなたは戦闘が得意ってわけでもないから……三界とも戦うし。」
セリアはフリナに聞いた。確かに今回は危険が大きくなるだろう。法帝に匹敵する力がなければ三界と戦うことは出来ない。確実に殺されるからだ。一度デスバルトと戦ったときにそれは実感している。
ーー「私は残っておこうかな。もし魔族がこっちの大陸に来たときに応戦する役も必要だろ?それに私が行っても足手纏いになる気しかしないからな。」
ーー「そうね。それが良いわ。じゃあそういうことで……。グラが飛んでってくれるなら急がなくてもいいかしら?」
ーー「いやじゃ!儂は乗り物じゃないからな。」
ーー「まぁそうよね。じゃ1週間後に出発するから。それまではエスト、特訓するわよ!」
ーー「おう!」
ーー「おじちゃん!帰ってきてたの!?」
クラン長室の扉が開き、1人の少女が入ってきた。
ーー「ユリハか!?久しぶりだな!大きくなったか!?」
ーー「うん!ユリハおっきくなったよ!」
入ってきたのはユリハだった。ユリハは3年前に助けた魔王デュールの子だ。セリア達が世話をしていたんだな。話を聞くと無限の魔力を使って研究などを手伝っているようだ。……魔力が無限にあるっていいな。おれとは対照的だ。おれ達はユリハから少し話を聞いた後、解散した。
それから1週間、おれ達は特訓を続けた。普段はセリアとグラを相手にする1対2の手合わせをし、ときには昇華させた2人と1対1で戦うこともあった。昇華をしていれば少し押され気味であったが、相手の魔力を乱して能力を解除する『反魔法』を使えばもう少し良い戦いが出来るだろう。まぁそんなことをしては闘技場の結界を壊しかねないし、互いに全力でぶつかっている訳でもなかったので使わなかったが。
あとは適当にギルドからの依頼をこなし、おれの復活を大々的に知らせることになっていた。“3年間死んだと思われてた男が生きていた”という情報がすでに回っていただけに、外に出るたびにおれは注目を浴びていた。
ヘルダルムに着いてから5日目の昼のことであった。いつも通り特訓を終えて地下から上がってきてとき、受付の子がセリアを呼んだ。
ーー「リーダー!アールデント様から連絡が来ております!」
ーー「アールデント様から?今行くわ。」
そう言ってセリアは受付にある魔導通信機の方に向かっていった。
ーー「アールデント?誰だそれ。」
ーー「知らんのか?かつての大英雄の仲間じゃよ。なんでも不老の魔術を開発したとかなんとかで2000年近く生きてるようじゃ。今回の作戦会議もあの人が呼んだんじゃ。」
ーー「へー!じゃあメッチャ強ぇのか!?」
ーー「いや、その術にスゴい魔力を使うようじゃから戦えないらしい。じゃから変に期待はするな。まぁ知識はあるじゃろうがな。」
ふーん。言い方は悪いけど長生きしてるだけか。戦えないのにそんな長く生きてて疲れないのか?……そんなことを思うのはおれくらいか。
ーー「あれ?でもグラだってそれくらい生きてるだろ?」
ーー「儂は1人で過ごしてたからな。知らないことの方が多いのは分かってるじゃろ。」
ーー「そう言えばそうだな。」
そんな他愛もない会話をしていると、アールデントとかいう人と話を終えたようでセリアがこちらに帰ってきた。少しだけ楽しそうな雰囲気を出しながら。
ーー「何か良いことでもあったのか?」
ーー「今度の会議ね、エストも参加してだって。バンリューとイリアからお願いされたって。人気者ね?」
ーー「え!?いいのか!?………いや、面倒かもな。」
ーー「おい!せっかくなら行ってこいよ。私は行きたくても行けないんだからさ。」
おれが面倒くさがってると後ろからフリナがそう言ってきた。まぁ最強のヤツらを見れば何かしら参考になるかもしれないけど……別に会議がしたいわけでもないからな。でもフリナに“行きたくても行けない”って言われて断るのも気が引けるし……。
ーー「分かったよ。行く。せっかくなら色んな人に会っておこう。」
おれはそう決断した。少なくともバンリューに会えるってのは良いことだ。法帝も気にはなるが、三界と戦うとなるとやはり一番参考になるのはバンリューだろう。いや、もしかしたらとんでもないヤツもいるかもしれないから油断は出来ないか。実際イリアの能力には驚かされたからな。それに昇華の参考にもなるかもしれないしな。せっかくなら期待しておこう。
そうしておれ達は準備を整え、いつでも出発できるようにしておいた。




