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春にだけ僕の前に現れて、僕の心を攫って行く君。

作者: 七瀬






“春にだけ僕の前に現れて、僕の心を攫って行く君。”


僕の好きな女性は、“春にしか会えない!”

桜が咲く頃に僕の前に現れて、夏になる前に僕の前から消える。

いつもこの季節になると君は、僕の家の近くの公園で桜の木を眺めている。

僕はいつも君がそこに居ないか確かめるんだよ。




・・・そして、春がもう直ぐ近づいて来る! 君にもう少しで会える!

僕はいつものように家の近くの公園の桜の木を眺めようとしていたら?

君がそこに居た!

僕は思わず君の名を呼ぶ、“ミチル” 彼女は僕の方を向いた。

ニコッと僕の方を見て笑う君に僕はもう釘付けになる。

やっと会えた! 君に会いたいとずっと願っていた想いがやっと叶った!

僕は嬉しくて嬉しくて君に近づく。




『やっと会えた!』

『ひょっとして? “私にずっと会いたかったの?”』

『君はそうじゃないの?』

『“勿論、会いたかったわ!”』

『今からご飯でも食べに行かない?』

『いいわね! 晴人君の奢りね!』

『“定食屋でいいよね?”』

『うん!』





彼女と会う時は、“必ずといっていいほど二人で行く定食屋さん。”

彼女は、ホッケ定食、僕はかつ定食。

二人で行く時は、お互いシェアしながら食べるから二度おいしい!

彼女と一緒なら何だって楽しいし、美味しいんだ!

僕の隣にずっと一緒に居てほしいと願ってもそれだけはダメだと言う。

何故なのか? でも彼氏は居なんだよね。

好きな人は、“教えないって言ってたけど、僕の知ってる人だと言ってた。”

きっと彼女の好きな男性ひとは、“僕だと思うんだ。”

だって! 僕と彼女の共通の人なんていないんだからさ。





・・・でも? なんで春にしか彼女と会えないのだろう?

それも聞いたけど、“秘密”なんだって!

何にも僕に話してくれない彼女は、僕に何を隠しているのだろうか?

それでも僕は、この季節だけでも彼女に会えるだけで嬉しいんだ!

会えないより会える方がいいからさ。

僕は君に出逢えて嬉しんだよ。

こんなに好きになった女性はもう二度と現れないと思うしね。




『・・・何? ボーっとしてるの? 他の女性の事でも考えてた?』

『“もしかして? ヤキモチ妬いてる?”』

『そんな訳ないでしょ!』

『そっちこそ! 好きな男性ひとの事でも考えてたんじゃないの?』

『・・・うーん? そうかもね!』

『なんだよ、それ?』

『ヤキモチ妬いた?』

『・・・ま、まあね。』

『“私と一緒に居る時に他の女性の事なんか考えないで!”』

『えぇ!?』

『ヤキモチ妬くでしょ!』

『そうやって僕の心を弄ぶんだね。』

『真面目に言ってるのよ!』

『でも? 夏になる前にまた君は何処かえ行ってしまう。』

『・・・そ、そうね、』

『“何処にも行くなよ!”』

『・・・ごめんね、』

『謝らないでいいよ、分かってたことだし!』

『ごめん。』

『だから、謝るなって! この話は、もう終わりにしよう。』

『うん、お腹空いたね?』

『何か食べに行く?』

『うん!』

『いつもの所でいい?』

『定食屋さん!』

『うん。』







・・・何故だろう? 彼女と居ると幸せな気持ちになる。

でも? もう直ぐ春が終わり夏がやって来る!

彼女が僕の前からもう直ぐ居なくなってしまう。

それでも今は、彼女とこうしている時間を楽しもうと思ってるんだ。

今しかこの時間ときはないのだから。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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