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プリンセス達の花詩集  作者: 白百合三咲
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桃の花のドレス 第1話

 大正11年3月。

「奥様、雛人形はわたくし共が出します。」

「そうです。奥様は休んでいて下さい。」

ここは宮家のお屋敷。7年前に嫁いで来た美代子は居間に雛人形を飾ろうとします。しかしメイド達に止められてしまいます。

「ありがとう。でもこれはわたくしが飾りたいのですわ。」

雛人形は美代子が嫁入りする時に持って来た祖母の形見なのです。娘が産まれた3年前から毎年飾っています。

「手伝ってほしい時は言うわ。だから貴女達はご自分の仕事に戻りなさい。」

メイド達は承知致しましたと。

「お母様!!どうかしら?」

メイドと入れ替わるようにして3才になったばかりの1人娘の桜子がやって来ました。桜子は名前と同じ桜の色の振り袖を着せてもらったのです。 

「とても似合っているわ。」

「ねえ、お母様このお人形達は?」

桜子は今並べたばかりの3人官女を指差します。

「お雛様よ。」

「どの娘がお雛様でしょうか?」

「この娘達はお雛様ではなく3人官女という

のよ。お雛様のお付きの者でお世話をするのです。」

「皆色違いのお着物を着てますわ。3姉妹なのでしょうか?」

3人官女は皆白い振り袖にそれぞれ違う色の打掛と裳衣を着ています。左の官女は黄色、真ん中は青、そして右は桃色です。

「そうね、3姉妹と言えば3姉妹かもしれないわ。」

 



 美代子は3人姉妹の長女でした。雛人形が飾られると3人は3人官女に目が行きます。

「御姉様、この娘達私達と同じ3人ですわ。」

末の妹の一言が始まりでした。美代子達3姉妹はそれぞれのお気に入りの人形を指差します。美代子が右の桃色の官女、真ん中の妹は真ん中の青色の官女、そして末の妹は左の黄色い官女を選びました。そしてそれぞれの官女の人形に名前を付けたのです。



「お母様はその桃色の官女になんて名前をお付けしたの?」

「この娘は桃色だから桃香と名付けたわ。」

美代子は雛壇の2段目に座ってる桃子を手に取ります。  

「真ん中の青色の官女が葵、そして左の黄色が月子だったわ。」

「桃香ちゃん、葵ちゃん、月子ちゃん。」

桜子は3人官女の名前を言いながら1人ずつ指を指します。


「桜子お嬢様。」


居間にメイドの1人がやって来ました。

「お嬢様、踊りの先生がお見えです。」

「はい、今行くわ。」 

桜子は日本舞踊を習っているのです。

「先生は新しい着物何て言ってくれるかしら?」

「きっと可愛いとおっしゃって下さいますよ。」

桜子はメイドに連れられて日本舞踊のお稽古に向かいます。

 美代子は桃香を元にあった場所に桃香を置きます。箱の中から桃の花の置物を取り出します。桃色と白色の色違いです。桃色の方を桃香の隣、白色は月子の隣に置きます。一番下の段には5人囃子の人形を飾り、御内裏様を一番上の段の左に飾ります。そして最後にお雛様を飾ろうとした時です。

「あら、可笑しいわ。」

箱の中のどこを探してもお雛様が見当たりません。


「美代子ちゃん!! 美代子ちゃん!!」


どこからか美代子を呼ぶ声がします。

「誰?」

「美代子ちゃん、ここよ。」

その声は雛壇から聞こえてきます。

「美代子ちゃん!!」

「桃香ちゃん?!」

一番右に座っていた桃香が立ち上がります。

「驚かせてごめんなさい。貴女にお願いがあるの。」

次の瞬間美代子は目映い光に包まれます。

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