3つの蘭 第3話
花売り娘が言うには広場では舞踊大会が行われるそうです。国中の女性なら誰でも参加できて一番に選ばれあ者は王室の宴の席で舞を披露できるのです。
「舞踊か。」
桃蘭は小さかった頃は思い出します。
踊りの先生から習っていていつも扇子を広げたり羽衣振って踊っていました。
「桃蘭は可愛いらしい舞を踊りますね。」
先生はいつも桃蘭を褒めてくれました。姉二人も桃蘭の踊りが好きだと言ってくれ、踊る姿を紫蘭に描いてもらった事があります。
桃蘭が姉達に勝てる物を見つけたのです。
ある日越劇女優達が宮中にやって来ました。
貴族達の集まりに華を添えるために舞を披露してくれたのです。幼かった桃蘭は舞台に上がり見よう見まねで踊ってみました。難しいながらも一所懸命踊った甲斐があり貴族達は拍手を送ってくれました。しかし宴の後桃蘭は両親に呼び出され叱られてしまいました。
「貴女は落ち着きがなさ過ぎる」と。
(それ以来踊りは辞めさせられてしまったけど楽しかったわ。)
「舞踊大会は誰でも出られるのかしら?」
春蘭は傍らにいた花売り娘に尋ねます。
「確か登録した人しか出場できなかったと思うわ。」
「まあ、残念ですわ。」
桃蘭が諦めて帰ろうとした時です。
「ちょっとどういう事ですか?!納得行きません!!」
質素な身なりの少女が中華服の男と口論してるのが見えました。
「私今日のために妹と練習してきたのです。出場させて下さい。」
彼女は出場者の1人でしょうか?
「駄目だ!!出場者が揃ってない者は参加はできぬ。それにそのような格好だと笑い者になるぞ。」
男は笑いながらさっていきます。
「お願い、ちょっとここで待ってて。」
桃蘭は花売り娘にそう告げるととぼとぼと歩いていく女の子の後を追います。
「待って!!どうしたの?」
桃蘭が女の子を呼び止めます。
「誰?貴女。」
「私は桃蘭。貴女舞踊大会に出たいのね。」
「ええ。でも無理よ。」
女の子は香花といいます。本来は今日の舞踊大会に妹と出る予定でしたが妹が風邪を引いて出場できなくなってしまったのです。
「どっちみち二人でなきゃ出れなかったからいいわ。それにあの主催者の人のようにこんな格好じゃ恥ずかしいわ。」
香花は帰ろうとします。
「待って!!」
桃蘭が香花の腕を掴みます。
「衣装と一緒に出る人がいるなら出れるのよね?」
「ええ。」
「来て。」
桃蘭は香花は先ほどの花売り娘のとこに連れていきます。
「そのお花全部頂戴。」
桃蘭は花売り娘から籠の中にある花を全て買い取ります。
「えいっ」
桃蘭は花を指で指します。
あっという間に花は桃蘭と香花を包みます。
あらどうでしょう?桃色の花は桃蘭の漢服、黄色い花は香花の漢服、そして白い花は二人の羽衣に変わりました。




