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プリンセス達の花詩集  作者: 白百合三咲
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薔薇の庭のレッスン 第6話

 紫の花の咲く庭園。花江は着物についた抹茶の染みを拭き取ろうと井戸の水を汲みます。ロープを引きバケツを井戸から取り出そうとするが。

「きゃっ!!」

重くて上手く持ち上げられません。

「大丈夫か?」

白い手がバケツを支えてくれます。

「芳子様。」

芳子が助けてくれたのです。

「座って。」

花江がベンチに腰掛けると芳子がバケツを地面に置き軍服の内ポケットからハンカチを取り出し、バケツの水で濡らす。よく絞ると花江の着物の染みの部分を軽く叩いて拭き取ってくれる。

「良かった。跡にならないで。」

「ありがとうございます。」

「花江ちゃん。」

芳子が花江の隣に座ります。

「レッスンの方はどうだい?」

花江は俯むいてしまいます。ドレスでまともに歩けない。正座にも耐えられない。お世辞にも順調とは言えません。

「僕と付き合ってくれないか?」

「あの、えっと。」

花江は突然の告白に頬を赤く染めます。

「そういう意味じゃなくて。一緒に来てほしいところがあるんた。」

「そういう事でしたか。」

花江を胸を撫で下ろします。

「さあ、おいで。」

芳子は白馬を連れてくると花江を乗せます。





 次の授業はダンスです。

少女達は広間に集まってました。

「今日の授業、誰が最初に芳子様と踊るのかしら?」

ダンスの授業では最初に芳子が少女を指名してダンスの見本を見せるのです。

「ミミィ、貴女選ばれるのではなくって?」

ミミィと呼ばれた少女は一番ダンスが上手いのです。

「私が?」

ミミィは少し微笑んで答えます。

「皆、芳子様がいらっしゃったわ。」

ロザリーの一言で皆が広間の入り口に目を向けます。

「ねえ、あの娘じゃない?芳子様といるの。」

1人の少女が呟きます。芳子は胸元に薔薇のついた純白なドレス姿の花江の手を取ってやってきます。

「ごきげんよう、僕のプリンセス達。」

『ごきげんよう、芳子様。』

少女達がドレスをつまんで芳子にお辞儀をします。

「今日の授業だが、最初のダンスの相手は花江ちゃんにお願いする。」

芳子が少女達に告げます。

「あの娘が?」

「ドレスでまともに歩けもしないのに?」

「きっとまた靴脱ぎ捨てるわよ。」

少女達は花江の事を見て笑ってます。

 ピアニストの演奏が始まると。花江はドレスの裾をつまみ芳子と組みます。

ピアノの演奏に合わせて軽やかにステップを踏みます。

「花江さん、ダンス習ってたのかしら?動きが美しいわ。」

ロザリーが呟きます。







「花江ちゃんはこの花のようだ。」

芳子が連れてきたのは黄色い薔薇が咲く庭です。マリーが最近育て始めた物です。

「僕は薔薇が赤が好き。だけど黄色い薔薇は周りを明るくする他の色にはない魅力がある。」

「つまり、私はお笑い担当って事ですか?」

花江が顔を真っ赤にして俯きます。

「ははは、違うよ。薔薇の花の色もたくさんあるようにプリンセスの形も様々でいいって事だよ。君の肖像画見たよ。僕は君のが一番好きだよ。なぜ薔薇の上に横たわったんだ?」

「昔好きだった絵本のお姫様が薔薇のベッドで横たわってるのを見て。」

「そうか、自分の理想の姿に従ったって訳か。そこが君のいい所かもしれないな。君がどうしても生前の自分と重ねて見えてしまうんだ。王朝復活なんてできもしない夢を信じて思うがままにはしり回ってた頃の自分を。だから君の事放っておけなくて。僕と課外授業しない?特別に魔法をかけてあげる。」

花江が軽やかにダンスができるのは芳子の魔法のおかげなのです。

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