薔薇の庭のレッスン 第1話
主な登場人物
マリー アントワネット
フランス王妃。平民の少女達のためのプリンセス養成学校で教鞭も取っている。
鍋島栄子
マリーの親友。鹿鳴館の貴婦人。マリーの女子校のでお茶の授業の講師として招かれる。
川島芳子
清朝の王女。マリーと栄子の親友婉容の恋人。婉容がイギリスを訪問中マリーの女子校でダンス講師として赴任する事に。
ロザリー・ラ・モリエール
フランスの靴屋の娘。マリーの女子校の生徒及び少女歌劇団の娘役。
マリーのお付きもしており生徒とマリーのパイプ役
大庭花江
突然マリー、栄子、芳子の前に現れたセーラー服の少女。
婉容
満州国皇后。マリーと栄子の親友で芳子の恋人。夫である皇帝溥儀とイギリス訪問中。
「ご覧になって。今日お庭の花壇に咲いていたのを摘んで参りましたわ。」
ここはフランス、ベルサイユ宮殿の庭園。マリーは庭で咲いた黄色い薔薇の花詰んでテラステーブルまでやってきます。
「マリーちゃん、黄色いなんて珍しいな。」
ちょうど乗馬を終えた芳子と鉢合わせになります。
「マリーちゃんは赤とかピンクが好きかと思ったが。」
「勿論赤やピンクも好きですわ。だけど薔薇は色とりどりのがいいわ。」
マリーの庭には赤とピンクだけではありません。白、紫、黄色と色とりどりの薔薇の花が咲いてるのです。
「C'est comme la vie.」
マリーがフランス語で呟きます。人生のようだと。
「だってそうでしょ?薔薇の花の色も様々なように。わたくし達王族や貴族だって生き方はそれぞれですわ。鍋島夫人のように外交に力を注ぐ貴婦人もいれば貴女のような男装の王女もいる。プリンセスの姿だって様々だわ。」
「確かに。君の言う通りかもな。」
マリーは花瓶を持ってくると黄色い薔薇をテーブルの上に飾ります。
「あら、テラスがいつもより明るいわ。」
栄子がトレイに紅茶のカップとポットを乗せてやってきます。
「紅茶を入れたわ。皆でお茶会をしましょう。」
栄子はカップに紅茶を注いでいきます。マリーと芳子の分を注ぎ終わった時
「あら、お客様だわ。」
マリーが1人の少女に気付きます。
「貴女、女学校の生徒さん?」
「いえ、私は高峯高校の1年生です。大庭花江といいます。」
少女は日本人の名前を名乗りました。
「左から川島芳子様、マリーアントワネット王妃、それから鍋島栄子伯爵夫人ですね。」
花江は3人の事を知っているようです。
「君は日本人か?」
花江は黒いセーラー服にプリーツスカートを履いています。日本人の女学生の格好なのです。
「さあ、お座り。」
軍服姿の芳子は椅子を引いて花江に勧めます。
「さあ、お茶もどうぞ。」
「ありがとうございます。でもカップが3つしかないのに。」
「私はかまわないわ。お飲みなさい。」
水色のドレスの栄子が隣の席に座りお茶を勧めてきます。
「お砂糖はいかがかな?」
芳子が花江に顔を近づけ尋ねます。
「2つ」
芳子が角砂糖を2つ花江のカップに入れます。
「ありがとうございます。」
花江は頬を赤く染めながらお礼を言います。
「芳子様、花江ちゃん口説いてはいけませんよ。」
自分のカップを取りに行った栄子が戻ってきました。
「婉容様が嫉妬なさるわ。」
「栄子ちゃん、皇后様は今イギリスだ。」
婉容は今公務で夫溥儀とバッキンガム宮殿を訪問中なのです。
「あの、ここはどこですか?」
花江が尋ねます。
「どこってベルサイユ宮殿。わたくしのお城ですわ。」
答えたのはマリーです。
「なぜベルサイユ宮殿に芳子様や鍋島夫人が?」
違う国、時代を生きた3人が目の前に現れ花江は戸惑いを隠せません。
「この世界は僕達が自由に生きてるだけの世界だ。花江ちゃんはどうやって来たんだい?」
「私学校の図書室で本を開いたら気を失って気がついたら庭園に迷い混んでいたのです。」




