チューリップの姫君 第1話
ここは中世オランダ。
水車小屋が風に吹かれる田舎街。チューリップ畑を営む家族がいました。両親に加え子供が3人。一番上の兄エドワード、2番目の兄ジャック、そして末娘のニーナです。ニーナは10才。小さいながらも両親や兄達の仕事を手伝っています。
ニーナの仕事は畑の雑草を取ったりお花に水をあげたりする事です。
「チューリップさん達、お水ですよ。」
井戸からバケツに組んできた水を柄杓で掬うと畑にまきます。
「あれ?」
ニーナはおかしな事に気付きました。
「このチューリップだけピンクだ。」
白いチューリップの中に1輪だけピンクのチューリップが咲いています。ニーナの畑で育てているのは赤、黄色、白の3色のはずです。
「お父さん!!お母さん!!お兄ちゃん達!!」
ニーナは急いで家族を呼びに行きます。
「見て!!あそこ」
ニーナはピンク色のチューリップの花を指します。
「本当だな。」
父は花壇の中に入るとピンクのチューリップだけを摘む。
「ニーナ、よく見つけたな。これはニーナが育てなさい。」
「ありがとう。パパ。」
ニーナはチューリップを花瓶の中に入れて自分の部屋の窓際に飾りました。毎日水をあげて、3日に1回は水変えもしました。
ニーナが花の世話をして1年が経った頃です。朝起きるといつものように窓際に咲いてる花に水をあげに行きます。
「あら、花弁が開いてるわ。」
花はチューリップでは、なかったのでしょうか?ニーナが柄杓を取りに行こうとした時です。
「ニーナちゃん」
ニーナは背後から話しかけられます。
「誰?!」
しかし背後を振替っても誰もいません。
「ニーナちゃん、こっちだよ。」
「どこ?」
ニーナは声のする方に目をやります。
「どこ?」
花瓶の裏を見ますが誰もいません。
「こっち」
今度は背後から声をします。それと同時に肩に何かが触れました。
「誰?!」
小さな女の子が白い羽を生やして宙に浮いています。
「こんにちは。ニーナちゃん。私は花から生まれたの。」
女の子は開いたチューリップに戻っていきます。
「貴女人間?ではないようね。」
「私は妖精。」
妖精は皆花から生まれてくるのです。
「名前は?」
「名前はまだない。」
「じゃあ私が付けてあげる。」
女の子は親指くらいの大きさです。
「そうだわ、サンベリーナはどうかしら?」
「素敵な名前ね。私それがいいわ。」
女の子の名前はサンベリーナになりました。
「じゃあ皆に紹介しないと。」
ニーナはサンベリーナを朝食に連れて行こうとします。
「待って!!」
サンベリーナがニーナの髪を引っ張りながら止めます。
「私達妖精は本当は人間に知られちゃいけないの。だから二人だけの秘密ね。」
「分かったわ。」
ニーナはサンベリーナとは内緒で仲良くする事にしました。




