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プリンセス達の花詩集  作者: 白百合三咲
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菊のお嬢様   第2話

恋愛(NL)色強くなりそうです。

「お嬢さん、宜しければバルコニーに出てみませんか?」

ダンスが終わると王子様が提案します。素敵な誘いを受ける前に昭子は春江の姿を探します。今日は春江の付き添いで来たので、一言声をかけようと思ったのです。

「お嬢さん、あちらに。」

王子様が視線を向ける方に昭子も目をやると他の紳士淑女達とお話をしています。

「彼女も彼女で楽しんでるので、僕達は僕達で楽しみましょう。」

昭子は王子様の手を取りバルコニーに向かいます。バルコニーにはテーブルと椅子が備えられてます。

「さあ、どうぞ。」

昭子は王子様に椅子を引いてもらい、腰掛けます。 

 王子様の正体はフランスの将校でした。彼の名前はジュリアンといい、日本軍の士官の育成指導が目的に日本に滞在しています。

「お嬢さん、貴女は先ほどの令嬢の妹さんですか?」

ジュリアンは昭子を高円宮家の令嬢と勘違いしてるようです。昭子は言葉が出てきませんでした。違うと答えたらジュリアンに嫌われると思ったからです。昭子がそうですと答えようとした時

「C'est magnifique.」

ジュリアンがフランス語で叫びます。夜空には花火が打ち上がりました。

「懐かしいわ。」

昭子は幼い頃の事を思い出します。

 昭子は神田の下町で生まれました。船頭の父と野菜売りの母と長屋で暮らしていました。夏になると屋根の上に登って花火を見るのです。しかし14の時に父が船の事故でなくなり、母はその後すぐに病にかかり床に伏せほどなくして他界。孤児になった昭子は今の高円宮家に奉公に来たのです。3年前の事でした。

「長屋の隣の部屋に住むおばちゃんがスイカを切ってくれて、近所の男の子達と種を飛ばし合ったりもしましたのよ。」

「君は高円宮の令嬢ではなかったのか?!」

昭子はしまったと思い口を塞ぎます。

「ごめんなさい、隠すつもりはなかったのです。」

「お嬢さん。」

自分が令嬢じゃないと分かって幻滅されたのか。しかし

「宜しければ明日お嬢さんの育った街案内してもらえますか?」

ジュリアンから返ってきた言葉は予想とは違ったものでした。

「貴女のこともっと教えて下さい。」

「はい、では私の事はまず昭子と呼んで下さい。私の名前です。」

昭子は満面の笑みで答えます。

「はい、昭子。」

ジュリアンは傍らに植えられていた菊の花を一輪摘むと昭子に渡します。

「ありがとうございます。」

昭子が菊の花を受け取った時


「昭子?、ここにいたのね。」


春江が呼びに来ました。

「帰るわよ。」

「はい、お嬢様。」

昭子はジュリアンにお辞儀をすると去っていこうとします。

「昭子」

ジュリアンが呼び止めます。   

「明日、またお会いしましょう。」 

「はい。」

2人は明日神田に行く約束をしました。





「父上、なぜこちらに?!」

舞踏会の後滞在中の帝国ホテルの部屋でジュリアンを迎えたのはフランスにいるはずの父親でした。傍らには水色のドレスを着たブラウン髪の女性がいます。

「構わんだろう、父親が息子に会いに来て何が悪い?それにこちらのエミリ王女もお前に会いたがっていたからな。」

ブルーのドレスの女性は隣国の王女でした。

「ジュリアン殿下、日本も随分と近代化した街になりますたのね。まさか日本にもオペラがあったとは驚きましたわ。」

日中二人は帝都の街を見て回っていたのです。

「どうだ、ジュリアン。明日はエミリ王女を連れて帝都見物をしてきたらどうだ?」

「わたくし、日本のオペラも観てみたいですわ。」

「申し訳ありませんが明日は先約がございます。王女様。」

ジュリアンはエミリ王女の手の甲にキスをすると奥の寝室へと去っていきます。

「先約ってどなたとかしら?明日跡をつけて探ってみましょう。」

エミリ王女はニヤリと笑みを浮かべます。

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