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プリンセス達の花詩集  作者: 白百合三咲
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菊のお嬢様   第1話

芥川龍之介の「舞踏会」をアレンジして書いてみました。

 時は明治時代。帝都に大きな洋館が立てられました。人々をそれを「鹿鳴館」と呼びます。鹿鳴館は海外、特に西洋のお客様をもてなすために作られました。毎夜華やかな舞踏会が行われています。日本の淑女(れでぃ)も西洋の淑女(れでぃ)と同じでドレスを着て広間へやって来ます。

「お嬢様、素敵だわ。西洋の人達は綺麗だわ、まるで絵本みたい。」

「昭子、あまりきょろきょろしないで。」

高円宮家の春江嬢が父に連れられやってきました。傍らには侍女の昭子もいます。春江は桃色のドレス、昭子は黄色いドレスを着ています。

「すいません、お嬢様。」

「すいません、じゃなくてすみませんでしょ。しっかりなさい。貴女はわたくしの侍女だから。」

「はい。」

昭子は春江に頭を下げます。

「春江。」

父の傍らには白い軍服姿の美青年が立っていました。金髪で白い肌、青い目の外国人将校です。

「美しい方。」

昭子が呟きます。

「彼がダンスの相手をしてほしいそうだ。」

「Voulez vous danse avec moi, Mademoiselle?」

将校はフランス人です。フランス語でダンスに誘ってきました。

「S'il vous plait, Monsieur.」

春江もフランス語で答えます。是非ともと。春江が将校の手を取ろうとしたときです。

「Desole, Mademoiselle. Ce n'est pas vous que Je demande de danse. Une fille en la robe jaune.」

将校がダンスに誘ったのは黄色いドレスの乙女だと言います。春江ではなく昭子でした。将校は昭子に手を差し出します。

「S'il vous plait,Mademoiselle Chrysantheme.」

「えっと、」

昭子はフランス語が分かりません。

「これは失礼、菊の花のお嬢様。私と踊って頂けますか?」

目の前の将校に昭子は顔を赤く染めます。以前春江が見せてくれた絵本で王子様がお姫様にダンスを申し込む場面と全く同じでした。

「はい、王子様。」

昭子は差し出された手を取ります。王子様に手を取られ広間に向かいますが昭子は肝心な事を忘れていました。

(どうしよう?!私ダンスなんてしたことないわ!!)

「お嬢さん、あまり緊張しないで下さい。僕がリードします。」

 王子様は昭子の手を握ると腰に手を回します。昭子も同じように王子様の腰に手をやります。

「僕に合わせて」

昭子は王子様と同じように足を動かします。3拍子のワルツに合わせて。

「大丈夫。できてるよ。」

王子様に褒められると昭子の顔に笑顔が見えます。

「やっと笑ってくれました。」

王子様の優しい言葉で昭子はその場を楽しむ事が出来ました。

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