バレンタインデーと白蘭の恋 第5話
「全子様、こちらはクレープでございますの?」
ここは松本にある鍋島家の別荘。婉容と全子は芳子にあげるチョコレートを作っています。
マリーは全子が作ったお菓子に興味を示します。それはチョコレートを黄色い生地で包んだものでした。ベルサイユ宮殿のシェフが作ってくれるクレープと似ています。
「アントワネット様、こちらは八つ橋というお菓子です。」
リビングのソファーでマリーと全子がお茶をしています。全子は芳子にチョコの入った八つ橋をプレゼントする予定なのです。
「アントワネット様もお一つどうぞ。」
マリーは八つ橋を1つ頂きます。
「まあ、柔らかい食感ですわ。」
マリーと全子がリビングで優雅にお茶会をしていた頃キッチンでは
「ああ、また形が」
「婉容様、まだしっかり固まってなかったようですわ。」
婉容と栄子がチョコレート作りに苦戦していました。型を外しましたが形が崩れてしまいます。
「まあ、それ何かしら?」
マリーと全子が様子を見に来ました。
「分かったわ。ネズミね。皇后様は趣味の悪い物お作りになるのね。」
全子が嫌味を言ってきます。
「違うわ、ウサギよ。」
「まあ、味は悪くないわね。」
全子はチョコを小皿に移し端で口に運んでいきます。
「だけどこの形では芳子様にプレゼントはできませんわ。」
マリーの一言でその場に沈黙が流れました。
「そうだわ!!」
栄子が沈黙を破ります。
「婉容様、一緒に来て下さい。マリーも全子さんも。」
栄子が皆を連れてやってきたのは苺畑です。ここは鍋島家が所有しているのです。
「栄子、ここって。」
「苺畑よ。」
「栄子夫人それは見れば分かりますわ。」
「栄子さん、勝負は苺ではなくチョコレートですわ。」
婉容もマリーも全子も理解できてません。
「ねえ、全子さん覚えてるかしら?全子さんの屋敷で夏祭りをしたこと。」
栄子と全子が女学生時代全子の住む屋敷で花火大会を開催しました。栄子も招待され庭には屋体が多数出店されました。
「その時のバナナのお菓子が忘れられなくて。」
栄子が食べたのバナナにチョコレートが塗られピンクや青いトッピングがされたお菓子です。
「それってチョコバナナかしら?」
「それよ。チョコバナナができるならチョコ苺だってきっと美味しいわ。」
栄子の提案でチョコ苺を作ることにしました。
それから2週間後バレンタインデーの日がやってきました。4人は鍋島家の別荘の庭園に集まってます。婉容は苺の先にチョコを塗ってカラフルなトッピングをしたチョコ苺を持っていました。芳子へのプレゼントです。
「芳子は来てくれるかしら?」
「来るわよ。手紙を読んでくれたなら。」
全子は川島家の下駄箱に置き手紙を置いてきたのです。お渡ししたい物があるから鍋島家の別荘に来てほしいと。
「なぜ下駄箱なのでしょうか?手紙は侍女が部屋まで持ってくるものでは?」
「アントワネット様、日本では手紙は下駄箱に入れておくものなのよ。女学生の頃よくやったわ。」
その時
「お客様がお見えになりました。」
侍女がやって来ます。
「お通しして。」
栄子の一言で侍女はお客様を連れてきます。
「やあ、ご招待ありがとう。」
「芳子!!」
「お兄ちゃん!!」
お客様は芳子でした。
「招待してくれたのは全子ちゃんか?」
芳子は全子が書いた手紙を手に持っていました。




