皇太子妃の赤い薔薇のお茶会 第5話
最終回です。
扉が開かれると美青年が入ってきた。
「皇太子妃様」
「フェルゼン伯爵?!」
やって来たのはフェルゼン伯爵と彼の留学仲間だ。
「あの方誰?」
「皆美男子だわ?」
「王子様みたい。」
参加者達は現れた貴族の青年達に目を奪われる。
(男がなんで?!)
しかし婉容だけが顔をしかめる。
「皇太子妃様」
フェルゼン伯爵はマリーの前で膝まずく。
「侍女から皇太子妃様がお茶会を開くと聞いて学友を連れてやって参りました。宜しければ私達も混ぜて頂けますか?」
「ええ、勿論ですわ。少女達もお喜びになられますわ。」
「ちょっとマリー。」
婉容は乗り気ではない。
「いいじゃないかしら。婉容様。まだダンスはわたくし達淑女だけでは難しいですわ。フェルゼン伯爵達に入って頂きましょう。」
青年達は参加者の少女達を誘う。ミミィも美青年に誘われる。
「婉容様、お相手願えますか?」
ハンサムな青年が婉容に手を差し伸べる。婉容はマリーと栄子を見る。
「マリー、栄子。」
「皇后様、Why don't you go with him?
You'll have fun.」
マリーと栄子に背中を押され青年の手を取る。
「皇太子妃様、お相手願えますか?」
「Mon plaisir.」
マリーはフェルゼン伯爵の手を取る。再び音楽が流れ出すとお姫様達は王子様のリードで軽やかに踊り出す。
あれから半年後
「マリー、お噂聞いたわ。女子校を作ったんですってね。」
ベルサイユ宮殿には栄子が遊びに来ている。
「ええ、お茶会に参加した少女も通っているわ。」
お茶会の後マリーは平民の少女達の通う女子校を設立した。貴族の世界を経験した彼女達の中には宮殿で生きたいと願う者も現れた。マリーは教師や使用人を雇い少女達にドレスでのウォーキングやダンス、フランス語に英語、テーブルマナーと貴族の夫人に必要な教育をしている。参加者の1人であるミミィも生徒だ。彼女は参加した貴公子の1人に見初められ婚約。マリーの作った女学校でレッスンして来年に社交界デビューする予定だ。
「平民の少女達に希望が与えられればと思って。それで薔薇の温室も作ったわ。お茶の授業は温室でやるのよ。」
「素敵だわ。そうだわ、こちら婉容様から頼まれたの。」
栄子は手紙を取り出す。招待状だ。
「今度紫禁城で女の子だけの舞踏会をやるそうなの。」
「まあ、女の子だけで?」
青年は悪い人ではなかったがやはりダンスは女性同士のがいいそうだ。
「あの中華料理店始めた男装の麗人を連れ戻して自分のエスコートをさせるそうですわ。私も鹿鳴館の仲間と招待されてますの。」
「まあ、わたくしも行くわ。また新しいドレスが必要になりそうだわ。」
マリーは鈴を鳴らし侍女を呼ぶ。
FIN




