皇太子妃の赤い薔薇のお茶会 第1話
短編で書いてみましたが脚色してこちらに統合させて頂きます。
史実は3人のプリンセスは生きた時代も国もバラバラですが架空の世界観としてお届けします。
「明日の仮面舞踏会で着るドレス、どれにしようかしら?」
ここはフランス。ベルサイユ宮殿。皇太子妃のマリー・アントワネットはクローゼットを開く。マリーは夜毎パリのオペラ座の仮面舞踏会に出かけている。
「これにしましょう。きっとあの方も来られるかしら?」
マリーは前回参加した仮面舞踏会でスウェーデンから来た伯爵と出会った。
マリーはピンク色のフリルのドレスを手に取ると呼び鈴を鳴らす。
「皇太子妃様、お呼びでしょうか?」
侍女がやってきた。
「ええ、明日の舞踏会はこのドレスにするわ。着せてくださる?」
「はい、かしこまりました。」
侍女達はマリーの着ている赤いドレスを脱がせる。
マリーは鏡の前に立ちピンクのドレスを着せてもらう。
「ねえ、聞いた?」
「何が?」
侍女達がマリーにドレスを着せながら何やら話している。
「地方の百姓達や下町の平民達は食べるパンもなくて困ってるそうよ。それで一揆を起こそうとしたとも。」
「まあ、良かったわ。私達はお城務めで。」
「でもどうする?お城まで攻めてきたら。私怖いわ。」
「おやめなさい。そのような話。皇太子妃様の前よ。」
侍女の1人がとめる。
「まあ」
マリーが突然口を開く。
「今のお話本当なの?」
「皇太子妃様?」
「平民や農村の百姓達の話ですわ。」
「いえ、あくまで噂ですから定かでは。」
「はぐらかさないで。隠したって無駄ですわ。」
マリーは着替えが終わると机の引き出しから新聞を取り出す。
それは地方で平民達が一揆を起こしたというニュースであった。
「はい、皇太子妃様。平民達は食べるパンすらなく、それは王宮のせいだと言う者ばかりで。」
「まあ、平民達はパンもないんですって?そうだわ。」
マリーは何か思い付いたようだ。
「パンがないならお菓子を食べればいいのよ。」
それから1週間後。ベルサイユ宮殿に2人の来客があった。2人とも異国から来たようだが黒髪でヨーロッパ諸国からではなさそうだ。1人はクリノリンスタイルに長袖の緑色のドレスを着ている。もう1人は赤地に金の刺繍が入ったチャイナドレスを着ている。
「栄子夫人、婉容皇后様来てくださったのね。嬉しいわ。」
マリーは2人の来客を自分の部屋に招く。
鍋島栄子。彼女は日本から来た。公家の出身で鍋島直大侯爵の妻である。マリーとはイタリアの舞踏会で出会った。社交的なマリーとは意気投合して西洋諸国訪問するときは必ずマリーの住むベルサイユ宮殿にも来てくれる。
婉容。彼女は中国大陸に建国された新国家満州国の皇后である。はいからな皇后様でマリーが主催したベルサイユ宮殿の舞踏会に以前来てくれた。英語が得意でピアノも嗜む西洋被れのアジアのプリンセスだ。天津のフランス祖界で育った令嬢である。
「栄子、マリー、今日はイギリスを旅行した時のお土産を持ってきたわ。」
婉容はプレゼントの包みを渡す。
マリーには香水、栄子にはテディベアだ。
「こちらはわたくしが好きなローズマリーの香り。大切に使わせて頂きますわ。」
「皇后様ありがとうございます。私もテディベア嬉しいですわ。ところでマリー、今日はどうなさったの?」
マリーは2人にお願いがあって呼んだのだ。
「実はわたくしお茶会を開こうと思いますの。」
「お茶会?近隣のプリンセス達を招待なさるね?」
栄子が尋ねる。
「いえ、平民や農村の少女達を招待しようと思ってますの。」




