75 ポーション
ダンジョンに行くと決めたからには準備が必要だ。往きと帰り、ダンジョンの中で必要な分の食糧と水は大丈夫だと思う。ただ、調理する余裕はないかもしれないからすぐに食べられるように予め作っておこう。
あとは、薬とかかな。回復魔法はあるけど魔力が足りなくなる可能性もあるから準備しておいたほうがいいだろう。
「体力や魔力を回復させる薬っていくらくらいしますか?」
「品質や回復量で金額が変わるけど、1番安いやつで銀貨5枚からって感じかな。上級ポーションは金貨10枚からだし、魔力回復ポーションは下級ですら金貨5枚はするな」
高っっ!! せっかく貯めたお金が全部なくなるわ。必要な物だけど買うのはなしだな。ポーション買うくらいならダンジョンには行かないで市場で買い物したほうがいい。
見習い冒険者や新人冒険者が行くくらいだからそこまで危険なダンジョンではないと思うんだけど、何も用意しないで行くのはちょっと心配だな。ポーションの代わりになりそうな物がないか後で調べてみよう。とりあえずは出来る準備からしておこうか。
アイテムボックスからレッドボアの肉を取り出して一口サイズに切り分けておく。塩とハーブで味付けをしたら焼いてお皿に移す。大きな葉をラップの代わりにして皿を包んだらアイテムボックスに戻しておく。
小麦粉に水と少しの塩を入れ混ぜ合わせる。あ、卵と牛乳があるんだった。追加でそれも加えて生地を作る。ちょっと豪華になった生地でクレープを焼いたら皿に移し葉で包む。お腹にたまるようにクレープは少し厚めにしておいた。
それにしても野菜が全然足りないな。仕方がないから採取しておいたクルト草とニラを使うか。両方とも茹でて水気を切ったら先に準備しておいたクレープ生地で肉と野菜を巻いたら完成だ。デザートにタロルの実も剥いておこう。
1週間分だからかなりの量になったがなんとか終わった。毎日同じ味付けの料理だけど調味料がないから我慢だ。塩が沢山手に入ったら絶対に醤油と味噌を作ってやる。
食糧は準備できたけど、他の準備はどうしようかな。足りなかった道具はジャンさん達にもらったから急いで買わなきゃいけない物はないはずだ。となると、やっぱりポーションかなぁ。
レナウス草がポーションに使われているのは鑑定したから知っているけど、作り方は知らないんだよな。
「そういえば、ジャンさん達のパーティーはポーションとかってどうしてるんですか?」
「うちはリーダーがまとめて買って管理しているよ。回復ポーションも魔力回復ポーションも活動費から買うようにしているから、お金の管理をしているリーダーが準備してくれるんだ」
「作ったりはしないんですか?」
「そう簡単に作れる物じゃないよ。材料は揃えることができても調合ができないし、ポーション瓶も用意しなきゃいけないからすごく大変なんだよ」
「ポーション瓶?」
「そう、専用の瓶があるんだ。ポーションは劣化しやすいから持ち運ぶ用にちゃんとした瓶に入れなきゃいけないの。中身だけじゃなく瓶も大事なんだ」
なるほどな。ジャンさんが持っていたポーションを見せてもらう。半透明の瓶でコルクで栓がしてある。栄養ドリンクと同じくらいの重さだから内容量もそれくらいだろう。鑑定してみると中級ポーションで品質は良いと出ていた。
錬金のスキルをたくさん習得していたからポーションも作れると思うんだよね。検索して材料と作り方を調べてみるか。
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調べてみた結果、頑張ればいけそうな気がする。材料を集めるのに少し時間がかかりそうだけど、作るのはスキルがあるから大丈夫だ。ただ、ポーション瓶を作るには新しくスキルを習得しなきゃいけないからちょっと悩むな。
アイテムボックスに入れておけば劣化はしないけど、いざというときにすぐ使えなさそう。スキルポイントは使うけど、ポーション瓶も作れるようにしておこうかな。
ポーションとポーション瓶の材料が足りないから、明日はそれを採取しに行こう。検索で調べてみたら材料は全部森の中にあるみたいだから、明日1日使えば揃うだろう。
魔力を回復させるポーションの材料で【月光草】って言うのがあるんだけど、これは夜じゃないと採取できないようだから今から行ってこよう。そんなに遠くないから魔物に気を付けて行けば大丈夫だと思う。
「ジャンさん、ちょっと出掛けてきますね」
「えっ、今から!?」
「はい、月光草を取りに行ってきます」
「絶対ダメ! 夜の森は危ないんだよ、許可出来ません!」
うわ~、予想以上に反対された。それだけ危険なんだろうけど月光草って生えてる場所が変わるみたいだし、近くにあるなら今採取したほうがリスクは少ないだろう。
なんとか説得しないといけないな。




