60 秘密を話しました
「さて、何を話せばいいですか?」
「…全部だ」
「適当に言わないでくださいよ。とりあえず、最初から話しますね」
私は産まれてから今までのことをスキルのことも含めて順に話した。
ただ、神様にスキルをつけてもらったことや、前世の記憶があることは言わなかった。
言ったとしても信じてもらえないだろうし、下手したらヤバい人だと思われる。それなら産まれてからのことだけでいい。
最初はいくつものスキルを使えることを信じてもらえなかったが、実際に目の前で使って見せると驚きながらも信じてくれた。
「それだけのスキル、いや、ギフトがあればすぐにでも家に戻れるんじゃないのか?」
「あんな扱いをされて親と一緒にいたいと思いますか? 僕は名前も知らない親と一緒に住むくらいなら、どんなに貧乏でも1人で生活することを選びます」
「スラム街で育てるのは理由があるからだ。お前もそのおかげでギフトを手に入れたんだろ」
「違いますよ。本当のギフトは産まれたときにはもう持っています。僕のはレベルを上げて、自分の力で習得したものです」
「ちょっと待て、どういうことだ?」
「だから、ギフトは産まれたときに持っているもので、それ以外は努力次第ってことです。6歳までとか生活する環境とかいろいろあるみたいですけど、あれは殆ど無意味ですから」
「なんでそんなこと知っているんだ?」
「産まれて2~3日後からの記憶に基づいて考えた結果です。多分、他の子供もちゃんと教育すれば早くて3歳、頑張れば6歳までに何かしらスキルを覚えますよ。勿論、適性の関係で覚えられないこともあると思いますけど」
「マジっすか! じゃあ、俺が捨てられたのは俺のせいじゃないってことですね」
「こいつの話が本当ならな」
「信じるかどうかは任せますが、嘘はついてませんよ」
尾行していた人も私と同じ環境で育ったらしい。やっぱり、スラム街で育った子供は冒険者になることが多いんだろうな。
「興味があるなら誰か育てて見ればいいんじゃないですか? 親に捨てられた3歳の子供なんてたくさんいるでしょ」
「う~ん、その話が本当なら試す価値はあるけど…」
「これで僕の話は終わりです。これで買い取りしてもらえますよね」
「細かいことはその都度聞く。あとはお前の扱いについてだ」
「今まで通りでいいじゃないですか」
「ダメだ。お前、まだ隠してることがあるだろう?」
「……」
「何を隠しているのか知らないが、このまま1人で行動させるのは危険だ」
それはそうだけど、他の子供達みたいに見習い冒険者の世話になるつもりはない。物事を進めるペースが遅くなるのは間違いないし、これ以上秘密を知る人を増やしたくない。
「ギルド長が面倒みてくれるならいいですよ」
「俺は無理に決まってるだろう。他の冒険者と一緒に行動するべきだ」
「スキルを隠すのが面倒なので1人がいいです。行動を制限されたくありません」
「なら、秘密を知っている奴ならいいだろ」
そう言って隣にいた冒険者を見る。
「俺ですか!? さすがにリーダーに聞かないと決められないですよ」
「アイツなら大丈夫だ」
「まぁ、うちのリーダーもスラム街で育ったから、子供の世話は慣れてますけど…」
「世話をしてもらう必要はありません。何かあったときのカモフラージュ用って感じでなら一緒にいても大丈夫だと思います」
「カモフラージュ?」
「見習い冒険者では倒せないような魔物を倒した時とか、ダンジョンに行く時とか、やっているのは僕じゃなくて先輩冒険者ですよって周りに勘違いしてもらうためのカモフラージュです」
「あぁ、そういうこと」
「どうするかはお任せします。そっちは監視ができるし僕も目立たなくてすむので、お互いにいい話かもしれないですね」
契約魔法のおかげで秘密は守ってもらえるから、監視されるくらいなら許容範囲内だ。
今後、どうするのか話をしておいたほうがいいみたいだな。




