52 VSギルド長2
言わないと帰してくれなさそうだな…。でも、言ったら面倒なことになりそうだし、できることなら話したくない。
ギルド長になれるくらいだからそれなりに強いし人望もあるのかもしれないけど、だからといって私のこと誰かにしゃべらないとは言い切れない。
必要になれば情報を渡すかもしれないし、その情報が私の親にいく可能性もある。
絶対に誰にも話さないと確信できるまでは秘密にしておきたいんだけど、この状況だと難しいな。
「話すには条件があります。それが守れるなら質問に答えます」
「どんな条件だ?」
「これから僕が話す内容を誰にも言わないこと。どうしても言わなきゃいけない時は前もって僕に確認すること。僕の不利になる態度や行動をしないこと。破った場合は罰を受けること。これが条件です。」
この条件なら話してもいいけど、諦めてくれたらもっといい。
「受ける罰はどんなのだ?」
「まだ決めてません。死ぬような罰にするつもりはないですけど、それなりの罰は受けてもらいますよ」
「わかった。その条件でいい」
「決断が早いですね。もう少し迷うかと思っていたんですけど…」
「なんとなく想像はしていたからな。話してくれるんだろう?」
「はい。けど、ここじゃ話せないので場所を変えましょう。僕の家まで来てもらえますか?」
「ここで話せばいいだろう」
「嫌ですよ、近くに人が多すぎます」
「今は時間がないから無理だ。今日の夕方でもいいか?」
「大丈夫です。じゃあ、依頼を受けてくるので終わったらまた来ます」
「逃げるなよ」
逃げられるなら逃げてるよ。とりあえず微笑みを返しておく。
「では、また後で」
応接室から出るとすぐ近くにソニアさんが立っていた。やっぱり外にいたか。いい人だけど、まだ知られたくないので場所を変えてもらって正解だな。
「大丈夫だった?」
「はい。依頼を受けたいので手続きをお願いします」
もう余計なことはしたくないからさっさと依頼を受けてしまおう。少し時間が遅くなったけど、今からでも仕事はあるはずだ。
手続きは依頼書にギルドの判子を押すだけだった。依頼が終わったら依頼主にサインをもらってギルドに提出すれば完了らしい。
ソニアさんに場所を聞いて農場へ向かった。
農場はスラム街と真逆の方向にあった。城壁で遮られていたからわからなかったけど、スラム街の反対側の土地では農業が盛んに行われているようで、畑や牧草地が広がっていた。
教えてもらった目印を頼りに依頼主のいる農場を探す。牛の銅像がある家って言われていたから、すぐに見つけることができた。
入り口の門をくぐり家に向かう。チラッと見えたけど、家の裏の方に農場の設備などがあるみたいだ。敷地は柵で囲ってあるようで、ものすごく広い。移動が大変そうだ。
「こんにちはー。ギルドの依頼で来ました」
玄関についたノッカーをゴンゴン鳴らして家主を呼ぶ。パタパタと足音が聞こえてきたので身なりを正す。
「どちら様?」
「こんにちは、僕はノアです。ギルドで依頼を受けました」
「ああ、来てくれたのね。主人を呼ぶから少し待ってて」
この人はこの農場の奥さんみたいだ。優しそうな雰囲気の人だな。
家の周りを観察しながら待っていると、奥さんが依頼主を連れてきた。
「お前が手伝ってくれるやつか?」
デカっ!! 2メートルくらいあるんじゃないか?
口元に髭を生やし色黒でマッチョなおじさんがやって来た。
「はい、ノアといいます。よろしくお願いします」
「仕事はキツいが大丈夫か? ちゃんとやらないと給料は出さないぞ」
「大丈夫です。頑張りますので、いろいろ教えて下さい」
「じゃあ、手伝ってもらおうか。すぐにへばるなよ」
初めての依頼だから頑張らないと。上手くいけば定期的に仕事をもらえるかもしれないから、気に入ってもらえるようにしなきゃ。




