51 VSギルド長
「こんにちは。今日は買い取りと依頼を受けにきました」
「どの依頼を受けるんだ?」
「これです。農場のお手伝い」
ギルド長に依頼書を渡すと内容を確認している。何か考えているようだけど、関わりたくないからほっとこう。
「その子犬はどうした?」
「拾いました。僕が育てます」
「いや、無理だろ」
「大丈夫です。そのためにも依頼を受けるんですから」
「坊主だって捨てられたばかりだろう。可哀想ってだけじゃ育てるのは無理だ。いた場所に返したらどうだ?」
「大丈夫です」
「……頑固なガキだな。どうなっても知らんぞ」
「ご忠告ありがとうございます」
ハクは肉食だから餌に困ることはないと思う。ホーンラビットの肉はたくさんあるし、レッドボアの肉もある。
レベル上げのために何匹も倒さないといけないから、肉がなくなることはないだろう。
もっと大きくなったら自分で狩りもできるようになるだろうし、それまでの間くらいならなんとかなるはずだ。
念のため、食べる量の少ない今のうちから餌は蓄えておくつもりだけどね。
話は終わったはずなのにギルド長は動こうとしない。こちらを、というかハクを見ている。
かわいいから撫でたいのかな? それにしては真剣な表情をしているけど…。
気まずい空気の中しばらく待っているとソニアさんが戻ってきてくれた。助かったぁ、これで解放される。
ソニアさんは戻ってくるとギルド長に何か耳打ちする。話が終わる頃にはものすごく不機嫌そうな顔をしたギルド長の出来上がりだ。
「鑑定が終わったそうだ」
なんでそんな顔なんだよ…。ただでさえ厳つい顔をしているのに、さらに不機嫌な顔がプラスされたらめっちゃ恐いって。
ビビっているのがバレないようにすました顔をつくる。ここで目をそらしたら負けだ。うっすらと微笑みながら質問をした。
「どうかしましたか? 何もなければ買い取りを終わらせましょう。このあとも予定があるので忙しいんです」
「場所を変えよう。奥の部屋に来なさい」
「何故ですか? 話すことはありませんが…」
「いいから来なさい。これは命令だ」
「従う義務はないはずですが?」
ギルド長がプルプルしてきた。顔が真っ赤になって、怒りで爆発寸前って感じ。
というか、何の用だろう? 用件を言わなきゃわからないよ。聞いてみても言わないし。
何度か同じ事を繰り返したが話が進まない。仕方ない、こちらが折れてやるか。
「はぁ、わかりました。行きますよ」
「こんのクソガキ!!」
「子供相手にマジにならないでください。用件をちゃんと言ってくれたら素直に従うのに…」
「いいからこい!!」
大人しくギルド長のあとをついていく。奥の応接室みたいな部屋に入り、ソファーに座らされた。
「ソニアは席を外せ」
「……わかりました」
えっ、行っちゃうの!? こんな状況で二人きりにしないでほしいんだけど。
ソニアさんが出ていってしまったので、ものすごく気まずい雰囲気がただよっている。話があるならさっさと話せばいいのに。
なかなか話さないからハクを抱っこして頭を撫でる。あぁ、癒される。尻尾をピョコピョコ振っていてかわいいなぁ。
ギルド長をほっといてハクと仲良くしているとやっと話始めた。
「今日持ってきたものはどうした?」
「買い取りと関係ありますか?」
「盗品なら買い取りはできない」
「盗品じゃないので大丈夫ですね。疑うなら水晶持ってきて調べてください」
「盗品じゃないならどうやって手に入れた?」
「秘密です」
「お前が倒したのか?」
「秘密です」
またこのやり取りか、面倒くさいなぁ。言わないってわかっているだろうに。
しかし、さすがにレッドボアの素材を出したのはまずかったか…。欲張り過ぎたな、今後は注意しよう。
「何故言わないんだ? やましい事がなければ話しても問題ないだろう」
「ギルド長といえど会って間もない人は信用出来ませんので」
「ソニアになら話すか?」
「いいえ、そこまで信用していません」
「どうしたら話すようになるんだ?」
この人、なにがなんでも話させる気だな。さて、どうしたもんか……。




