47 何かがいました
ある程度仕分けが終わったので、今日のメインイベントを始めるとしよう。
袋を敷いてその上にレッドボアのお肉を出す。まな板がないので、森で見つけた大きめの木の板を代わりに使う。
私の身体よりも大きい塊なので、とりあえず食べやすい大きさに切り分けていこう。
脂身の部分がかなり多いので、半分を残し切り落としていく。後で加工するから捨てないでアイテムボックスに戻しておこう。
半分はステーキサイズに切り分けて残りはブロック肉にしよう。塩を買ったからベーコンにするのもありだな。砂糖はないけど蜂蜜で代用できそうだから、市場に行ったら売っているかチェックしなきゃ。
全部切り分けようと思っていたんだけど、あまりにも量が多いので半分だけ切り分けてもう半分はそのまま仕舞うことにした。
半年間は持ちそうな量があるな。これからもレベルアップのためにレッドボアを倒すとアイテムボックスがお肉だらけになりそうだ。
お肉は充分あるから売れるようなら売ってもいいかもしれない。次のレッドボアを倒したらギルドか肉屋に持っていってみよう。
最初に切ったステーキサイズのお肉には軽く塩で味付けをしてある。ローズマリーものせて香り付け中だ。
片付けも終わり、辺りも暗くなってきたからそろそろ料理を始めないと。初めて食べるレッドボアのお肉だし、折角だから焚き火で焼こう。
鍋を使って焼くけど、脂身が多いのでくっつく心配はないと思う。焦げないように火加減には注意しよう。
最初は味付けも何もしていない状態で焼くことにした。見た感じは美味しそうだけど、もしかしたら獣臭いかもしれないからね。
焼きあがったものを木の皿に移し、今度は味付けをしたお肉を焼き始める。
どちらもいい匂いがしている。魔物の肉だけど変な匂いは全然しないから味も大丈夫だろう。
「ふふん、ふーん。ふふふーん、ふふふん」
ご機嫌に鼻歌を歌いながら調理を続けていると、近くの茂みからカサカサと小さく音がなった。
お肉のことで頭がいっぱいになっている私は全く気づかずに調理をしていたが、小さく聞こえていたカサカサは段々と近づいてきている。
ガサッッ
はっきりと音がしてやっと気がついた。茂みの前に小さな何かが落ちている。
「ヤバ、気を抜きすぎてた。なんだろう?」
気配察知はずっとしていたけど反応はなかったんだよね。スライムですら近づけば気づくはずなのに。
焼きあがったお肉は皿に移し、茂みのほうへ確認をしにいく。幽霊じゃありませんように…。
近づいて見てみると僅かに動いているようだ。危なそうな気配は感じないのでそっと触ってみる。
これ毛だ。ゴミや泥が毛に絡まりガビガビになっているけど、触った感触は動物の毛だと思う。
両手で持ち上げ焚き火の近くに運んだ。明るいところで確認すると、毛は血と汚れで赤黒く染まっていて小さな身体からは新しく血が流れていた。
「怪我してる。ぐったりしているし呼吸も荒いかも」
対処法がわからないので、とりあえずヒールをかけてみるが変化はなさそうだ。
回復量が足りないのかもしれない。安定するまで何度もかけるしかないな。何となくキュアも追加してみた。私の中でヒールとキュアはセットだからね。
魔力に問題はなかったので、様子を見ながら何度も続けていると毛玉が少し動くようになってきた。
ちょっとは回復したのかな? しばらくすると呼吸も落ち着いてきて寝ているように見えた。
傷の確認をしたいんだけどあまりにも汚すぎなので、お湯を沸かして身体を洗うことにした。
身体の負担にならないように慎重にお湯かけ、やさしく毛をこする。
石鹸がないから1度じゃ汚れは落ちなくて、何度も濯いでようやくそれが何かわかった。
「これ、子犬じゃない?」
白っぽい毛をした犬科の動物だと思う。あ、鑑定すればいいんだった。




