42 ギルド長
「こんにちは、お仕事お疲れ様です」
「あら、いらっしゃい。すごい荷物ね」
「はい、買い取りをお願いします」
そう言って袋を差し出す。本当ならカウンターに置きたかったが届かないから諦めた。
気がついたお姉さんは受付の外まで来てくれて、ついでに踏み台を置いてくれた。
「随分大きな袋ね。中身は何?」
「レナウス草です。買い取り金額も昨日と同じで大丈夫ですか?」
「えっ、これ全部!? 金額は同じだけど、こんなにあるなんて…」
「制限とかありましたか? ダメなら持って帰りますけど」
「大丈夫よ。量が多いから驚いただけ。鑑定するから少し待っていてくれる?」
「はい、それとこれもお願いしたいんですけど」
先程剥がしておいたレナウス草採取の依頼書をカウンターにおく。お姉さんは依頼書を見ると少し考えて、
「私の判断だけではどうにもできないわ。上司に確認するから時間をちょうだい」
「わかりました。時間がかかるなら本か何か貸してもらえませんか?」
「…ちょっと待ってね、魔物の本ならあるから持ってくるわ」
なるほど、この世界ではモンスターじゃなくて魔物と呼んでいるのか。
待っていると大きな辞書みたいな本を持ってきてくれた。今まで使っていた植物紙じゃなくて羊皮紙ってやつだと思う。
「絵が書いてあるから見ているだけでも面白いわよ」
「ありがとうございます」
お姉さんは大きな袋を持って別室へ行ったのでカウンターの上に置いてある本を読み始める。
本には魔物の名前や特徴、弱点と倒し方、討伐証明部位等が書かれている。
魔物の絵も書かれているので確かに面白い。すべての魔物に弱点や倒し方が書かれているわけではないようだ。
多分、魔物が強すぎて分からないんだと思う。名前と特徴だけ書かれているものも多かった。
弱い魔物から順に見ていく。スライムとホーンラビットしか倒したことがないからすごくありがたい。夢中になって読み続けた。
鑑定があるから名前は今すぐ覚えなくても大丈夫だけど、弱点と倒し方はある程度頭に入れておきたい。
討伐証明部位も解体とアイテムボックスがあるからなんとかなるだろう。全部は覚えられなくても、一通り確認しておいたほうがいいな。
しばらく読んでいると別室からお姉さんが戻ってきた。その後ろには見たことのない男性がいた。
「お待たせ。この人はここのギルド長よ」
「ナードだ。話は聞いた」
「ノアです。よろしくお願いします」
「このレナウス草は全部坊主が採ってきたのか?」
……マジかよ、ギルド長が出てくるとは思ってなかった。登録の時に性別を男にしたから女ってことはバレてないみたいだけど、もう少し男の子っぽい態度で接しないとすぐに気づきそうだな。
「それは買い取りと関係ありますか?」
「買い取りだけなら関係ない。だが、依頼となると話は別だ」
「全部1人で採取しましたよ。場所教えましょうか?」
「いや、大丈夫だ。もう1度質問するからこれに手を置いてくれ」
ギルド長は透明な水晶のような物を取り出すと私の前に置いた。
余計なことは聞かないほうがいいだろう。鑑定したいが、目の前でスキルを使ったらバレそうだからやめておこう。
大人しく手を乗せると同じ質問をされた。水晶を観察していたけど、何も起こらなかった。
「嘘はついていないな。本当に自分で採取したようだ」
「買い取りしてもらえますか?」
「……あぁ、大丈夫だ」
盗んできたと疑われているのだろうか? あの水晶って嘘発見器みたいな魔道具なんだと思うけど、どんな原理で動いているんだろう?
「依頼についてはどうなりますか?」
「依頼はまだダメだ。受けるためのランクが足りない。1つ上の依頼までしか受けることはできないから今回は諦めろ」
まぁ、妥当な判断だな。これは予想していたから問題ない。買い取ってもらえるだけで充分なんだ。
「ただ、今後ランクが上がり採取依頼を受けられる状態になったら、今日の分を成果として加算しよう」
「ありがとうございます」
とりあえず、今日の分は無駄にはならないようだ。なら、他の依頼も同じように後で加算してもらえるかも。
よし、ギルド長にお願いしよう。




