33 登録
念のため【隠蔽】と【ステータス偽装】は常にしてあるから大丈夫だろう。少し緊張しながらカウンターに近づくと受付の女性が気がついてくれた。
「いらっしゃい。どうしたの?」
「仮洗礼が終わったので、見習い冒険者の登録に来ました。ここで登録できますか?」
一瞬、受付のお姉さんがびっくりした顔をした気がするんだけど何に対してだろう?
「ええ、ここで大丈夫よ。誰かと一緒に来たの?」
「いえ、1人です。誰かの紹介がないと登録できないんですか?」
「紹介がなくても登録できるわ。ただ、他の子は先輩の見習い冒険者達が一緒だったから気になっただけ。昨日登録していったわ」
教会にいた子供達は先輩が連れて来ていたのか。もしかしたら、そういう仕組みができているのかもしれない。もう少し教会に残っていればよかったな。
まぁ、登録はできるんだからいいか。私1人しかいないし、この時間は冒険者も少ないからギルドについて詳しいことを教えてもらおう。
「昨日は教会からすぐに帰ったので知りませんでした。他の子も冒険者の登録をするのは知っていたので来ました。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね。じゃあ、登録しちゃいましょう。プレートは持ってきた?」
「あります」
そう言ってプレートを渡す。お姉さんはプレートを受けとると何か準備を始めた。スキルも登録しなきゃいけないなら誤魔化したほうがいいかな? 昨日仮洗礼が終わったばっかりだし、バレて取り消しになったら困るな。
「登録は何をすればいいんですか?」
「必要事項を記入してもらうだけよ。あと、血を1滴もらうわ」
仮洗礼の時にプレートを作った感じかな。どんな仕組みで登録されてるんだろう? 魔法とか魔道具を使っていそうだな。さすが異世界。
「それじゃあ、この紙に必要事項を記入してもらうんだけど、それは私が代筆するわ。質問するから答えてね」
「なんで代筆なんですか? 自分で書きますよ」
一々めんどくさい。自分で書いたほうが早く終わるだろうに。
「机まで届かないからね。文字を書けない子も多いし」
あ、確かに届かないわ。踏み台がなければ何も出来ないなんて、なんて不自由なんだ。身長よ、早く伸びろ!
私の様子を見ていたお姉さんは、カウンターの奥からちょうどいい高さの木箱を持ってきてくれた。
「これに乗れば届くかな。……うん、大丈夫そうね。じゃあ記入しちゃって」
「はい」
優しいお姉さんのおかげで机に届いたので記入を始める。見習い冒険者の登録は名前・年齢・性別・出身・スキルを記入すればいいようだ。名前などはちゃんと書いてスキルのところは空欄でいいだろう。
書いている間、受付のお姉さんがずっと見てくるけど何なんだろう? 変なところはないと思うけど、やっぱり1人で来るのはめずらしいのかな。
「終わりました。お願いします」
「ちゃんと書けてるわね。じゃあ、このカードに血を垂らしてくれる」
渡されたカードに血を垂らして返すと私のやることは終了だ。
「カードの仕上げをしてくるから、少し待っていてくれる。ギルドの中にいてくれるなら何をしていても大丈夫よ」
「わかりました」
お姉さんはカウンターの後ろにある別の部屋に行ったので、私はギルドの中を探検しよう。さっきから掲示板が気になっていたんだよね。
掲示板を見てみると、ランクごとに依頼書が貼ってあった。AからFまであり、さまざまな内容の依頼があるようだ。その隣に小さな掲示板があった。ランクはGからIまでだ。内容が掃除やゴミ回収、通りの清掃などお手伝いレベルなので見習い用の掲示板なのだろう。もちろん報酬額も冒険者に比べると安い。
それでも自力で稼げるから、捨てられた子供でもなんとか生活していけるだろう。
「お待たせ。カードができたからカウンターに来て」
案外早くできたな。これで今日から見習い冒険者だ。掲示板には買い取り金額とかは書いてなかったから、見習いでも買い取ってもらえるのか聞かなくちゃ。
あぁ、ワクワクしてきた!




