異世界とスキル
この新しい世界で生きて行くとしても、ここが何処なのか知らないので、まずは詳しく教えてもらうことにしよう。
「……わかりました。この世界で生きるしか選択肢がないようなので、ここで頑張ります」
「そう言ってもらえると助かる。こちらのミスが原因なので、最大限協力はさせてもらおう」
「じゃあ、とりあえずこの世界のことを教えてもらえませんか? ここが何処なのか、どんな生活なのかとか」
「簡単にいうと、剣と魔法、そしてモンスターがいる世界だ」
簡単過ぎる説明だったけど、なんとなく理解出来てしまった……。
よく小説とかマンガである設定だ。
「スキルやレベルもあるぞ」
確定だな。きっとギルドがあって冒険者もいるんだろう。
最大限協力してくれるって言ってたし、チートスキルもらってどこか静かなところでのんびりすごそう。
異世界に来てまで苦労したくないし、危険なことに関わりたくない。と言うか、人と関わりたくない。
あんなクソみたいな人生なんて思い出したくもない。贅沢は言わないから平凡で幸せな生活がしたい。
そうだな、山奥で自給自足のスローライフなんていいんじゃないか。
よしっっ。そうと決まれば、スキルをもらおう。
確か前に読んだ小説の中に異世界系の話があったはず。使いやすそうなスキルがいいなぁとワクワクしながら考えていた。
「ちなみに、この星の名はビルダ。ビルダに住む者はほとんど知らないがな」
「なんで知らないんですか?」
「わかりやすいように名前が付いてるだけだし、そもそも、そこまで文明が進んでないからな。
お前のいた世界でも、昔は自分の住んでいる星が地球って呼ばれていることを知らない人も多かっただろ」
そうかもしれない。ってことは地球の文明で例えるといつぐらいになるんだろう?
「大体中世ヨーロッパってところだな。もちろん、多少差はあるが」
………あれっ、心読まれてる?
「神なんだからそれくらい出来て当然だろ」
やっぱり。そうかなぁとは思ってたけど、この人は神様なんだ。
「それなら話は早いです。いいスキルを付けてください。現代っ子の私が異世界で困らないようにたくさんください!」
「スキルは育てるものだからそんなには付けれないぞ。最初から持っている者もいるが、1つか2つだ。それでいいか?」
えぇ~、そこからいろいろ育てるって結構大変なんじゃない? なんか思ってたのと少し違う気がする。
「この世界のスキルはスキルツリーといって、初級から順に覚えていくものだ」
あぁ、あれか。枝分かれしてるやつ。
「各属性とその他特殊属性があり、適性のないものでも覚えられるが、覚えるのに物凄く時間が掛かるし、頑張って覚えても適性のある者と比べると劣るうえ消費する魔力が多くなる」
なるほど。適性が全属性になっても育てるのが大変だな。経験値が増えるようにしてもらえばなんとかなるか?
こんなことならもっと小説読んでおけばよかったな。にわか知識を駆使しもらうスキルを考えるのだった。