28 スキル作成
私は日本にいた時にお世話になっていた検索システムの説明をした。なんでも教えてくれる凄い先生のことだ。
「こんな感じで、知りたいことがすぐに分かるようなスキルが欲しいんです」
「いやいや、さすがにこれは許可出来ない。人間に与えるスキルの上限を超えておる」
「でも、今までは当たり前のように使っていたんです。日本の物が取り寄せられないなら、せめて情報だけでもスキルで何とかしてください」
「そうはいっても、そんなスキルは存在しない。ないものは与えられん」
「じゃあ作りましょう! 神様なら朝飯前ですよね」
ここは強引に押し通す! 情報さえ手に入るようになれば1人でも生きていける。そのためにはなんでもしてやる。
「申し訳ないが無理だ」
「お願いします。神様しか頼れる人がいないんです。このままじゃすぐに死んじゃいます」
土下座で懇願する。案の定、神様がオロオロしている。3歳児に全力の土下座をされて拒否するのは難しいだろう。中身は三十路だが…。
「頭を上げなさい。そんなに頼まれてもないものはない」
「作ることすら不可能なんですか?」
「それは可能だが、人間に与えるわけにはいかないんだ」
「困っていることがあったら協力してくれるって言ったじゃないですか。すごく困っているので助けてください」
スキルはないが作れることは分かった。なら、作ってもらおうじゃないか! 下を向いて顔に力を入れ目を見開く。あー、きたきた、もう少し……、よし、出た。
「お願いします。必要なんです…」
涙を流しながら神様のところに駆け寄る。小さな手で神様の服を握り締め、少し赤くなった瞳で神様を見つめる。ちょっと眉を下げるように顔を動かし困り顔をつくって、さらに何度も懇願する。
「お願いします。お願いします…」
「……分かった! 分かったから泣くでない!」
落ちたっっ!! 1度下を向き涙をこぼしてからゆっくり顔を上げ、頬をつたう涙を拭う。軽く鼻をすするのも忘れてはいけない。目をウルウルさせておくのも大事なポイントだ。
「……取り乱してすみません。でも、もうあんなに苦しみたくないんです」
「分かった。いきなりこの世界に来て1人で生活するのは大変だっただろう。原因はこちらにあるのに、なんの説明もなしで3年もすごさせたんだ。せめて情報は見れるようにしておくべきだったのかもしれん」
「じゃあ、スキルを作ってくださるんですか?」
「ああ、少し時間がかかるが希望しているようなスキルを与えよう」
おぉっっし!! 心の中で渾身のガッツポーズを決める。いや~、上手くいったな。土下座も嘘泣きも、今まで毒親に対して散々やってきたんだよ。これだけなら女優になれるぐらいの自信があった。3歳児の姿ならなおさらダメージをくらうだろう。もうしばらくはシュンとした態度をとっておこう。
…ヤバい、顔がにやける。小さく息を吐き気持ちを切り替える。
「ありがとうございます。本当にありがとうございます」
「名付けが終わる頃には作り終わるだろう。それまでは待っていてくれ」
「わかりました」
「じゃあ、そろそろ戻そう。次に会えるとしたらまた3年後だな」
「はい。スキルの件、本当にありがとうございました!」
目の前が真っ白になるほど光ったかと思ったら、教会の中で三角座りをしていた。神父がまだ神様の話をしているから、こっちでは時間があまり進んではいないようだ。
その後しばらくたって話が終わり、いよいよ名前をつけてもらう時がきた。
あぁ~、疲れた……。




