24 教会にて
大きな城門の前では兵士らしき人が通行人の確認をしている。私たちの団体は事前に話を通してあったのか、そのまま中に入ることが出来た。
城壁の中はまるで外国の街のようだった。道には石畳が敷かれ舗装されているし馬車が走っている。通りの脇にはレンガでできた家が建ち並び、多くの人達が生活している。思ったよりも活気があった。
(うわ~、映画で見た街にそっくりだ。観光したいな)
キョロキョロしているのは私だけじゃなく、殆どの子供が同じように街を見ていた。これなら浮かずに済むな。
前の人達が移動し始めたのでそれについていく。ゆっくり見て回りたいけど、また今度だ。街の中心に行くのかと思いきや脇道に入って行く。少し進むとレンガ造りだった家が木造に変わっていった。道こそ舗装されているものの、全体的に廃れた雰囲気が漂っている。あー、なるほど。貧困層の住む地域だ。10分ほど歩くと教会に着いた。
思ってた教会とはだいぶ違うな。私のイメージだと大きくて厳格な感じの、聖堂とか神殿とかそんな場所だと思っていたんだけど、実際は木造の大きな家って感じ。三角屋根の上に十字架があるから、辛うじて教会だと分かる。
スラム街の子供がそんな立派な教会に行けるはずないか。木造でも教会があるだけましだろう。スラム街にはないんだから。
中は意外とちゃんとしていた。古い建物だけど清潔に保たれており、派手さはないが、質素で教会らしい内装をしている。今日のために椅子を退かしたのか、両脇に移動してあった。
「子供たちは前に来なさい」
神父らしき人が子供を前に集め、親は後ろで見ているようだ。前に座らされると神父からありがたいであろうお話を聞かされる。最初の話はこの国についてだった。
前にゴミ山で会ったお兄さんから話を聞いていたので、目新しい情報はなかった。言い方が違うだけで大体同じだ。むしろ、だいぶ濁した言い方をするのでわかりにくいくらいだった。
(神父、ちゃんと説明する気ないなぁ。子供だから分からないと思ってるんだろうけど、親も聞いているのにこんなのでいいのか?)
後ろで聞いている親達を見てみると、何度か聞いた話なのか誰もちゃんと聞いていないようだった。情報交換なのか、ただのお喋りなのかは知らないが、近くの人とこそこそ話をしている。なるほど、適当になるのもわかるな。
「次にこの国の神様のお話をしましょう。皆さん、神様のお名前は知っていますか?」
どうやら次の話は神様についてのようだ。
「この世界に神様は1人だけです。どこの国でもその神様を崇めています。お名前はアルゴニウス様とおっしゃって、皆さんにギフトを授けてくださる、とても偉い方なのです」
子供向けに簡単に説明する。
(こんなところに転生させやがって…。神様の話なんか聞きたくない)
聞かされるのが神様の話だと分かったので聞くのをやめた。1度会ったことあるし、ありがたくもないからね。
三角座りをしている足のあいだに顔を埋めて目を閉じる。手で耳を押さえて出来る限り音が聞こえないようにしてから関係のないことを考えて時間をつぶす。
(今日は名前をつけてもらうんだったな。普通な感じで2文字か3文字がいいなぁ)
この国の人の名前を一切知らないので、異世界というイメージで名前を考える。日本人らしい名前はつかないだろうな。贅沢は言わないが、呼ばれて恥ずかしくなるような名前だけはやめてほしい……。
考え事に集中していたため自分の前に誰かがいるのに気づくのが遅くなった。ヤバっ、さすがに寝たふりは怒られるか。でも、神父なら素直に謝っておけば許してくれるだろう。
そっと目を開けて前を向く。すると、どこかで見た光景が広がっていた。
「……お前か」
……そこには土下座をした神様がいた……




