21 情報収集しよう
「あの、聞きたいことがあるの」
「いいよ。何?」
「全部。私、何も知らない」
彼は少し考えるような仕草をしてから答えてくれた。
「その前に、いくつか質問していい?」
「うん」
「じゃあ、君の名前と年齢を教えて?」
………名前!? そういえば、私自分の名前知らない! 1度も呼ばれたことなかったし、前世の名前があるからか気にしたことなかった。
「もうすぐ3歳になるけど、名前は知らない」
「やっぱり。じゃあ、順に教えてあげる」
彼は子供にも理解出来るようにゆっくり説明してくれた。
この国の子供は3歳になると教会で行う命名式に参加して名前をもらう。その後、6歳になると洗礼を受け、15歳で成人を迎える。
儀式は春と秋の2回で、生まれた月でどちらに参加するかが決まる。春の儀式はもう終わったので、私は秋の儀式に参加する可能性が高い。あと2ヶ月ほどあとだ。ちなみに、3歳になるまでは人として見られてないそうだ。
「何で3歳?」
「3歳まで生きられない人が多いかららしいよ」
なるほど。なら洗礼も3歳でいいんじゃないのか?命名と洗礼って一緒にやるもんだと思ってたんだけど。
「洗礼って何をするの?」
「この世界にはギフトとスキルがあって、6歳までにスキルを持っているとそれがギフトと呼ばれるんだ。神様からの贈り物ってことだね。それを鑑定するのが洗礼だよ。あと、国の一員として認められる」
鑑定されるのか。私の持っているスキルもバレそうだな。ってか、ギフトなんて初めて聞いたぞ。同じじゃないのか?
「ここに大きい子がいないのは何で?」
「う~ん、ちょっと難しい話になるけどいい?」
説明してくれた内容をまとめると、この国の成り立ちだ。
この国は未開の土地を開拓してできた国で、周囲を森に囲まれている。少しずつ領地を広げ国となったが、今は開拓が進んでいないようで、そのせいで色々な問題が出てきてしまったらしい。
「要するに、食糧が足りてないんだよ。あとお金も。あることにはあるんだけどね。偉い人とかお金持ちとかは大丈夫だけど、そうじゃない人は大変なんだ」
貧富の差が大きいのか。私は貧困層の口減らしで捨てられたってことかな。なら何故毎日食事を持ってくるんだ?
「ここにいる子は捨てられた子?」
「まだ捨てられてないかな。少なくとも6歳まではね」
「何で6歳?」
「ギフトの鑑定をするからだよ。ギフトを持っている人は貴重だから家に戻される。そうじゃない人はそのまま捨てられる場合もある」
さらに詳しく聞いてみると、厳しい環境で育った子供はギフトをもらえると信じられていて、あえてこういった場所で育てる人がいるそうだ。ただ、死なれては困るので世話はしっかりするとのこと。農家や木こりなど人手が必要な家によくあることらしい。
他にも次男次女以下の子供は必要ないけど、ギフトをもらえる可能性があるから一旦スラム街に連れていき最低限の世話をし、洗礼の時にギフトがあれば回収して働かせる。だが、必要のない子供なので死んでも構わないそうだ。6歳まで生きていたらラッキーって感じらしい。
うちはこれだと思う。実際死にそうだったし、ものすごく放置されたし。……それにしても嫌な国だなぁ。
長男は家を継ぐ為に必要で次男はそのスペア。長女は嫁がせて他の家との関係を深める為に必要で次女はそのスペア。それ以下は有能じゃなきゃいらないってことだ。
「でも、貴族とかお金持ちは普通に育てている人もいるよ。お金に困ってないからね。例外もあるけど」
「例外ってどんなの?」
「女の子は嫁ぐから普通に育てるけど、男の子は跡目争いや面子とかもあるから次男以下は雑に扱われることがあるよ。ちゃんと育てるとこも多いけど、偉い人のほうが捨てる人は多いかな」
ちゃんとした家ならしっかり教育すれば出来る仕事があるから、わざわざスラム街に連れて来たりしないだろう。ギフトがなくても生活は可能性なはずだし。
それでも捨てるのは貴族の見栄のせいかな。
「さっきの質問の答え、大きい子がいない理由はもう働いてるからだよ。ギフトがなくて家に帰れなかった子はここで生活するためにお金を稼がなきゃいけないからね。城壁の中で色んな仕事をしたり、冒険者になったりしているんだよ」
なるほど、理解した。このままだと、6歳で母親と一緒に住まなくてはいけなくなる可能性があるな。
絶対嫌だ。あんなのと一緒にいるくらいならスラム街のほうが全然いい。早急に対策しないと!!




