20 遭遇
見つけたホーンラビットは後ろを向いていて、どうやらお食事中のようだ。そのまま後ろを向いてて下さいねぇ、と念じながら忍び寄る。
身体強化をして早く走れるようにし、タイミングをはかる。ホーンラビットが草を食べるために下を向いた瞬間、おもいっきり走って近づいた。気づかれたけど、驚いているのか攻撃してこないのでそのままの勢いで斬りかかる。
首を狙ったつもりだったがお腹に当り、肉が切れる感触がする。浅かったのか、まだ動こうとするので首に剣を突き刺した。
「……倒した」
剣だけで倒すことが出来た嬉しさと、自分の手で生き物を殺した罪悪感みたいな感情とかが混ざって少し混乱した。
「仕方ない、生きるためだもの」
日本にいたときだって肉は食べてたじゃん、誰かがやってくれてた事を自分でするようになっただけ。そう考えて割りきった。だってお肉美味しいもん。
気持ちが落ち着いたので引き続きレベル上げを行う。1度経験すると慣れたのか、さっきよりもスムーズに攻撃出来るようになった気がする。それでも攻撃する前は緊張するけど。
10匹目のホーンラビットを倒したとこで、今日は終わることにした。しばらくは肉食べ放題だなぁ。
アイテムボックスに入れておく用の肉をいくつか焼いて仕舞っていく。ちょっとつまみ食いしながら焼いていたら時間がかかってしまったので急いで帰ろう。
夜になり恒例のステータスチェックをする。順調にレベルアップしているな。
もうしばらくはレベル上げをして、ある程度上がったらゴミ山にも行ってみよう。食糧問題は最低限解決したし今後のことを考えると情報が足りないから、まずは情報収集したいな。とりあえずは出来ることをやろう。
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レベル上げを始めてだいぶたった。途中から上がりにくくなったけど、なんとかレベル10まで上がったよ。採取もしながらだったので時間はかかったけど、その代わり大量のクルト草とレナウス草が集まった。
もうすぐ3歳になるが身体も大きくなってきたし、病気もしなくなった。お肉のおかげだな。これならゴミ山に行っても大丈夫だろう。
ってことで、早速出発しよう!
できるだけ人に会わないように歩く。最初だから、さっと行って様子見したい。スラム街だからあぶない人もいそうだし。
ゴミ山に近くなると匂いがひどくなってきた。慣れたと思ってたけど人が多いせいか結構きつい。身体に悪そうだから、鼻から下を手拭いで覆いガードする。ゴミ山の近くに住んでいる人達も外に汚物を捨てているみたいで、小屋のまわりに積まれていた。
足元に気をつけながらゆっくりと進む。周囲の気配を探り、人気のない場合からゴミ山の観察を始めた。
どうやら、ゴミ山で作業しているのは子供が多いみたい。大人は城壁に近い場所でゴミを漁っているので、多分城壁に近い方が有利なんだろう。拾ったゴミで使える物や売れる物を荷車に載せている。
そして、子供は子供だけで作業しているっぽいんだよなぁ。小学生ぐらいの年齢の子が多い。逆に中学生ぐらいの子は殆どいない。
「う~ん、どうしたもんか?」
このまま観察しても得られる情報はたいしてないだろう。今日はこっそり使える物を拾って帰ろうかな。
「どうしたんだ?」
「!?」
ヤバっ、観察に集中し過ぎて気がつかなかった。
「この辺りの子?」
振り返ると数少ない中学生ぐらいの男の子がいる。どうしよう!?考えてたはずなのに全部飛んじゃった。
「えっと、あの~」
彼は何も言わないで待ってくれてるが、言葉が出てこない。
「親はいる?」
「…ここにはいない」
「家にはいる?」
「…家にもいない」
話しかけてくれて良かった。焦って何も思いつかなかったよ。せっかくのチャンスだから色々聞きたいけど、不審に思われてないかな?
「スラムに住んでるの?」
「うん、1人で住んでる」
「でも親はいるんだよね?」
「ご飯だけ持ってくる」
「あぁ~、なるほど」
どうやらそれだけで理解したようだ。ってことは、よくある話なのか?
何となくだけど、彼は大丈夫な人だと思う。
この人に話を聞いてみよう。




