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どうにもならない



 おじ様が説明した内容はこんな感じだ。


 この真っ白い空間に来る直前、私はトラブルに巻き込まれていた。毒親関係だ。


 大学を卒業してから殆ど連絡してなかったのにいきなり家にやって来た。


 私には歳の離れた妹がいたのだが、その妹の大学費用を払えとのこと。


 私と違い妹は親に甘やかされて育ち、おかげでかなり我儘で自分の思い通りにならないと癇癪を起こす人間になった。


 私は高校を卒業後、すぐに家を出たから妹と関わる機会は少なかったのだが、妹は親の態度を見て育ったので私のことを下僕のように思っているみたいだ。


 今回も学費の高いお嬢様学校に行きたいと言い出し、払えない親は私に払うように命令してきた。


 勿論断った。断ったがそう簡単に諦める妹ではない。自分の希望が叶うまでは全く話を聞かなくなり、こちらが折れるまで喚き続ける。


 学費の前に妹の学力では受からないと説明したが聞く耳を持たず、親は妹の味方だからあてにならない。何か言うとお姉ちゃんなのにと私を責める。


 限界だった。私を愛してくれない親にも、我儘しか言わない傲慢な妹にもうんざりだった。頭にきてかなりきつめに断ったのがいけなかった。


 癇癪を起こした妹が部屋にある物を片っ端から投げ始めた。やめさせようと手をつかむとそのまま取っ組み合いになってしまった。


 怒った両親も参戦し、調子に乗った妹が何か固い物で私を殴った。


 さすがにヤバいと思った私は部屋から逃げ出したが外の階段で追いつかれ、揉み合ううちに妹と一緒に階段から転がり落ちた。




 覚えているのはそこまでなんだけど、そのあとにおじ様の部下がミスをしたようだ。


 本来は妹が死ぬ予定だったのだが、手違いで気を失っただけの私の魂を回収してきたらしい。


 その後、回収した魂を集めて管理するところまで持っていくのだが、持ってくる途中で落としたとのこと。


 「落ちた場所がここだってことですか?」


 「ちょっと違うが似たようなもんかな」


 「えーと、それの何が問題なんですか?」


 「ここが地球のある世界の管轄じゃないってことが問題なんだ」


 魂が管理されているのには驚いたが、まさか管轄まであるとは。死ななきゃわからなかったな。


 「死ぬ予定じゃない魂だから、管理しているところまで持っていけばちゃんと身体に戻れるはずだったんだ」


 「じゃあ、今から管理してるところまでいけば生き返れるんですか?」


 「それが、さっきも言ったようにここは地球とは管轄が違うんだ。この世界で生き返ることは出来るが、地球に帰ることは出来ない」


 「日本どころか地球にも帰れないのはさすがにキツいですよ……。なんとかならないんですか?」


 「どうにもならないな。落とした時にこの世界の影響を受けてしまったから、戻したくても戻せないんだ」


 こりゃ、どうにもならないやつだ。


 それなら、帰るのは諦めて新しい世界で生きて行くしかないだろう。



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