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初めての外出



 母親の放置は相変わらずだが、おかげで踏み台が手に入ったのはよかった。


 上達はしているが、扉を開けるにはもう少し時間がかかりそうだったから。


 踏み台は使うけど、ここでスキルの練習をやめたら負けた気がするから使いこなせるようになるまでは続けよう。


 決して意地を張っているわけではない。

 必要だから頑張るのだ。




 ってことで、早速外に出よう!!


 マップで母親が近くにいないのはチェック済みだ。次は夕方まで絶対に来ない。来たとしても、ここに着くには30分かかる。


 念のためこまめにチェックしよう。



 踏み台を使い扉を開けると、短い廊下に出た。


 私がいた部屋は1番奥にあったようで、手前にも1部屋ある。その先に扉があった。



 踏み台をズリズリと引っ張ってきて、もう1ヶ所の扉を開けた。


 そこは小さなリビングのようなところで机と椅子があり、部屋の隅にはかまどのような物がある。


 煤けた天井には蜘蛛の巣がはってるし、床は埃で白くなっている。歩く場所に気をつけないと、足跡がつく。


 備え付けの棚など、必要最低限の家具しかなかった。


 その全てがボロボロだったけど。


 部屋の正面の壁に扉を見つけた。雰囲気からして玄関で間違いないだろう。人が通った足跡がある。

 もう1度マップで母親の居場所をチェック……大丈夫だ。


 踏み台を持ってきて扉を開ける。


 深呼吸をして心を落ち着かせてからゆっくり開けていった。



 ーーーー



 「うわ~、くっさ!」


 わかっていたけど衝撃的だ。

 どうやら、汚物を外に捨てるのは母親だけじゃなく、少し離れたところにある家も同じように外に捨てている。

 

 多分、外に捨てる人が殆どなんだろう。


 ……日本って素晴らしい国だったんだな。



 家から出て辺りを見渡す。


 周りには、ぽつぽつと小屋のような家が建っている。


 どの小屋もボロボロで外壁は木の板を繋ぎ合わせて作ったような見た目だ。


 段ボールハウスのほうがキレイだな。


 

 家の周りの地面は踏み固められていて、少し雑草が生えているが歩きやすそうになっていた。


 まぁ、歩く時は足元に注意しないと最悪の事態が起こるのは確実だが。


 遠くには山や森が見え、その手前が草原になっている。

 この匂いさえなければいい場所なんだけど……。


 家の裏手に行ってみる。



「あぁ、こういう感じか」


 離れたところにかなり高い城壁が見える。造りもしっかりしていそうな立派な城壁だ。


 その手前、私の家から城壁までの間に大きなゴミ山がそびえていた。


 多分、城壁の中のゴミが運び込まれているんだろう。かなりの大きさだ。


 そのゴミ山の麓には小屋がたくさん建っていて、最低限の距離だけあけて密集している。

 よく見てみると、ゴミ山を囲むように小屋が建っているんじゃなくて、左右から挟む感じになっている。


 こういうのテレビのドキュメンタリー番組で見たぞ。たしか、発展途上国のゴミ山の話だった気がする。


 ゴミの中から使えるものや売れるものを探して生活する人達の話。


 不衛生で危険な場所だけど、貧乏だから行くところがないって話している人がいたな。



 ここはそのゴミ山と同じ状況なんだろう。

 貧乏で居場所がない人が生活するところ。

 間違いなくスラム街だ。


 文明が低いうえに母親がアレなんで、もしかしたら今が悪いだけで外に出ればマシになるかもって思ったけど、あまかった。

 

 ここは異世界だし、身体は弱いし、母親はクソだし、スラム街だし………。



 ……どうやって生きればいいんですか?神様。



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