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日常

「ヂリリリリリリっ」

音に反応しうっすら目を開けると太陽の光が射し込んできた。重い瞼を指でこすり大きな伸びをし目を覚ました。やかましい目覚まし時計を止め洗面所へと向かう。春先の少し冷たい水で顔を洗い身支度を済ませるとインスタントの味噌汁を飲み部屋をでた。

僕は東京の大学へ通うごく普通の大学生。今から始まる不思議な物語の主人公、二宮高寿である。

「たかっ！おはよ！」

学校に着くと1番に声をかけてきたこのいかにもパワフルな男は武藤健。これほどまで名前と見た目がぴったりな男を見たことない。そう思わせるような人間だ。

「おはよー。今日も朝から元気いいな。笑」

こんな何気ない会話から僕の毎日は始まる。そしてこの何気ない毎日は今日で終わることを僕はまだ知らない。

その日の帰り道通りのはずれにある小さな雑貨屋さんに寄った。そこで僕はあるものを見つけた。古いインスタントカメラだ。僕はすぐにそれを手に取り笑顔のかわいいおばあちゃん店主にこれは動くのかと聞いた。どうやら問題なく作動するらしい。どこかで見たことある、そんな不思議な雰囲気のするカメラだ。前々からインスタントカメラが欲しかったこともありすぐに購入した。

その日の夜僕は何度も試し撮りをした。しかし一向に現像されない。困った。明日またおばあちゃんに聞いてみよう。そう思ったとき1枚の写真が浮き出してきた。僕の高校1年の遠足のときの写真だ。僕は冷静ではいられなかった。とにかく明日おばあちゃんをもう一度訪ねてみよう。そう思い早々と寝床についた。

次の日目が覚めるとそこは見覚えのある部屋だった。だがいつもの部屋とは違う。散らかされたテストの用紙にゲーム。そして遠くから声が聞こえる。

「はよ起きな学校でよ！」

聞き覚えのある声に聞き覚えのある方言。そしてこの部屋。ここは実家だ。