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きみとふたり。  作者: しっちぃ


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22/26

由実 きみとふたり。

 買い物をするには遅い時間になっていて、外でご飯を食べて帰った。

「疲れちゃったし、早くお風呂入ろ?」

「うん、洗ってくるから、ちょっと待ってて?」

そう言う理紗に甘えて、ベッドに寝転がる。楽しかったけど、一日中歩いたせいか体はくたくただ。

「由実、もう寝ちゃった?」

しばらくして、戻ってきた理紗がそう言いながら隣に座る。

「ううん、……」

 うとうととしたたまま答えると、そっと頭を撫でられる。

「寝るのは、もうちょっと待と?」

 そっと、体を起こされる。そのまま抱き寄せて、目覚ましのちゅーをしてくれる。そのどきどきで、眠気なんてあっという間に飛ぶ。

「うん、もう目ぇ覚めた」

「でも由実の体、いつもよりあったかい」

「もう、理紗だってあったかいよ?」

 そう言って抱き返す。二人きりだと、気兼ねなくくっつけるのがいい。

「由実といるからだよ、……なんてね」

 あと何回、理紗の言葉にきゅんとすればいいんだろう。

「私も、理紗といるからだもん……」

 そう言い返すと、触れる手が優しくなって、――あ、いつもちゅーしてくれるときのだ。

 目を閉じて、少し顔を上げると、ほどなく理紗の唇と私の唇が重なる。

 やっぱり、理紗のこと好きだな、私って。

 もっと、理沙のことほしくなって、キスをせがんだら、それは止められてしまった。

「もー、そんないっぱいしたら、お風呂入れなくなっちゃうよ?」

 そう言われて、ちょっとへこむけど。

「お風呂上がったら、いっぱいしよっか」

 言葉一つで、こんなにドキドキしてしまう。

 一緒にいる時間が積み重なって、どんどん理紗のことわかってく度に、何度も何度も気づく。

 これからも、ずっとそうしていられたらいいな。

 

 一人でちょっと広いかな、と感じる湯船は、二人だと身を寄せ合ってちょうどいいくらい。

いつもより濃く感じる理紗の肌から香る香りでほっとするようなどきどきするような気分になって、触れる理紗の素肌は、お湯よりも私を暖めてくれる。

目の前の理紗の顔がぼやけてもわかるくらいに赤いのは、私と同じわけだったらいいな。

理紗の気持ちを確かめるように近づいて、目を閉じると、唇に触れた柔らかい感触。

「もー、お風呂の後って言ったでしょ?」

 そうされた後でそんなこと言われたって、説得力なんかない。

「理紗だってちゅーしてくれたじゃん……」

 そう言いながら、抱き合う手はお互いに離そうとしない。理由なんて、言われなくてもわかる。

 さすがにそれが恥ずかしくなってきて、

「のぼせちゃいそうだから、シャワー浴びよ?」

「じゃあ、今日疲れたでしょ?体洗ってあげるね?」

「理紗がしたいだけでしょ?」

「え、バレちゃった?」

 でも、触りたいって思われてるっていうことは、それだけ私のこと好きってことで、……私も、してしまいたくなる。

「じゃあ、……私も、理紗の体洗うね?」

「もー、由実?……お願いね?」

 シャワーが温まってから、二人で湯船から出る。

「じゃあ、うちからでいい?」

「う、うん」

 丸椅子に座ると、当たり前だけど、理紗がその後ろに膝立ちになる。こういう状況はちょっと苦手だ。理紗が何をしてくるかわからないから。

シャワーを流して出た湯気に紛れて、ほっぺたに口付けされる。いつもならなんでもないのに、何故か今はどきどきする。

髪を洗ってもらってから、もこもこに泡立ったボディーソープが背中に触れる。その上を理紗の手のひらがそっと撫でる。シャワーを止めてるから、その音もはっきり聞こえて、体中をそうされていく。

「由実ってば、かわいいっ!」

「り、理紗っ?」

突然背中から抱きつかれる。羨ましいくらいに柔らかい理紗の胸が背中に当たって、気分がおかしくなりそうで。

 思わず体が火照って、もじもじと体が動く。

「ふふ、やっぱり、かわいいよ、由実」

 耳元で低く囁かれて、心臓が止まりそうになった。

 

「じゃあ、お願いね、由実」

 今度は、私の番。背中を向けた無防備な理紗は、確かに理紗がしたことがわかるような気がしてくる。

 シャンプーを泡立てて、由実のショートボブの髪を梳くように洗う。その手が、偶然理紗の耳に触れた途端、甘い声が理紗から漏れる。

 髪を撫でるふりをして触れ続けてくと、理紗の声がもっと高くなって。

「さっきのお返しなんだから……っ」

 耳元で囁くと、後ろから見てもわかるくらい顔が赤くなった。そんなとこがかわいい、なんて思う私も病気かも。

 ようやく理紗の体を洗いきって、泡を流すと、のぼせたせいなのか、どきどきしたせいか、体が熱くてくらくらする。

「もう、由実ってば、顔真っ赤」

「理紗だって真っ赤じゃん……」

 そんな事言いながらお風呂から出る。ほんのちょっと、理紗の肩を借りて。

 二人で一緒に寝る準備も整えて、新しくした眼鏡をケースに入れる。

 真っ暗になった部屋で、一緒にベッドに入る。狭くもないし、寒くもないのに抱き合ったままで。

「おやすみ、由実」

「うん、おやすみ」

 自然と、唇が重なる。私のこと、好きでいてくれる、って証をくれて、落ち着くような落ち着かないような不思議な気分になる。

 大好きだよ、理紗。

 理紗の温もりと香りと、『幸せ』という感情は、いつの間にか私を夢に誘っていた。

最終回っぽいなと思いましたか?

残念、まだまだ続きます。

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