理沙 甘い君と甘い恋
そろそろストック切れ感ある
今日は、由実と、何回目かのデート。
恋人つなぎだって、腕組みだって、いつもはしないけど、デートのときだけは特別だったりする。
「今日はどこ行こっかー」
「……理紗が行きたいとこがいいな」
そんな事言われても、逆に困ってしまう。
だって、由実と二人でだったら、どこだって行きたくなるんだもん。
「そんなこと言われても困るよー」
「じゃあ、私から一個いい?」
「う、うん」
「眼鏡、換えようかなって思ってるんだ」
そういえば、由実と初めて会ったときから、同じ眼鏡を掛けてた気がする。
「じゃあ、そうしよっか」
眼鏡が買えて、それなりに楽しめるような場所は、一つしか知らない。
電車で乗り換えを2回挟んで1時間くらい掛かって、着いた頃にはもう昼ご飯も近い時間になっていた。
晴れた日曜だからか、人混みもけっこう激しくて、自然と、絡ませた手がきつくなる。
「先、ご飯食べちゃおっか」
「うん、そうだね!」
由実といる時間を、いっぱい楽しみたい。そんな思惑に、気づいてくれてるんだろうか。
結局、フードコートの一番手前にあったうどん屋に並ぶ。値段もお手頃だし、混み始めた中で一番空いているように見えたから。
二人で食べるだけで、何もかもおいしく感じるから不思議だ。
あっという間に食べ終えて、眼鏡屋さんに向かう。
「理紗は、どんなのが合うと思う?」
その言葉で、由実と付き合ってから、初めてここでデートしたときを思い出す。あのとき二人で買った髪飾りは、今も二人の髪に留まっていて、心の奥をくすぐられるみたいに笑う。
「うーん、そうだなぁ……」
自分は目がいい方だから、眼鏡のことなんてよくわからないけど、由実に合うものを選ぶのだったらできそうな気がする。
「こんなのとか、どう?」
桜色の、レンズがオーバルな眼鏡を由実に渡す。ふんわりとした印象が、由実に合うんじゃないかと思って。
「ど、どうかな……」
おずおずと訊く由実は、普段よりますますかわいく見える。上目遣いとか、自信なさげなのを抜いても。
「うん、似合ってる、かわいいよ?」
その言葉で、ようやく鏡を見る勇気が出たみたいだ。鏡を覗き込んで、うなずいた。
「ありがと、これにするね?」
受付に持っていって、レンズの度を検査しに行く。いつにも増して上機嫌にポニーテールにした長い髪を揺らす由実に、こっちも心揺さぶられる。
今日の由実、いつもより何倍もかわいい。今日だけで多分十回は惚れ直してるってくらい。
しばらくすると由実が戻ってきて、
「レンズ加工するので一時間くらいかかるみたいだし、いろいろ見てこ?」
「うん、そうだね」
隣で歩く由実の距離が、いつもより近いような気がする。軽く絡ませた指も、いつもよりきついような。
今更そんなことで動揺なんてしないけど、気になるものはどうしようもないと思う。
いろいろな店を見て回るだけでも、時間なんて忘れちゃうくらい楽しい。きっとそれは、隣に由実がいるからで、一緒にいられる日々が大事なものだって、改めて気づく。
ふと、左手に着けたピンクゴールドの腕時計を見る。由実がくれたおそろいの時計はきっと、同じ時間を二人で分かち合おうって意味。
「もうそろそろ、眼鏡できたころじゃない?」
「うん。じゃ、戻ろっか」
いろいろと説明を受けてる由実の隣に行く。だって、由実のかわいいとこ、早く見たい。
説明をもらって、おずおずと眼鏡を掛ける由実。こっち向いてきて、「どう?」なんて訊いてくる。
「似合ってる、かわいいよ?」
そう返すと、照れ笑いした由実のほっぺたがちょっと赤くなった。
「えへへ、理紗ぁ……」
新しい眼鏡がよほど気に入ったのか、肩にもたれ掛かってくる由実。髪の匂いとか上目がちな目線とか、ともするとこの場ででキスしちゃいそうなくらいかわいい。
「ねえ、プリクラ撮りにいこ?」
「うん!」
今日の証を、何かに残しておきたくなって、ゲームセンターの中に向かう。初めてなのか、ちょっと恐がって手が震えてるのが、たまらなくかわいい。
カーテンの掛かった中に入って、お金を入れて、いよいよ撮るところになった。
「もうちょっと、くっついてみる?」
「そうだねっ」
なんてしてると、カメラを見ながら頬ずりしてるような格好になっていた。
カウントダウンが始まって、シャッターが切られた音がする。「何書こっかなー」
落書きの時間、そんなので頭を悩ませる。とりあえず、二人の名前をひらがなでかわいく書いてみて、顔をハートで囲ってある。
「あ、ちょっといい?」
由実が操作パネルの前に陣取って、何かを書く。
「こんなの、どう?」
照れくさそうに笑った由実が書いたのは、『ずっと大好きだよ!』って言葉。そんな事書かれて、嬉しくないわけがない。
「これでいいよね?」
「うん、いいよ?」
由実が決定ボタンを押したのを見計らって、由実のことを抱き寄せる。
「うちも、大好きだよ、由実ぃ……」
「もぉ、理紗……っ」
これ以上言葉にならなくって、自然と唇が重なり合う。そのまま、印刷が終わったことを告げるアナウンスが聞こえるまで、ずっとキスしてた。
見つめ合って、顔が真っ赤なのを笑いあう。できあがった写真をしまって、何もなかった風に手を繋いで歩き始めた。
感想等まだまだ募集しています。
(これもうそろそろ3万文字いくんじゃね?)




