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きみとふたり。  作者: しっちぃ


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理沙 好きということ

うちの子初デート追憶編その2

 ほの暗い中だからか、由実のつなぐ手がいつもよりきつくなってる気がする。

「理紗ぁ、絶対手ぇ離さないでね?」

「もう、分かってるよ」

 いつもよりかわいい由実のこと、もっとかわいい、なんて惚れ直しそうで。

 初デートのときを忘れないようにって、水族館に行くことにしたのは正解だったなって思う。

「そんなにきつくしなくても、手なんて離さないよ?」

 そういうと、顔なんて見えないけど、由実の顔が赤くなったのがわかった。

「そういえばさ、」

 そうやってごまかすのが、余計にかわいらしい。

「なぁに?」

「タツノオトシゴって、どういう意味か知ってる?」

 確かに、どういう意味かよく分からない。

 考えれば考えるほど、意味がわからなくなっていく。

「ううん?」

「あれね、竜が空から落とした子供だって考えて名前を付けたんだって」

 頭の中で、意味の分からなかった文字列は、竜の落とし子と変換される。

「そうなんだ、物知りだね!」

「えへへ、ありがとーっ」

 空いていた手で、由実の髪を撫でると、身をよせてきた。

 本当に、由実は、かわいいんだから。


 お昼は、水族館のレストランのカレーにした。

 水族館らしく、えびやいかの入ったシーフードカレーだった。

 食べ終わったあと、由実が、何かの袋を出してるのに気づく。

「由実、何それ?」

「これ?なつめの干した実だよ?」

 由実が言うには、昔から体に良いって言われてて、漢方薬にも使われているようなものらしい。

「同じ学科の友達に勧められたんだー」

「うちも、一つもらっていい?」

「うん、いいよ?」

 由実の指につままれた実を、そのまま口に含む。

 一緒に、指まで口に含んでしまったのは偶然だ。そのまま、堪能しそうになったのは事実だけど。

「んんぅ……っ、ちょっと理沙!?」

 そんなのでかわいい声を上げる由実が、愛しくてたまらない。

「そ、それで……どう?」

 今日はよく話を逸らすなぁ、由実は。

 そんなに、ドキドキしてるのかな。

 見た目も食感もレーズンみたいだけど、ちょっと甘い。

「おいしい、これで体にいいなら凄いねぇ」

「大丈夫だよー」

 そんな話をして、水族館を出たのは午後3時。

 このまま帰るのは、ちょっともったいない気がする。

「ちょっと、散歩してこ?」

 由実の提案に、ありがたく乗ることにする。

 しばらく歩いてると海岸に出て、季節が違うからかほとんど人気がない。


 ふと、繋いだ由実の手がきつくなる。

 由実のほうを向くと、目が一瞬合う。

 それだけで伝わった、由実の気持ち。


 ……ちゅっ


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