由実 想い出と今
うちの子初デート追憶編その1
「海行くの、修学旅行のとき以来だね」
「そっかー、もうそんな経つんだねー」
修学旅行のとき、――私たちがお付き合いを始めてから、もう、二人でいろんな時間を過ごしてきたんだ。
そんな記念も込めて、沖縄にはさすがに行けないので、鎌倉の海をお散歩する。
空は、まるで私たちを迎えてくれるように照っている。
別に手が届かないわけでもないとこまで日焼け止めを塗り合って、ちゃんと焼かないようにした。
紫外線は危ないって言うし、……『白い肌が好き』って、いつも言ってくれるから。
海水浴場のほうは、さすがに人気が多すぎた、浜辺に2本の棒の上にロープをかけてビーチバレーしてる人がいたり、サーフィンしている人がいたり。
もうちょっと人気がないとこまで歩いて、そこで一緒に海を眺める。
二人の足跡が、浜辺に残る。二人で歩んできた今までが、頭の中にずっと残っているように。
「綺麗だねぇ」
「うんっ」
ふと、理紗の視線を感じる。目が合って、それだけで何か分かる。
ちょっと背伸びして、目を閉じる。
「でも、由実のほうが綺麗だよ?」
そんなベタな言葉も、理沙の口から私に言われたら、……すごく、すごく嬉しい。
理紗の唇が、優しく触れる。外でこんなことしてるからなのか、理紗の言葉のせいなのか、いつもよりドキドキする。
サンダルにした足が、痛んでつい唇を離す。
もっと、触れてたかったな。なんて思ってしまうのは、私が理紗のこと好きだから。
見つめ合って、照れ笑いする。軽く抱き合う互いの体温は、辺りの熱気よりもそっと二人を包む。
「おみやげとか、見てかない?」
「うん、じゃあ行こ?」
自然と恋人つなぎになる。胸が、甘くてくすぐったい。
ようやく見つけたとこは、招き猫とか達磨とか、ここじゃなくてもいいものも並んでた。
割と通る人の中には外国人らしい人もも多いし、そのためなのかな。
「由実、こんなのもあるよ?」
と理紗が指さしたののはショーケースに入った日本人形で。
「どうしたの?」
「由実が髪下ろしたらそっくりだなーって」
「もう、私そんなこわい顔してないよー?」
理沙が、それを聞いて笑う。
「そうじゃなくて、……由実って、綺麗だなって」
いきなり、そんなこと、素で言わないでよ。
悔しいくらい、ドキドキするから。
「そんなことないよぉ……」
「そんなことあるよ、だってうち、由実のこと、ずっと見てきたんだよ?」
もう、ずるい。反則だって。
「もう、理沙、ずるい……っ」
頬が上気する。そのまま理沙に何もかも奪われてしまいたくなるくらいには、私の気持ちが危うくなっていた。
「もう、帰ったらいっぱいしてあげるから、おみやげ見ない?」
何でそんな事まで気づいてるの。そんな理沙が、――どうしようもなく大好きなんだけど。
「これとか、かわいくない?」
「ほんとだ、さすが由実!」
そんな風にお土産屋さんを見ていって、結局、お揃いのストラップを買う。
いつもそんな風になってしまうから、私も理紗も、携帯がストラップだらけになってしまう。
でも、それは、全部一緒のもので。
二人で歩んできた証に思えて、私は好き。
感想もらわないと死ぬ病気にかかっているわけではないけれどいただけたらそれはとても嬉しいなって
評価もブクマもお待ちしています。




