表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きみとふたり。  作者: しっちぃ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/26

理沙 二人でいるだけで

「由実、大丈夫?」

「うーん、……ちょっと大丈夫じゃないかも」

 熱を出して寝込んでしまった由実。熱のせいか赤くなった頬とか、潤んだ瞳とか、いつもよりかわいく見える。

「早く治してくれなきゃ、いちゃいちゃできないよ?」

「もー、変なこと言わないでよー!」

「えー、何で?」

 割と本心だったから少し傷ついてしまって、つい何でか知りたくなってしまう。

「だって、……そんなの考えたら、余計に熱上がっちゃうもん……」

そんなことで、もっと頬を熱くしちゃうのが、たまらなく愛しくて、ついからかってしまう。

「ねぇ、……うちのこと、好き?」

 最初から答えなんて分かってるのに訊くのは、答えを言うのに真っ赤になる由実が、かわいくてしょうがないから。

「理紗のばかっ、……大好きに、決まってるでしょ?」

 わざと寝返りを打って、こっちを向かないところとか、拗ねたような声とか、全部心の中で甘く溶けていく。

「ねえ、こっち向いて?」

 こっちを見た由実の隙をついて、ほっぺたにそっとくちづける。

「な、何するのさぁ……」

 そんな事言いながら、口元が緩んでるのが隠しきれてない。

「だって、由実が大好きだもんっ」

「もー、理紗ってば……」

 また向こうに向いてしまう由実の背中に、私も昼寝のついでに添い寝する。

「風邪うつっても、知らないからね?」

 わざとつっけんどんにしてる由実が、いじらしくてしょうがなくなる。

「大丈夫、由実が看病してくれるでしょ?」

「何でうつること前提なのさ……」

「大丈夫だって、由実だって咳してないし」

「そうだけどさぁ……」

 結局ふてたまま、由実の口からは寝息だけが漏れるようになった。

 由実の髪、いいにおいだな、なんて考えながら、自分も眠たくなっていた。

 

「もー、だから言ったでしょ?」

 次の日、は見事に熱を出して寝込んでしまった。でも由実は、昨日の熱が嘘みたいに治っていた。

「ごめんね?まさかこうなっちゃうなんて……」

「私が治っても理紗が風邪引いたらいつもみたいにちゅーできなじゃん……」

 ああ、由実も、いちゃいちゃしたかったんだ。そんなとこで惚れ直してしまいそう。

 重い頭を上げて、由実のほっぺたにそっとキスをした。

「わかったから、……早く治してね?」

「もー、それ私のセリフでしょーっ?」

 二人だから、こうやって笑っていられて。

 こうやって生きていけるから、幸せでいられる。

 そうして一緒に幸せになれる由実のことが、どこのだれよりも大好き。

感想欠乏症

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ