理沙 二人でいるだけで
「由実、大丈夫?」
「うーん、……ちょっと大丈夫じゃないかも」
熱を出して寝込んでしまった由実。熱のせいか赤くなった頬とか、潤んだ瞳とか、いつもよりかわいく見える。
「早く治してくれなきゃ、いちゃいちゃできないよ?」
「もー、変なこと言わないでよー!」
「えー、何で?」
割と本心だったから少し傷ついてしまって、つい何でか知りたくなってしまう。
「だって、……そんなの考えたら、余計に熱上がっちゃうもん……」
そんなことで、もっと頬を熱くしちゃうのが、たまらなく愛しくて、ついからかってしまう。
「ねぇ、……うちのこと、好き?」
最初から答えなんて分かってるのに訊くのは、答えを言うのに真っ赤になる由実が、かわいくてしょうがないから。
「理紗のばかっ、……大好きに、決まってるでしょ?」
わざと寝返りを打って、こっちを向かないところとか、拗ねたような声とか、全部心の中で甘く溶けていく。
「ねえ、こっち向いて?」
こっちを見た由実の隙をついて、ほっぺたにそっとくちづける。
「な、何するのさぁ……」
そんな事言いながら、口元が緩んでるのが隠しきれてない。
「だって、由実が大好きだもんっ」
「もー、理紗ってば……」
また向こうに向いてしまう由実の背中に、私も昼寝のついでに添い寝する。
「風邪うつっても、知らないからね?」
わざとつっけんどんにしてる由実が、いじらしくてしょうがなくなる。
「大丈夫、由実が看病してくれるでしょ?」
「何でうつること前提なのさ……」
「大丈夫だって、由実だって咳してないし」
「そうだけどさぁ……」
結局ふてたまま、由実の口からは寝息だけが漏れるようになった。
由実の髪、いいにおいだな、なんて考えながら、自分も眠たくなっていた。
「もー、だから言ったでしょ?」
次の日、は見事に熱を出して寝込んでしまった。でも由実は、昨日の熱が嘘みたいに治っていた。
「ごめんね?まさかこうなっちゃうなんて……」
「私が治っても理紗が風邪引いたらいつもみたいにちゅーできなじゃん……」
ああ、由実も、いちゃいちゃしたかったんだ。そんなとこで惚れ直してしまいそう。
重い頭を上げて、由実のほっぺたにそっとキスをした。
「わかったから、……早く治してね?」
「もー、それ私のセリフでしょーっ?」
二人だから、こうやって笑っていられて。
こうやって生きていけるから、幸せでいられる。
そうして一緒に幸せになれる由実のことが、どこのだれよりも大好き。
感想欠乏症




