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きみとふたり。  作者: しっちぃ


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16/26

由実 あまくて、やさしくて

持ってたストックだと交互にできなさそうなので書き下ろしてみた(5/8追記:タイトルで溶けすぎなので変更+ちょこっと加筆)

 二人で手にいれた、たくさんの幸せ。

 それは、日常の中のありふれたことからもたくさん生まれてくる。

「今日は理沙とおんなじ講義あるねー!」

「一緒になるの、今日のだけだもんね」

 バラバラな未来を描き始めた私たちは、講義だって別になることが多い。

 でも、今日の2限目のだけは、一緒にいられるのだ。

 1限の講義はないから、そのまま教室で、隣り合わせで講義を受ける。

 でも、今日は、いつもより早く着いた。

 ――なんでだろう。今日は、なんでか、むらむらする。

 理沙と、いっぱいキスしたい。どきどきしたい。

 繋がってる指に、力が籠もる。

「……どうしたの、由実」

 そんなので気づいちゃうくらい、理沙は私のことを考えてくれる。

 それが、嬉しくて、ちょっと恥ずかしい。

「理沙ぁ……キスして……?」

 そんなこと言われても、困っちゃうよね。ごめんね?

 でも、言葉に出た瞬間から、どんどん感情は加速していく。

「もう……、学校、着いてからね?」

 何で、学校に着いてからなんだろう。

 でも、キスを拒んだわけじゃないのが嬉しいなんて思ってしまう。

 

 そのまま、理沙と学校に着いて、……理沙に連れられたのは、これから講義を受ける棟の、最上階のトイレの一番奥の個室。

 鍵をかけた音意外、私と理沙の息遣いしか聞こえない。

「じゃあ、由実、キスしよっか」

「え、で、でも……」

 学校で、しかもトイレでこんなことするなんて。確かに、いつも、綺麗にされてるけれど、抵抗感だけが頭にある。

「由実が言ったんでしょ?キスしたいって」

「そうだけどぉ……」

「こんなとこ、全然使われないし、……こんな時間じゃ、誰も来ないよ?」

 ここに来たときも、誰の人影もなかったし、個室も一つも使われてなかった。

 でも、なぜか、後ろ髪を引かれる私がいる。

 そんな私の背中を押してくれるのは、やっぱり理沙の言葉。

「それとも、やっぱり、うちとはキスしたくない?」

 そんなこと。むしろ、もっとキスしたいよ、ねえ。

「理沙……ずるい」

 焦らされた気持ちにせかされて、理沙の服の袖を掴んでしまう。

「もう、分かってるよ、由実」

 頭を抱き寄せられて、軽く撫でられる。

 その手すら、心地よくて、じれったくなる。 

「由実が、あんなこと、冗談で言えるわけないもんね」

「もう、理沙のいじわるぅ……」

 でも、そんな理沙が、大好きで、キスしたくて、もっと触れたい。

「理沙ぁ、……するなら、はやくして……っ」

 心はもう、とっくにエンジンがかかっている。

「はいはい、……目、閉じて?」

 目を閉じて、心持ち顔を上げる。

 理沙の顔が近づく気配がして、唇が触れるほんのちょっと手前で止まる。

「ふふっ、もう、由実ってば……大好きだよ?」

 唇が、触れた。

「ちゅ、ちゅっ、はぁ、ちゅぷっ、んんっ……」

 啄むような、激しくて、甘いキス。

 体が溶けていきそうなくらい熱い。胸のドキドキが、どんどん加速していく。

 長い長いキスの間、私は、声をこらえるので精いっぱいだった。

 背徳感とか抵抗感とかが混ざり合って、気持ちよさを引き立たせていくから。

 授業が終わるチャイムが鳴って、名残惜しむように最後にもう一回唇が重なる。

「ちゅ、……なんか、すっごいドキドキしたねぇ……」

 力が入らなくて、崩れそうな体は、理沙が支えてくれる。

「う、うん……」

「そろそろ出よっか、もしかしたら誰か来るかもしれないし」

 言われたことばに、最初躊躇していたのが嘘みたいにがっかりする。

「そうだね……」

 本当は、もうちょっとだけ。

「何?もっと、してほしかった?」

 なんで、こんな簡単に、気づかれるんだろう。

「そうだけど……駄目?」

「ううん、むしろ嬉しい」

 蕩けていく、私の心。

 全部、理沙に奪われてしまいたい。

 そんな不埒なことを想うくらいには、理沙のことを恋していた。

物書きで寝不足で浮かんだネタを回収してみた

明日もなんか浮かびそうこんな時間だし(遠い目)


『今までで一番長かった』夜(11話参照)はもしかしたらノクターンあたりに載せるかもしれません(小声)

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