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きみとふたり。  作者: しっちぃ


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由実 変わる勇気、変わらない心

「私、コンタクトにしてみようと思うんだ」

 ずっとお世話になってた眼鏡を外す決心をしたのは、「眼鏡を外すとかわいく見える」なんていう噂のせい。

 理紗は、私のこと、かわいいっていつも言ってくれるけど、もっとかわいく見せたくなってしまった。

「あぁ、眼鏡外すとかわいく見えるって言うしね?」

 そんな気持ちを、なにも言ってないのに気づかれるのは、嬉しいけど、それ以上に恥ずかしい。

「な、何で知ってるの……っ」

 熱くなって、きっと赤い頬をうちむいて隠しながら訊く。

「分かるよ。……だって、由実のことだもん」

 そんなんで、胸がきゅんとしてしまって、何度目かもうわからないけど、好きでいてくれてるってわかってしまう。

「理沙のばかぁ……っ」

 理紗の胸に顔をうずめると、いい香りがした。一緒に寝てるときに感じる甘くて落ち着く匂い。

「もう……由実はそのまんまでもかわいいのに」

 みつあみにしてもらった髪を、そっと撫でられる。理紗のこと好きって思う自分の気持ちが、どんどん膨らんでいく。

「まあ、……もっとかわいい由実のこと、見てみたいかな」

 おでこに、理紗のくちびるが触れる感触がする。思わず上を向くと、見上げた角度が、ちょうど理紗の目線と合う。

 そこから先は、体が勝手に動いていた。理紗の体を軽く抱いて、理紗の手も、私の背中に回される。

「「……んっ」」

 唇が重なる。もう数え切れないくらいして、それでもその度に頭がぼうっとするくらい甘い感覚に襲われる。

 ああ、私、理紗のこと好きだなぁ。なんて、今更だし、何回も思ってることだけど、それでもこうするたび実感する。

 唇が離れて、肌の香りがわかるくらいの距離で見つめ合う。

「……やっぱり、眼鏡のままでいいかも」

 そう思ったと思ったら、言葉に出てた。

「えー、何で?」

 拗ねたようないじけたような声。理紗のほうが、私よりずっとかわいいのに。

「だって、……理紗にだけ見て欲しいし……っ」

 お風呂に入るときとか、寝るときとか、今だって、私が眼鏡をかけてないとこを理紗は見れる。

 だったら、――『もっとかわいい』姿は、理紗にだけ見せたい。そんなこと、恥ずかしくて、とても言えないけど。

「どういうことなの?」

 そういう口調はからかうときのもので、それだけで気づいてるのもわかってしまう。もう、言わせないでよ。理紗の意地悪。

「だってさ……、眼鏡外した私のこと見てるの理紗しかいないし、……見せるの、理紗だけでいいって思っちゃったもん」

 言葉にすると、あっという間に頬が火照る。

「ゆ、由実、反則だって……」

 慌てたように、照れたように言う理沙の声で顔を窺うと、真っ赤になった顔が見える。

「もー、理紗が言わせたんでしょー?」

 でも、そんないたずらしようとして、いざ言われると照れちゃう理紗のこと、かわいいって思う。

「だって、由実がかわいいんだもん……」

 言い訳みたいに言われた言葉に、私も言い返す。

「理紗のほうがかわいいのに……」

 そんな事言いながら、お互い抱き合ったままで。

 ああ、もう。顔が焼けそうだから言えないけど――

 愛してるよ、理紗。

 心の中で言うと、私を抱く理紗の腕が、少しきつくなった。


1話1キスがノルマみたいな感じあったけど、今回はしてなかったね。

感想、評価などまだまだお待ちしています。きっといつまでも。(ぇ)

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