チュートリアルのあと
二匹の起動テストも含めてチュートの相手を何匹か呼んでもらう。私は弓の練習です。これでも弓道部だから慣れてはいると思う。VRMMOは本人のリアルスキルも反映されるからさ、便利だよね。これは現実にも反映されるから、軍やリハビリに用いられているし。てきぱきと進めていけば二匹のスペックが高すぎてどこに突っ込みを入れたらいいかわかりませんね……。さすが☆4ってことかな。
「あ、どうします?チュートリアルも全て終わりましたけど……。今ギルド人で溢れ返ってますけど」
『ここでレベリングってできない?武器使ったやつとこの子たちの』
「いいですよぉ?では」
手をパンパンと叩いているユナちゃん。何かが砕ける音がしたけど、気のせいだよね?
そして、彼女は口笛を吹いた。現れたのは今まで出ていた白兎5匹。おっと鑑定結果が知りたいって?
ラッキーラビット lv.3 アクティブ ?? ??? ???
レベルは1~3でアトランダム。このまま弓で援護するのはいいんだけど……。
『いきなりハードになったな!?』「く~」「に~」
さっきまで1、2匹だったのに。うちの子、幼子なんですけど!?主早く倒そうよっていう感じの目線が二匹から来てる。この子たちのやる気は種族的なものなのか、戦闘狂の気があるのか……。前者でお願いします。
「もう、ヤケクソ入っているし、チュートリアルの延長なので3回に1回は回復しますので!」
許してください!!って言わんばかりのオーラが出ています。二匹のステータスを見ればMPもHPも高めなのでまあ、大丈夫かな………。
こちらが戦闘態勢をとればウサギもそれに応じて態勢を整えた。とはいえ、距離の差は私の方に軍配が上がる。その場からリアルスキルで底上げされている弓を何回か放つ。矢は綺麗な放物線を描いてウサギの目に当たった。急所だったのか、HPの4分の1が削れる。ビックリだよ。
アタックかけた子とその横にいたやつのみ足が止まり、残りの子はこちらに突っ込んでくる。竜とグリフォン(ただしちびっこ)より、仲間に攻撃を仕掛けた私に警戒心を示して先に倒さなきゃってなったのかな。小さい二匹より私に来た方が安心だけど。
3匹のウサギを相手に舞うようにして攻撃を避ける。これはアルコで培ったものだ。本来はそれに合わせて剣舞をするんだけど弓だからなぁ。二人が残りのHP削りきるまでこのままだろう…………って、え?
二匹はすでにこちらに戻っていた。うん、白い光やら黒い光やらは見えてたし、HP残り半分くらいになっていたけど早いな。2匹の火力も高いし、このまま削るか。二匹に気を取られているウサギの後ろから弓を射る。卑怯?ま、ゲームだから是非もないよねっ!
【キャス狐はlv.2になりました】【”弓術”lv.3になりました】【アーツ”パワーショット”を覚えました】
【ノアはlv.2になりました】【ルーチェはlv.2になりました】【”回避”を覚えました】
スキル拾っちゃった。まあこっちで取れちゃったから仕方ないかな。さてさて、舞踏術はいつ覚えるかな。あ、lv‐UPごとにボーナス(好きなステータスに割り振れるやつ)が2入るんだっけ。(本当は上げたほうがいいんだけど)レベリング中はどうでもいいや。スキルポイントも1入るけど今のところとる予定はないので放置。
結局あの後も、20回位もう戦ってるけど,ノアくんもルーチェ……ルーちゃんも余裕そうだ。さすが幻獣ってことかな。装備はチュートリアル空間のため耐久値が下がることもない。狙ったわけじゃないけど、レベリングしやすいですね。ユナちゃん曰く、気付けば誰にでもして差し上げるんですけどね、皆さん早々とギルドに登録に行きたがるんですよねぇとのこと。助かるんだけどね。AIとの会話?そんなの無意味!!っていうプレーヤー多いらしい。20回の戦闘中はラッキーラビットやフォレストウルフ、ウィンオウルなんてのも出てきた。チュートリアル後だからなのか、解体すればアイテムが落ちる落ちる。この後は換金するかな。あの子がいれば皮とか鞣してもらえるんだけどなぁ。
「スキル拾いすぎなんじゃ………」『ま、昔から使ってるスキルだしね。取りやすいんだろうね』
アルコではいつもいつもお世話になったスキルを拾いました。”ステップ”、”蹴り”、”打撃”、”受け”。まあ、あんだけ戦えば拾うよね、って感じ。ついでに、スキルポイント消費して”直感”、”看破”もとった。あ、やばいって感じる程度だけど、あるとないとじゃ大違いなのだ。敵の不意打ち見抜いたり、敵を発見したりと索敵にも最適なのだ。”看破”そのまま、罠とかも見抜ける優れものなのだ。ソロプレイに終始するわけじゃないけど、あったほうが便利だからね。
「しかも、回復しますよって言ったのに全然出番がないんですもん!低レベルでステータスいじってないのに!!」『それはまあ、プレイヤーズスキルだよ。むしろ、慣れ』
伊達に、アルコで姫騎士とか2つ名付けられてたプレーヤーじゃないし。魔法剣士な私だったから、魔法も蹴りやらの格闘技も、刀も使って3年以上プレイしてたら体が覚えるよね。
さてさて、スキルの整理をしようか。20個でしょ?”鑑定”、”解体”、”看破”、”テイム”、”採集”、”弓術”、”刀術”は外せない。今確認したら、魔法技能と生産職が何か書いてある。”看破”、できるかなぁ。やってみよ。
”巫術 ”
あ、巫術の後ろ鍵マークがついてる!!!!魔法技能も生産職にもだ。ということは、何らかのアクションをしないとこれを解くことはできないのか。簡単に考えて、職業関連の初心者用のチュートリアルもあるはずだしギルドに何かあるはず。ま、考察は後だ。でもさ、”回復魔法”だけは即使えるってどういうこと!?施療神官かよ!!
「専用スキルには条件がかかっていることが多いんですよね」『だろうな、って思った』
<く~?><んみゅ?>
二匹はどうかしたの?と言わんばかりの表情でこちらを見つめてきた。なんでもないよ、と呟いてよしよしと撫でてあげると嬉しそうに目を細めた。かわいい。それを見ていたユナちゃんが羨ましそうに見ていたのでついでとばかりに撫でとこ。さらにスクショ。この空間は天国ですか!!そうですか!!
私の荒ぶった感情が落ち着いたところでユナちゃんからギルドが空いたという話が。
『長々とありがとうね』
「いえいえ、楽しかったです。転送先は大広場の噴水の前ですので道なりに行けばつきますよ」
『ん。オッケー、またね』「…!ハイです!!」
ユナちゃんの作った魔法陣に二匹と乗れば私たちは、魔法陣から放たれた光に包まれた。最後に、ユナちゃんの笑みが見えた気がした。