中央編:9
部屋の前まで送ってくださった
「お手数をお掛け致しました。ありがとうございます」
本当に助けてくださって助かりました
「いや。こちらの方でも気を付けていたのだが助けが間に合って良かった」
ライモンド様がカッコイイ
「本当に良かったわ。お兄様方もとても心配されていたので…王城へはわたくし達の用でお願いして来て頂いておりますし」
今日は遅れての合流でもなく兄達と一緒では無かった
父が上げていた報告書が改ざんされていたためだ
魔獣素材の魔術具についての報告書
人体への影響は未確認だが悪影響は農作物に及んでいる
少なくとも味が落ちていることは生産者にも把握されているし周知の事実だ
伝達魔術具で父と連絡を取り報告書を再度作成して直接兄達が城へ持ち込むことになった
さすがに直接王へお渡しすることはできないが殿下へはお渡しできる
学園でお渡ししないのは殿下との謁見した事実を残す為
その為、王城での手渡しとなった
王族へ直接渡された報告書の改ざんはできないだろうとの考えからだ
「殿下達へもお礼を…あっ!少々お待ち頂けますか?」
急いで部屋へ入り作り置きのブランデーケーキやクッキーをアイテムボックスから取り出す
上位魔術具は人前で使うと面倒なことになりそうなので人前では使わない
家族からも厳しく言われている
「あの…これ良ければ皆様で食べて下さい。私が作ったので兄達ほどは美味しくは無いのですが本日のお礼になれば」
悔しいことに料理の腕でも兄達には敵いません
頼もしいですが万能過ぎる
確かに殿下達はこの部屋でのお茶を楽しみにされていて茶会に誘えよ視線がよく飛んでくる
兄達はスルーしているが…
「まぁ~」
リリアーナ様もお好きですよね甘い物
「ありがとう。皆喜ぶよ」
ライモンド様に素直に受け取って頂けた
「本当に助かりました。とても困っていましたので皆様には本当に感謝しています。ありがとうございました」
「気を付けてくれ。私達が君を部屋まで送ったのも王女の関係者が接触する可能性もあったからだ。どのような考えで接触しようとしているのか不明なので用心に越したことはないだろう」
真面目な顔でライモンド様に忠告されます
気を引き締めないと
とりあえず方向音痴だからではなかったようだ
それにしても王女様から発せられていた魔獣と同じ変質した魔素を感じるなんてことは早急に兄達に相談しなくては…
嫌な予感しかしません
その後ライモンド様とリリアーナ様は王城へ向かわれた
兄達に王女様の事を相談したが現状では何もできないまま時は過ぎていった
学園内が落ち着かない
あちらこちらで小競り合いのような事が起こっている
もうすぐ夏の長期休暇に入るので休みの予定など楽しい計画で浮かれてではないようだ
最近では殿下達の様子もおかしい
婚約者との仲に険悪なものを感じる
男性同士も女性同士もだ
あれほど互いを思いやり仲が良かったのに何があったのだろうか
お茶会へお誘いすれば落ち着いた様子で仲良くされている
ご本人達も不思議そう
仲が良かった者達は不仲となり何故かブリアンナ王女様方の周囲に集まる
なんだろうアレ
男女を問わず王女様の周囲に侍る
アイドルですか?
しかも男女ともに好まれるとはアイドルではなく芸能人扱い?
それとも乙ゲーのヒロインとか?
ゲームは一切したことは無いが小説では幾つか「ざまぁ」系は読んだことがある
アレは確かにすごい
玉の輿なので立場トップレベルの相手を次々に落としていくなんて後継者教育はどうなっている?
立場上甘い言葉やハニートラップ等にも耐性があるはずなのにコロッといってアホ過ぎる
もしくは洗脳レベルとしか思えない
乙女のロマンなのか妄想なのか現実でもあり得るのだろうか?
王女様の周囲には令嬢ざまぁ系定番のおほほっと笑う常に腹筋に肺活量といった心肺機能強化に勤しむご令嬢も見当たらない
あの強化は将来元気な子供を産む準備なのか?
謎だ
王女様が他国で性別問わず男女漁りなどあり得るのか?
それに王女様自身は悪い方では無いと思う
近付くと気持ち悪くはなるけれど…
詳しい人となりを知っている訳でもないけれど
第一印象はそれほど悪くない
前世から対人関係や危機では外れた事が無い直感
夜の帰り道にいつもと違う道を通れば、いつもの通りで引ったくりや痴漢が出たりといったことが何度かあった
実家の食生活でのサバイバル経験で培われたのかもしれない
危機回避能力
たまにある何となくの予感
久しく会っていない元同僚が靄のかかった夢の中で泣いていた
気になったので近況を問うメールをした
会う約束をし話を聞けば婚約破棄した翌日にメールが届いて驚いたと言っていた
他にも何か夢に出なかったかと問われたので猛烈アピールする男性に追いかけまわされていたと伝えたが、その後どうなったか不明
あくまで夢なので、どこまで意味があるのか私にもわからない
肩を叩かれ呼び止められたので立ち止まり振りかえる
誰もいなかったが立ち止まった瞬間、暴走者が目の前を横切った事もあった
守護霊なのか神様なのか誰ともなく感謝を心で伝えた
今生でも何となくの予感ともいえる感は役に立つのかは不明だ
最近、変質した魔素が濃くなっているようにも感じる
常にウルルの防御と私の循環で触れないようにしているが濃くなる一方
魔獣が近くで大量発生している訳でもない
そもそも魔獣の発生原因もわかっていない
恐らく発生源はブリアンナ王女様
国際問題になるので口外出来ない
平穏な日常が遠のく
このままでも近い将来問題が発生するだろう
兄達には相談済みで父達へも報告済み
何も出来ない私
平凡な日常を望み毎日普通に楽しく暮らしていた
今、兄達は自身で防御と循環をおこなっている
ウルルと循環で魔術や魔法を無効化できるなら変質した魔素も戻せないかと研究している
どうにか兄達の全面協力の元、変質した魔素を戻す方法がみつかった
魔法と循環との合わせ技
兄達にはできるが私には魔法が使えないのでウルルに協力をお願いする
変質した魔素を戻すにはかなりの魔力量が必要だが私達は桁外れなので問題ない
夏の長期休暇で私は領地へ戻り中央へは戻らないこととなっている
それまでに魔術具でも正常化できないか模索する
定住したいとは思わない中央だが領地との関係もあり平和であってほしい
共存共栄は平和な日常の必須条件だと思うから
2016.3.17 17:30頃 一部修正及び追記




