閑話:3
【兄の思い】
側に居ると心地良い
体がすっと軽くなる
いつまでもずっと側に居たい
魔力が多過ぎて溢れる力に困惑する
思うように魔力が使えないイライラが落ち着く
イルさんが教えてくれた
シルディの優しい思いに癒されているのだと
体の弱い母には言い出せなかった願い
ずっとなりたかった「兄」
双子なのでどちらも兄で弟
僕達の夢だった”兄”にしてくれた存在
これからは二人ともが兄だ!
自分達が思い描いていたような兄になる
誇れる兄になる為にも学校へは真面目に通った
学習内容が見ればわかるものばかりで正直「学ぶ」必要性を感じなかったが…
シルディに母と同じように読み聞かせをして一日あった出来事を話す
学校のことを話すと興味を示したので学んだ内容を教える
難しいようで悩んでいるシルディへの説明に悩んだ
見ればわかる内容に判らない理由が理解できない
まだ幼いから無理なのかとも思ったけれど本人は一生懸命考えている
見かねた周囲の大人達が一つ二つヒントを出すと理解し尊敬の眼差しを向け嬉しそうに笑みを返す
本来は兄である自分達へ向けてもらうはずの眼差しと笑み
二人でいかにシルディに理解してもらうかを考え授業を受けるようになった
一度理解すると呑み込みは早いようで応用問題も楽しそうに解くシルディ
得意不得意があるようで理解スピードはマチマチ
如何にして理解しやすいように教えるかを考えるのが楽しい
つまらない授業は内容ではなく説明の仕方を学ぶようになった
今までと全く違った視点
退屈が楽しいへと変化した日常
幻獣に触れる
本来、契約者のみ可能な行為
シルディはポーと初対面で触れ合っていた
というよりポーからシルディへ触りに行った
幻獣は本能的に触れる相手を選ぶ
循環が出来ても同じ
ウルルの歩み寄りがなければ不可能だった
ポーにも無理だと言われ続けていた
手の届く範囲でしか届かない幻獣の声
最初は自分に向けられた声しか聞こえなかった
シルディの為に
ウルルと僕達二人の心は常に一致している
そして成しえた奇跡
大切なシルディ
今のまま真っ直ぐ前を向いて笑っていて欲しい
その為なら自分達は何でもする
好奇心旺盛で時々抜けている可愛いシルディ
夢中になると寝食を忘れそうな猪突猛進なシルディ
本人無自覚みたいだけれど弱ってる時だけ涙目で「にぃ~にっ」と呼ぶ
それがまた可愛い
時々困っているのを気付かない振りをしてしまう程
一時も目が離せない
そばでずっと見守り面倒をみないとね
僕達は”兄”なんだから




