幼少編:8
このプレゼントの数々をどうすれば…
「「シルディ、イルさんのプレゼントをさっそく使ってみよう」」
はて?
「このリングは既に所有者認定済みだからシルディにしか使えない。用途は必要となったら分かるようになっているから大丈夫だ」
いつのまに所有者認定を!?
そうでした。
装飾品は上位魔術具で所有者が固定でした
「どうやっちぇ認定しちゃの?」
認定方法も知らなのですが何かした覚えもありません
「少し前に髪の長さを整えるのに切り落とした髪を使っているのよ」
切り揃えてくれた母が捨てたと思っていた髪の毛のその後を教えてくれました
『私とイルさんで髪を貰って素材に混ぜて作ったから完成と同時に認定も完了しているの』
あぁ~作る前から相談してピアスとリングになったんだね
「まずはリングを指輪にするのか兄達と同じ腕輪にするか…他にもあるがどちらかが良いだろう」
兄達が見せてくれるブレスレットと同じようになるように頭に思い描きながら手首へとリングを近づけると違和感なく装着されました
「ふわぁ~」
つけている感覚すらありません
あっコレですね
頭の中に収納して出し入れできる機能の説明がされます
アイテムボックス!?
ゲームをしたことない私でも知っているラノベ知識
収納したいものを触れるか見つめて「収納」と念じると魔術具に収納され取り出したい時も頭の中にリストが出てくるようです
一瞬で収納されたものが分かります
収納されるとともに収納品の状態や機能が分かるように解析まで
超便利!!
時間も止まるようで痛むこともないようです
おまけに希望すれば簡単な修復や洗浄もしてくれるなんてイルさんスゴイ技術です
これだけで商売できそうです!
師匠!!
貰ったプレゼントを片付けてまったりお茶をしていたら父が真面目な顔になって
「シルディにはまだ難しい話かもしれないけど大切な話だから聞いてくれるかい?」
「あい」
しっかり父の目を見て頷いてお返事します
「実はシルディは女の子でもあり男の子でもあるんだ。今のところどっちにでもなれるし、どっちにもならないことも出来るんだ」
循環で自身の性別については気付いていましたが父だけでなく家族全員が知っていたようです
兄達も理解しているようで驚いている顔はしていません
普通3歳児には本当に難しい話だとは思うのですが何故今?
「性別がどうあれ私達にとって大切な家族であるのは変わりない。これからは男の子としての名前も必要になるので伝えておくね」
なるほど!
シルディアーナは女性名なので男性名も付けてくれるのですね。
どのような名前かしら
「シルディの愛称にも似せようと考えてオルディウスと決めたんだけどルディ、気に入ってくれるかい」
なんと!?
ここで「オル」が出ました!
私は前世の記憶があっても父の子です!
照れくさそうに教えてくれる父とは紛れもなく親子です
「あい!」
ギュッと抱き着いて密かに細マッチョを堪能しつつ、しっかりお返事したルディです
これでア行はコンプリートですね
「まぁ~女の子の服が可愛くてついつい女の子の服ばかり着せているけど、これからは学校での実習で森の外へも出るからね」
父と兄達の笑顔が何だか怖いです
黒い笑顔というものかしら?
「「これから家の中以外はルディだね!」」
おや?
外だけシルディからルディですか?
ということは外へお出かけの時は男の子だと言い張って動きやすい服装を選べますね
スカートも嫌いではないけど動きにくいですから助かります
前世でも女性らしさとは無縁の中身オヤジでしたから
「「外にはイロイロ変な虫がいたりするから気を付けないとね。絶対に守るから安心して」」
何だか黒い笑顔です
それほど変な虫がいるのでしょうか?
あまり好きではないので守ってもらいましょう
下の子の特権ですね
兄達に甘えられるのは
「領地内には居ないが森の外では他領の者達と会うこともあるから、しっかり駆除が必要だね」
何故か同じく黒い笑顔の父です
虫は森の外の他領の方々が連れてきてしまうのでしょうか
前世でも北海道にいなかった黒光りのG君を新幹線とかで配達した為に繁殖し見かけるようになったと聞いたことがあります
お部屋で一人水割り呑みながらテレビを見ていた私の前に現れたG君
紙を丸めて追いかけたら忍者のように天井へ張り付いたG君
頑張るなぁ~と思いつつ手が届かないので目の端に捉えつつ飲み続けていたらポトリと天井にへばり付いたままの姿で仰向けに目の前に落ちてきたG君
水割りのグラスを手に持っていて良かった
ポチャンとか嫌過ぎる
全く動かないG君
死んだふりなのか脳震盪なのか既にご臨終だったのかは不明だが
友人曰く狩人な私は手元へ置いていた丸めた紙で成敗
1匹見かけたら100匹はいるといわれるG君
大迷惑な!!
しっかり駆除してください!
殲滅希望です
家族に愛され守られてます
前世ではなりえなかった守られる側です
嬉しい限りです
『私が絶対近付かせないから大丈夫』
若干凶暴さがにじみ出てそうですがウルルにも愛されてホクホクです