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1.家族になった日

始めまして、もしくはこんにちは。


このたび中編程度の話を書いてみようと投稿をしてみました。


亀更新・気分更新ですがお付き合いいただけたらと。


「雪菜、父さん再婚してもいいか」


 親父がある日、俺をリビングに呼び出しそう切り出した。

 俺が小学3年の時に離婚し、それからしばらく女のおの字もない生活で俺を育て上げた親父が、そう聞いて来たのだ。

 俺は特に拒否する理由がなかったので良を出した。

 その次に早々に了承したのを間違えたのかと思った。


「理子さん、連れ子がいてね。確か雪菜と同じ北條高校の3年生と、その近くの中学3年生の子が二人。その子たちと一緒に住むことになるけど本当に大丈夫?」


 …それ、先に言おうか親父。

 基本的にNOと言える日本人の俺ではあるが、親父には頭が上がらずオッケーを出したのだった。




 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――




「初めまして、雪菜君だよね」

「初めまして、理子さん。親父がいつもお世話になってます」

「いえいえ。どちらかと言うと私がお世話になってるからね」

 

 職業少女漫画家。

 男の俺でも一度は耳にしたことのあるタイトルの漫画家さんがこの人らしい。

 元々雑誌の編集についていた親父が部署移動で少女漫画家の担当になった事からなんやかんやでこんな関係へ。

 まぁ、そう言う関係はよくあるらしいから何か納得した。

 で、次が問題だ。


「ねえ、お母さん」

「何?詩音」

「確かに相手のこの名前は聞いたわ」

「そうね、雪菜君ね」

「そう、何で男ってことまで説明してくれないの!」

「…ちゃんと“君”呼びしたはずだとな」

「分かりづらいよ!」


 …すみません。紛らわしい名前で。

 確かに男につける名前としては無い気がするが色々とあってこの名前に決めたそうだから、この名前は大切にしているのだ。

 で、先ほどから理子さんに反論しているのが千夏さん。

 県立北條高等学校3年の生徒会長様である。

 学年成績は常に上位、少し運動音痴でそこが可愛いと男子どもにモテるアイドル的存在の方である。


「「姉ちゃん(さん)、気づかなかったの?」」

「うぅ、湊、凪あんた達まで言わなくったっていいじゃない」

 

 見事なステレオを発動するのが双子のみなとくんとちゃん

 顔立ちはそこまで似てはいないが整っている。

 美形家族め。

 …俺と親父がそこの輪に入ると言うことになると崩壊するな。

 親父はナイスミドルないい感じの老け方をしたこんな感じに老けたいと言う容姿をしているので、眼前に俺だけカテゴリーが別である。

 

「これから家族になる訳だし、その、仲良くやっていこう。乾杯」


「乾杯」


 そんな感じで食事会が行われていったのである。


 ちなみに中3の子供がいる忙しい時期なのになぜ再婚に踏み切ったのかと言えば子供たちが、そんなに幸せそうな顔してるんだったらさっさとくっ付け、会えないときの表情見ている方がつらいと、言われたのが理由だとか。


 ○○○




 顔合わせから三日後、両親が役所に書類を提出し、家族になった。

 理子さんたちは和原から家の名字の城山になるのだが、詩音さんらは学校在学中は和原のまま過ごす事になったらしい。

 

 更に1週間後の土曜日。

 引っ越しをすることになった。

 半分仕事が相棒状態になっていたお二人は大きな額を使うことが少なかったらしく、そのことあってか高校へ向かう最寄駅から徒歩10程度、商店街が近く一駅離れた所にデパートのあるところに一軒家を購入。築3年程度の真新しい住宅だ。

 理子さんの仕事の関係もあってか少しリフォームも入っている。

 それなりにデカい家に住むことになり、俺たちは一人一部屋、6畳程度の広さの部屋を手に入れた。

 …今まで4畳のマンションの部屋だったせいか異様に部屋が広く感じる。

 この家の天井が少し高いのも影響しているのだと思う。

 この地域は冬になると積雪1mはよくあるので雪が落ちるよう天井が斜めになっている関係で天井が高い部分が出来ているのだろう。

 

 ……とまあ、そんなだだっ広い部屋には本棚と勉強机、タンスなどシンプルなものしかない。

 

「あの、雪菜君机組み立てるの手伝ってくれるかな?」

 理子さんに頼まれ、机を組み立て、パソコンのセッティングやらをし、気が付けば夕方。

 ちなみに親父は先ほど編集部に仕事を押し付けられたらしくそちらへ向かった。


 …夕飯の出前寿司は美味しかったとここに記す。



 ○○


 

 翌日。日曜の朝から腐れ縁から呼び出しを食らい、あたりがだいぶ暗くなった帰り道。どこか母性を醸し出すゆったりとした雰囲気の女性がナンパをされていた。

 と言うか、詩音さんである。


「なぁ、ちょっと俺らとお茶しない?」

 

 …少し時代遅れなナンパ文句をするヤンチャそうな見た目の男二名。


「あの、私忙しいので」

「そんなこと言わずに、ちょっとお茶するだけだからさ」

 

 助け舟を出したほうがいいだろうか。

 見知らぬ人だったら見て見ぬふりをしてそっと立ち去るのだが、身内だから助ける位はしないといけない。

 今の自分の姿にちょっと感謝し、仲裁に入る。

 

「お兄さん方、その人俺の連れなんだけど」

「ん、だよ邪魔すんじゃ---」


 祖父譲りの目つきの悪い強面の俺にナンパ男たちは一瞬怯む。

 …やはりだいぶ目つきが悪いらしい。

 腐れ縁曰く「人を2,3人殺っていそう」とのこと。


「なあ、お兄さん方、引いてくれるかい」

「は、はふっ!」


 …ついでに悪人顔なのだから声もそれっぽいのを出せる練習しようとのことで、ちょっとドスの入った声に笑顔を付けてお願いをするとあっさりと引き下がってくれた。

 そんなに声が裏返るほど怖いか俺。


「と言うことで」

「え、あの!」


 夕食が未だだったのでどこかファミレスで食べようと移動しようとすると呼び止められる。

 

「何か?」

「あの、よろしければお礼をさせてもりゃ---もらえれば!」


 どうやらいまだに俺が雪菜なる人物だと気が付いていないらしい。

 普段この悪人面を隠すために前髪を降ろし、黒縁の厚めのレンズのメガネをしているのだ、割と気づかないのかもしれない。声も少し低めを意識してるし。

 …顔を真っ赤にしてそう言って来る義姉しおんそりゃ見ず知らずと思われる人間の前で噛めば恥ずかしくなるよな。


「いや、別にいいよ。通りすがっただけだし」

「そ、それでも!」

 

 やけに食い下がるな、おい。


「また今度、機会があれば」

「え、あ、あの!あの!」

 

 後ろから何か聞こえたがスル―しておく。

 大丈夫だろ、多分。


 っと、ここで電話がかかってきた。


『カレー作り過ぎた。食いに来い』

「了解」


 腐れ縁から再び連絡があり、とんぼ返りする羽目に。 

 

 

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