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銀河機動戦記~紅蓮の飛鳥~  作者: 恥骨又造
第四章:『新たなる航路』篇
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ビギニング

宇宙の太陽系に存在する蒼き星――地球。


有史以来、争いを続けてきたが、

人類はようやく武器を納めて対話による平和を掴んだように思えた。


しかし、新たな火種として、銀河帝国メルディアスが地球侵略作戦を展開させた。

地球防衛軍【NETERO】により、日本で機動機甲兵器【紅蓮丸】が秘密裏に開発され、

そのパイロットである高校二年生の剣持飛鳥こと、

『紅蓮の飛鳥』の活躍によってどうにかメルディアスからの侵略を防いだ。


最終的にはメルディアス本星にて、飛鳥が帝国を指揮していたエリス姫の説得に成功し、

地球と銀河帝国メルディアスとの間に和平が締結された。


ただ、新たなる敵である宇宙機械皇帝が徐々に台頭していた。

皇帝は裏でエリスを操り人間の生命を糧として、機械兵団を作り上げ宇宙を掌握しようと企てている。


それとは別に、真の目的もあり未だ謎に包まれている。

飛鳥達は未だかつてない強敵との戦いが幕を開けるのだった――。


あくる日、一つの流れ星が地球へと降り立った。


そして、時は二千百年。


飛鳥は無事に進級ができて、高校三年生となっていた。

あの戦いから三カ月経過し、平和を取り戻しつつある日常。

飛鳥は紅蓮丸に搭乗する前から毎日剣道の道場でいつも一人、早朝練習で汗をかいていた。


現在は場所を変えて、神代大文字が運営する道場で

愛刀『紅蓮刀』を使用しより実践的な剣技を磨いていた。


最近は心技体の内、心を重点的に鍛える鍛練を積んでいる。

朝練の二時間の内、残り半分は座禅を組み、瞑想し心を鍛えている。


「飛鳥ハン。そろそろ、学校へ行く時間ドスよ?」

「すみません、先生。いつもお声がけありがとうございます!」


飛鳥の剣技の師匠である神代大文字が、

瞑想に集中するあまり登校時間ギリギリになっていた飛鳥へと声をかけた。


「飛鳥ハン。朝から精が出てよろしい。

せやかて、学校に遅れてしもうては、元もこうもありませんよ。気をつけなはれ」


「はい、先生。ただ、新章突入時は瞑想し過去を振り返るのは定番でして……。

ゴホっ。イケないつい癖で。本当に遅れてしまう。では、行ってきます!」


飛鳥はこのシュチエーションに慣れている様子だった。

急ぎつつも手早く着替えを済ませて道場を後にした。

飛鳥は地元民が知る道なき道を突き進みショートカットを駆使して登校時間に間に合った。


最後まで軽快に階段を駆け上り、自分のクラスの前へ到着した飛鳥だった。


「ふぅ~。今日も朝から青いハリネズミの如き俊足を披露した。

これもトレーニングと捉えればyesだね。さて、みんな、おはよう☆」


高校三年生になっても、彼は変らず際どいラインを責める。

引き続きこのスタンスは継続していく予定。


「飛鳥君、おはよう☆」

「おはようさん。今日も精が出てるな、隊長さん!?」


黄色の髪の毛にツインテールが特徴的かつ明るくチャーミングな風間命。

飛鳥とは幼馴染で剣道部のマネージャー。

NETEROではオペレーターを担当。


ニヒルな笑顔をキメているのは水城翼。

飛鳥とは高校からの仲で彼の親友。剣道部の副部長。

彼もまた、NETEROに所属しており紅蓮機甲隊の一員。

頭もキレる優れ者。


時折、蘭大尉の作戦に意見したりもする。

進級後も“奇跡的”に三人は同じクラスになっていた。


もしかしたら、巨大な何かの力が作用しているか、この学園の七不思議になっている。

いずれも真相は不明。飛鳥は命と翼の間の座席へと着席した。


この日も平和な日常を告げるチャイムが鳴った。

時間は穏やかに流れ特段何も起こらず、

飛鳥達の普通の高校生としての一日が終わった。


「くぅ~。こういっちゃ何だが、平和な日常は少し退屈かな」

「何を言っているの? 水城副部長。

こないだまでの世界が非日常過ぎたのよ。ねぇ、飛鳥君?」

 

飛鳥はどこかうわの空だった。

二人の会話は聞こえているが反応は薄い。

ぶっきらぼうな返答をした。


しかし、話す内に熱がこもっている。


「あ。ご、ごめん。平和な世界はいいと思うよ。あの戦いだけではなく、

人類は悠久の時を経て、争いごとをしてきた。

僕らはメルディアスの人々――。エリスさんやエミリアさんと理解し合えた。

あ、マジレスしていた。ごめんさないッ!」


飛鳥はあの戦いで世間や級友からは【救世主】や神の子と呼ばれていた。

当の本人はさらさら、そんなことは思っていない。

胸の奥や頭の片隅でモヤモヤがあった。


平時の中で紅蓮丸や剣技を磨き何かへの準備を、

怠ることはしないと心に決めている。


「そうだな、飛鳥。ガキみてぇな、こと言ってすまん!」

「そうね。お父さんも今はゆったりとした時間を過ごしている。

どこか、安らぎを噛みしめているように思える。

それはそうと、マリアさんは元気かしら?」


命の父は機動戦艦ノアの艦長として大任を全うした。

地球に戻ってからは落ち着きを手にし、NETEROの司令とし職務を続投していた。


「僕は独りで地球に帰還して以来、マリアさんとは会っていないや。

久しぶりに地球文化の最新情報を伝えたい。いや、興奮を共有したい! 

鬼〇の刃、呪術〇戦、推〇の子、葬送のフリー〇ンetc……」


飛鳥達が地球へ帰還して間もない頃に流行したクールジャパン・コンテツ。

今やアニメや漫画、ゲームは世界を虜にさせる一大産業。

それが地球とメルディアスとの友好に一役を担っていた。


マリアという女性は【銀河帝国メルディアス】が誇る気高き十二人の内、

一角を担う黄金騎士。

銀色の髪をなぎかせて優雅に剣技を奮う聖騎士。


地球攻略の際、マリアはエリスから勅命を受け、愛機『エクスカリバー・クィーンナイト』に搭乗し、

幾度なく飛鳥の紅蓮丸を追い詰めた。


彼の人生で敗北を予感させ、成長するきっかけを生んだ好敵手。

数奇な運命を経て飛鳥達とマリアは共闘し、エリスの暴走を阻止した。


「そういや、こないだ“蘭少佐”がぽろっと、言ってたな。

本星は聖騎士長バーンさんらが守りつつ、シンやマリアは周辺で演習がてら留守にしがちだと」

「もうそういう重要なことはホウ・レン・ソウだよ。

でもマリアさん、元気そうで何よりだわ」


「すまん。完全に言い忘れていた!」


蘭大尉こと、藤崎蘭はあの戦いを経て階級が上り少佐となっていた。

キ〇グダムや銀河〇雄伝説ならば、

一戦交えるだけで主要人物が目まぐるしい速度で階級が上っていく。


やや、リアル感を演出し階級が上ったのは蘭少佐のみ。


飛鳥に関しては『特務少尉』と言った例外措置が施されている兼ね合いで階級は据え置き。

その一方、英雄や救世主といった肩書が広く世間へと認知された。


「んで、今日は放課後どうするよ? 部活は休みだし。

NETEROへの出動も原則土曜日だけ。久しぶりに遊びに行くか?」

「……僕は今日、行く場所があるから遠慮しておくよ。また、誘ってよ翼?」


一泊おいて、飛鳥は翼からのお誘いを断った。

そして、そそくさと飛鳥は教室を後にした。


「おっと、いけない。お花を買わなくては」


飛鳥は商店街の花屋へ入店した。花の香りが満ちていて心安らぐ空間。

彼と店主は気心知れた仲のようだった。

こなれた様子で飛鳥は店員さんに注文した。

代金を支払い色鮮やかな花を抱きかかえて店を後にした。


彼の足取りはといえば、商店街を抜けて人気がない坂を上がり【ある寺院】へと辿り着いた。


周辺は静かでかすかにお線香の匂いを感じ取れる。

桶に水を汲み飛鳥は墓地が並ぶ砂利道を進んだ。

ある家名が刻まれている【墓石】の前で彼は立ち止まった。


「相原さん……」


桶から尺で水を汲みとり墓石の頭上から優しく水をかけた。

花屋で購入した花を添えた。

懐から線香を取り出してライターで点火し線香をあげた。


体制を整えて無言のまま合掌した。


そして、もう一つ家名が刻まれた墓地へと移動した。

先ほどと同様に墓を入念に掃除した。


「無燈さん……」


再度、線香をあげて目を閉じて手を合わせた。

高校生の彼がここまで特に不備がなく、故人に寄り添えた所作に関しては、

彼の幼少期に関係していた。


飛鳥の母、剣持渚はある人体実験で自らを被検体として、実験中に失敗し帰らぬ人となった。

そんな彼は幾度なく母の墓参りをして故人と対話していた。


今、こうして先の戦いで散って逝った紅蓮機甲隊の隊員である「相原」と「無燈」を弔っている。

彼らとの思い出は飛鳥の心を逡巡した。


肉体は滅び死んでも、誰かが忘れない限り彼らの意思は生き続ける。

飛鳥は想いを忘れないため、時折ここへ足を運んでいた。

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