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銀河機動戦記~紅蓮の飛鳥~  作者: 恥骨又造
第三章:『破壊と希望のヒカリ』篇
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~マリア夢想~

「我む、無念なり……!」


『つ、翼! 完全に沈黙です……』


なけなしの押しボタンによる、決して復活しない激寒の最終演出。

その後、カメラワークは銀髪の女性を捉えていた。


「水城よ。このままだったら、もしかしたら……。って、紅蓮の飛鳥! 貴様のせいで

死合いが興醒めだ。いまここで私と剣を交えろ!」

「ヴォォオ! 翼の代わりに僕が復活かな。なんちゃって、翼には悪いけど折角ですからマリアさん、トコトンやりましょう!」


マリアの申し出を快諾した飛鳥により、また会場に爆発的な熱が舞い戻った。


「た、隊長! い、いつの間に!!」

「俺は見ることができなかった。しかし、今宵ついに『聖騎士対紅蓮の剣士』の戦いをこの眼で見届けられる。こりゃ、取れ高だわ!」


――急遽、二人のドリーム対戦が実現して、盛り上がるなか、

命一人だけなにか重要なことを思い出そうとしていた。

それでも、モヤモヤして“彼女”は思い出せずにいた。


「う~ん。なにか頭に引っかかる……。まぁ、いいっか! マリアさん。飛鳥君なんて、倒しちゃえ!」

「わ、私に反旗をひる返すのか……。まぁ、よかろう命ちゃん……!」


逆襲のアスカさん状態で彼は掠れたダンディーな声で囁いた。

しかし、マリアへの声援で最新のマイクでも拾えない始末。

飛鳥は右肩を回して、気を取り直し翼から『疑似刀』を借用した。


それを見かねたマリアはスパッツの袖で疑似刀剣を拭き取り構え直した。


「それでは、始め――!」


いつの間にか、命がこの場を仕切り支配していた。命は二人に目線をやって、

死合い開始の『号令』を格納庫中に響かせた――。


二人は一切躊躇うことなく、全力で踏み込みぶつけ合った。

その衝撃に一同は言葉を失ってしまった。


竹刀より頑丈で、プラスチックよりも軽いはずの疑似刀剣にもかからず、

まるで、本物の金属同士が激しくぶつかったように鈍く、

甲高い音が空間を弾いた。


『おぉぉお! こ、これが隊長と黄金騎士のマックスパワーの打ち合いなのか!』


紅蓮の一太刀と、黄金の光芒が煌めく一撃により、会場である格納庫は歓声で揺れた。


「くふふ。やはり貴様は違うな! それでこそ――!」

「へへ。体の芯まで、衝撃が走りましたよ、マリアさん。流石は聖騎士マリア!」


隊員たちの目前の前で超高次元の違う斬り合いを繰り広げている。

若干、隊員たいが引いていても飛鳥とマリアは、彼らを気にせずとも心底楽しいそうに心躍らせていた。

大多数は表面的な鬼気迫る覇気としか見えない。


でも、命だけは二人を理解できていた。

飛鳥が放った刃がマリアの刃と交わる。

また幾戦と混ざり溶け合う。激しくもあり、


それでいて、優しさがある心地のいい死合いなのだ。

いつしか、命は二人の戦いを忘れ……。違った意味で不安を覚え、表情険しくしていた。


「お、おい、風間マネージャー大丈夫か? なにもそんな不安な顔しなくても」


いつの間にか、回復した翼が命の隣に立ち尽くし表情を暗くしている彼女を気遣った。


「えっ?! いや別に私は……」

「そ、それならいいが。それじゃ、俺はみんなのために解説キャラになるか!」


ふぅ~、翼の一言で命は正気に戻れた。

そのあと、純粋に二人の高次元の戦いへ集中でき観戦に徹した。


「てぇえい! これならばどうだ?」

「んっ。はぁぁあ!」


SWを彷彿させるかのように激しく巧みに疑似刀剣を左右に振り回し、

両者はガシガシと鈍い音を飛ばす。


さらに二人は勢いを加速させ、ここ一番踏み込み――大振りで疑似刀剣をぶつけ合った。

空気を突き抜け衝撃は威力を増し、あまりの衝撃で二人は吹き飛んだ――。


「っ! 強烈な一太刀……。これほどまでとは! だが、紅蓮の飛鳥。なぜ貴様は、

必殺の『二刀流』を解禁しないのだ?」

「おとっと。さっきのは先生にも、匹敵する一撃かも知れない。……今日は大丈夫です。そもそも、二刀流用の『疑似刀剣』なんて、存在しないですから。それにこっちの方が、相性よくて、マリアさんに勝てますからね☆」


あくまで、飛鳥は剣技の修行の一環で、基礎の構えを貫く。

それとは別に珍しく、飛鳥が皮肉を込めて、

地球の激闘――あの一戦で『勝利』したことを口に出した。


飛鳥は、聖騎士マリアを煽り挑発してみせた。

しかし、冷静な彼女は不敵に自嘲し飛鳥を流した。

それでも、あの死闘――二人の一騎打ちの現場にいた、一部の隊員たちと、

命はかつてのマリアを思い出した。


「それでこそ、私を倒した者だ。となれば、奥義を使うまでだ!」


マリアはすっと、両目を瞑りそのまま――両手も下へ降ろした。

そして、いつしか彼女の身の回りに聖気のようなものが纏われ光り出していた。


「シャイニング・ブレード!!」


そう高らかに詠唱を終えると、両手で疑似刀剣を握り締めた。

愛機、エクスカリバー・クィーンナイトで見せた、最上の一撃の構えに入ったマリアだった。


しかし、現実的にマリアから飛鳥まで、距離がある。

それゆえ、マリアが発動した奥義には飛鳥を含め翼、命も彼女に釘点けだった。


「私は――まだまだ、成長できる! 礼を言うぞ、紅蓮の飛鳥!」


このマリアは英雄王にも相応しい風格。

いまの状態なら、もしかしたら、もしかする。

全員が疑心暗鬼になりつつ、流星の光芒たる――ヴァーチカル・ミーティアの煌めきを

期待せずにいられない。


でも、水城翼だけは撃てないと確信していた。

も、もし撃てたなら、紅蓮の飛鳥はこの世から存在は消え去り――星屑の一部となってしまう。


一同緊張の糸が限界点まで張りつめたなか、銀髪の聖騎士に視線をやった。

そして、マリアはついにヴァーチカル・ミーティアを放った――。


「さらばだ……紅蓮の飛鳥。ヴァーチカル・ミーティア」


光り輝く眩い流星たちが、飛鳥を包み込んだように思えた。

が、しかし、飛鳥の肉体は現実世界に踏み止まっていた。

いや、そもそも巻き戻し見返しても、疑似刀剣にシャイニングブレードなんてありもしない。


みんな、マリアの覇気が映し出した幻影に踊らされ、集団幻覚にかかっていた!? 

これはまさに『トリケラトプス拳』。型のみで、現実の浮世離れした所業の成果。


リアルを超えた再現度。

聖騎士改め、またの名を『銀翼の魔術師』だったりする。


とにかく、幻術が解けた一同は、ヴァーチカル・ミーティアを遂行して

型を維持したまま下を向いてる、マリアの様子を伺った。


「ま、まさか……!?」


飛鳥は謎の期待感と射幸心を煽る台詞を口にしていた。

その彼の言葉を耳にして、マリアは、飛鳥へ目線を向けた。


「ふっ。さすがに生身では《ヴァーチカル・ミーティア》は撃てぬか……! これは、

いい経験だ……」

「な、なんだって!!」


マリアのボケに飛鳥はお約束と言わんばかりにズッコケてしまった。

それに釣られ、紅蓮機甲隊たちも、飛鳥よりオーバーにリアクションをとった。

命でさえも空気を読んでやっていた。


「うん? なぜみんなしてコケるのだ……?」

「はわわ。ま、マリアさん。例の奥義はなんだったの?」


ほとぼり冷めぬまま、マリアに対して命の容赦ないツッコミが炸裂された。

これぞ裂けてこそ、ツッコミ! 命の切れ味鋭い口撃により、マリアはようやく己を取り戻せた。

その直度、雪のように白い肌を持つマリアの頬に異変が起こる。

普段ノーメイクの彼女だったが、チークかかったように綺麗な彩の真紅が頬に現れていた。


「わ、私としたことが……。こ、これはその――蒼き星の文化に影響されて……。

仮にも黄金十二騎士の聖騎士なので、生身でもできるかと……」


元々、マリアは人一倍、真面目な性格。

故に紅蓮の少年に影響された、クールジャパンの産物である書物や宝物に憧れて、

先導士の前で思わずやってしまった。


実は飛鳥と出会う前からも、一度本気でやってみたいと密かにマリアは思っていた。


「はは、マリアさん。ついに、あなたも僕の境地に達しましたか! でも、恥ずかしがってはまだまだだね!」


水を得た魚の如く、紅蓮の少年は疑似刀剣を『テニスラケット』に見立てて、肩に当てながらマリアを慰めた。


「き、貴様に笑われるなんて、騎士として――一人の人間として終わりだっ!!」

「マリアさんはまだ、他人にオーラを見せられても、実態のビジョンを感じられません。

そしたら、僕がお手本をお見せしましょう……」


マリアにそう告げると、飛鳥は疑似刀剣を床に置いた。

その後、一気に――内なる闘気、小宇宙を高めていき、両手で天馬を描き切った――。


「ペガサス流星……」


ドゴっと、鈍い音が飛鳥の後頭部を直撃した。


「はいはい、そこまで。飛鳥君はすぐ調子に乗る!」


速攻魔法の優先度もしくは、一度だけ効果を無効化して破壊するカードの絶対的な、

命のカットインが入り、飛鳥の病魔は打ち消された。


「最近、夫婦漫才のクオリティーが上がり過ぎだぜ!」


高校生活ではお約束だった二人の熱い掛け合い。んで、翼のボヤキがオチを飾る。

中堅芸人のように味の効いた翼の一言で格納庫はみんなの笑い声で包まれた。


しばらく、時間を忘れて笑いふけっていると“あの男”が帰ってきた。


「さてさて、全ての人類がお待ちかねの閃光のルカがと……。でぇぇえ?! な、なぜ紅蓮の飛鳥がここに? そして、ミスマリアと刃を交えている?」


心躍らせてルンルン、気分で帰ってきたルカだった。

心境は一転して、暗黒面ダークサイドに堕ちる寸前までゲシュタルト崩壊。


「……あ、飛鳥! なぜ君が決勝戦にいるのだ? せっかくミスマリアとの再戦を……」

「ご、ごめんなさいルカさん。なんて言うか『不思議な力』が働いて……」


飛鳥も突然のことで動揺していた。口よりも先に両手を合掌し、必死にルカへ謝罪をした。

それでも、ルカはスネてしまい頬を膨らませ、飛鳥に対してそっぽを向いてしまった。


「まぁ、ルカよ。同じ騎士道のよしなで許しておくれ。どっちみちいまこの場でコイツを倒してそのあと私と君とでやり合うではないか!」

「むむ! それは聞きづてなりませんね、マリアさん。逆にですルカさん。マリアさんにフェードアウトしていただいて僕と心ゆくまで、やり合いましょう!」


飛鳥もマリアに負けじとルカにそう進言した。

もちろん、マリアの反応はと――。

美しい顔を顰めて、片方の眉を萎めて額に怒りマークが浮き出ている。


「ラチが空かないな、紅蓮の飛鳥? ではゆくぞ!」

「ええ。僕もそう思ってました。勝者がルカさんとやる、シンプルかつ大胆な提案。

ガン○ムファイト! レディー……」


『ゴー!!』

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