リベンジ・オブ・アスカ
こうして、エリス姫は正統な次期皇帝となった。
さすがに皇帝の名を名乗るのに承認はされなかっが、ザードは一人胸の打ちで笑っていた。
数十年後にザードの計画は実を結ぶことになるのだが、まだ誰も予知していなかった……。
――そして、これを機に二人の姉妹は別の道を歩むことになる。
二人は別々の道を歩むことになったが、一つだけ共通の思いだけはあった。
近い将来、銀河帝国メルディアスを揺るがす計画。
それこそ、地球帰還作戦。二人は亡くなる直前の皇帝から
『銀河帝国メルディアス』の秘密と、一族の希望を授かっていた。
時はあっという間に流れ、エリス姫が継承権を得て五・六年経っていた。
いつもどおり悠然と玉間で座り込んでいたエリスだったが、この日だけは違った。
張りつめた雰囲気を身に纏わせ、全国民の前で謎の機械軍団の侵攻を釈明し、
一族の宿願であった『地球帰還作戦計画』を提唱し高らかに発動させ、後にマリアが地球へ飛来する。
そして、その頃エミリアは父、皇帝陛下授からかっていた特別な『力』を解明していた。
自分自身の殻を破り修羅の如き道を歩むエリスと違って、
エミリアは銀河帝国メルディアスの繁栄ともう一つの星の平和を見据えていた。
そうして、地球で絶望に打ちつけられていた“剣持博士”と数年後接触することとなる。
それこそが、【エンゲージ・リンクシステム】と《紅蓮丸》。
近い将来同じように蒼く美しく、光輝く星に危機が迫るため、
エミリアは王宮の地下に潜伏してその時を待った。
そして――地球と銀河帝国メルディアスの運命は剣持博士の息子である、剣持飛鳥
《紅蓮の飛鳥》に運命が託された。
朧だった夢の世界から覚めて、エミリアはそっと、両目を開けた。
いまでは心が離れてしまった罪悪感を覚えつつも、エミリアは妹のエリスのことを一番心配していた。
けれど、エミリアの祈りは虚しくエリスは一族の業を一手に背負い込んでしまった。
もうあと戻りの効かないエリス姫は銀河英国メルディアス本星にて、機動戦艦ノアを向かい討つ。あと数週間を残して、様々な思いが地球の一直線上の宇宙で激突する。
――ここは銀河系……宇宙空間に赤い機体が飛翔していた。
「えぇい! ひつこいぞ、マリア……!」
「逃げるな、アスカ!」
そのあとを追いかけるように白い流星が煌めいていた。
しばらくして、前方の赤い機体は諦めたのか、向かい合う形で停止した。
「お前も感じたハズだ! 地球人類はこのままではいずれ破滅する。
だから私《赤い彗星のアスカ》が粛清するのだ!!」
「確かに地球は、汚れてしまった。しかし、まだ人類には絶望しちゃいない。
アスカ、それはエゴだよ!」
出会って早々に赤い機体のパイロットは白い機体に搭乗しているパイロットへ、
己が地球人類に失望したことを伝えた。その声の主は赤髪にオールバック。
掠れたボイスの持ち主。そして、ネオ・ジ○ンこと“紅蓮のアスカ”と男は名乗り、
完成されたフォルムの異名を持つ、赤い彗星がこよなく愛していた機体に搭乗している。
打って変わって、地球連邦所属の『マリアマ大尉』は白を基調として、
味の効いた黄色と青い色のラーリング施されたマリア大尉専用機体。
身の回りにはフィン・ファン○ルを射出して停滞させていた。
これぞまさしく、モビルスーツガン○ム・リベンジシ○ア状態。
しかも若干、設定がややこしいのが歯がゆい。
「アスカ! そんなこと、ミコトは望んでいないぞ……。
だから、アク○ズを地球落とす馬鹿げた考えは辞めるんだ!」
「確かにミコトは望んでいなだろう。だが、ミコトはこの世にいないのだ……。
貴様ら連邦に利用されあまつさえ、裏切られた。さらにマリア、忘れもしない。貴様の手によってミコトは死んだのだ! ミコトは私の母になる存在だった!」
あくまで、悲壮な三角関係を描きつつ、配役ポジションを変えているらしい。
紅蓮の――赤い彗星のアスカは心にトラウマ抱え、地球の未来に絶望してしまい悪しき記憶が眠るアクシ○を地球へ落とすことを決行した。
連邦のマリア大尉は自身への宿命。
アスカ、ミコトの全てにケリをつけるべく最終決戦に臨みアスカと宇宙で対峙していた。
そして、両者は想いを乗せ、念じて放った――。
『ファ○ネル!!』
赤いレーザーと白い閃光がひしめくなか、アスカ大佐は中距離ではなく距離を縮めた。
多少被弾しながらも、両機は接近戦になった。
マリア大尉は逆襲のアスカに応じたので、フィン・○ァンネル全てを
アスカが飛ばしたファ○ネルに当てて、相殺させ、腰から緑色の電光剣を抜刀した。
アスカもご自慢の深紅色に染まる二本の電光斧で襲いかかった。
二機の乱舞は無数に電撃飛び交い、碧色と赤色が重なり紫色の光がスパークした。
T監督が大っ嫌いなファ○ネルは全滅して、しばらく息をのむ接近戦が描かれた。
――しかし突如、アク○ズが動き出す。
「し、しまった。アスカに気を取られていて……!!」
「ふっ、よくやったラン! このまま行けば確実に地球の引力によって、
ア○シズは地球圏に落ちる!」
逆襲のアスカ大佐は勝ち誇っていた。物理的に考えても、ア○シズは地球へ落下する。
そして、絶望しあっけにとられているマリア大尉のνガン○ムの腹部へと、
強烈無比な彗星蹴りを喰らわせた。
その衝撃は凄まじく、たまらずマリア大尉の意識が飛んだ――。
アスカ大佐はこのスキにア○シズが駆け抜ける進路の後方へついた。
紅蓮の愛機超しに、アスカ大佐の目は勝利を確信していた。
だがしかし、アクシ○に衝撃が起こった。
「見す見すやられてたまるか! これより、本艦は体当たりをしかけるッ!」
水城艦長率いる、ラー・カイ○ムの“ハイパー・メガ粒子砲”がアクシ○に直撃した衝撃波だった。
しかも間髪入れず、ラー・カイ○ムは船隊でアク〇ズを止めに入った
「フハハ。いまさら、来たところであとの祭りだ! 水城艦長……」
アスカ大佐の言うとおり、水城艦長の特攻の虚しくアクシ○は減速しなかった。
むしろ、地球圏の引力に惹かれ落下加速した。いよいよ、地球に堕ち最終コースへ突入。
それでも、ラー・カイ○ムのクルーたちは諦めず、モビ〇スーツが出撃した。
約三十機ものジェ○ン隊が大圏内に出撃し、ラー・カイ○ムと共にアクシ○を押し返した。
気のせいかも知れないが、コンマ数秒だけアク〇ズの落下速度が減速したようにも錯覚してしまうほど地球連邦の勇士たちの気迫だった。
そのエナジーにより、マリア大尉は意識を取り戻した。さらに悲惨な光景を目の当たりにする。
「ア、ア○シズが……。で、でもあれはラー・カイ○ム……!!」
すぐさま、エンジンを臨界点まで上げて白い流星はアクシ○を押し返す部隊に加わった。
「みんな、遅れてすまない! だけど私も最後まで諦めない!」
「さすがは《一年戦争の英雄》です。マリア大尉殿!」
追い詰められている状況下でも、部下たちはエース・マリアの奇跡に期待していた。
そう、期待せざるおえなかった。しかし、その思いは伝染して、やがて――。
「へへ。俺たちも手伝うぜっ!」
マリア大尉のνガ○ダムの隣には敵機である、ネオ・ジ○ンのギラズールたちが一機……。
また一機と、アクシ○を押し返す部隊に加わり手を貸した。
「ったく、これでアスカ大佐へ反逆だよ!」
「ごちゃごちゃ、うるせい! ルカ。ですが、アスカ大佐。確かに俺たちは地球にいる奴を許せねぇ。でもでもよ……こいつらは、絶望しちゃいないですぜ! も、もう少しだけ世界のあり方って、ヤツを見ちまいてぇと思っちまったんです!」
両軍とも先程までしのぎを削り、殺し合いをしていた。しかし、たったいま、
この瞬間だけは――未来にかける思いが『一つ』になり、手を取り合えた。
「そ、それはそうだが。しかし、君たちの機体ではもうじき大圏に焼かれて……」
「カカっ、白い悪魔が泣かせてくれるぜ! 俺たちにも……意地ってもんがあるっ!」
一見無駄にも思えたこの行動だが、僅かにアクシ○の落下速度が緩んでいた。
それでも、恐れていた事態が連鎖的に起こりはじめた。
大圏内で赤く燃えさかる機体が一機爆発した。
さらに続きもう二機と燃え尽き、儚い命が宇宙に散っていった。
「林隊長。あとは頼みましたよ、少し先に逝ってます……!」
若きネオ・ジ○ン兵のギ○ドーガは爆発しルカは昇天した。
連邦にも負の連鎖が起こり、一機のジ〇ガンパイロットの尊い命が弾け飛ぼうとしている。
「どうやら、お向かいが来ちまいました、マリア大尉。だけど、自然と怖くはないです。だって、俺は最後まで……地球にいる大切な家族やモノを守れた……ですか……ら」
「いま逃げられれば助かる滝本! だ、だから……」
マリア大尉は必死に手を指し伸ばしたが、寸前で滝本の機体は昇華された。
――その瞬間、滝本エナジーの波動が愛する者に流れた。
「い、いま……。ア、アナタ……!」
「ねぇ、ママ。あの大きな隕石はこのまま、地球に堕ちちゃうの?」
儚く散っていた生命は光輝き、太陽の光の如く地球に降り注いだ。
「大丈夫よ……。きっと、パパやマリア大尉たちが必ずなんとかしてくれる。だから、
信じて……祈りましょう」
「うん、ママ……!」
そして、地球に光注がれた希望の閃光は再び、アクシ○の戦士たちに集結した。
「こ、これは……! くそっ、たかが石ころ一つ、このνガ○ダムで!!」
怒号を発するマリア大尉に共鳴するかのように、ν○ンダムは全身緑色に発光した。
緑色の光によってνガ○ダム以外の部隊は優しい光のオーラに包まれ、アク○ズから吹き飛ばされた。
「みんな、もう十分だ。あとは私がケジメをつける。だから――みんなはこれからの地球のためにも生きてくれ……!」
さらにνガン○ムの光のオーラは凄みを増していった。
それに反して、アク○ズは徐々に減速した。だが、このままでは地球への衝突は回避できない。
こんな光景であっても、アスカ大佐は眉一つ動かさず、ただただ無言のまま、マリア大尉が必死もがき苦しんでいる有様を静観していた。
虚しくもマリア大尉の懺悔の断末魔が宇宙に木霊する。
「アスカっ! お前はこれで満足か? だがな、このままではまた同じ結果が起こる。
お前がそう望むなら仕方がないがな……」
「マリア、往生際が悪い! 貴様も知っていながら。わ、私は……」
マリアの体から溢れ出ている緑のオーラが、アスカ大佐のサ○ビーへ接触した――。
『大佐……アスカ大佐……』
アスカ大佐と愛機は緑色の繭に包まれ暖かい光に包まれた。
その中でアスカ大佐は久しぶりに“彼女”と再会した。
『こ、この声は……ミコトなのか!』
『お久しぶりです大佐。お元気でしたか?』
神秘の宇宙が照らし出される空間にて、アスカとミコトは再会した。
そして、心と心が触れ合い溶け合った――。
『ミコトには私がそのように見えるのかい?』
『いえ。とても、そのようには見えません。大佐の心は悲しみで満ちております。
大体の心情はマリアの魂の波動が教えてくれました』
ミコトは肉体が滅んでもなお、マリア大尉が覚醒時に解き放った、精神エネルギーにより宇宙と地球の――時間の理を超えて蘇ったのだ。
その上でミコトはアスカ大佐へ、このような言葉を投げかけた。
『大佐……アスカ。私は短い一生でしたが大佐やマリアたちと過せて幸せでした。
たとえ傷つけ合っても、人は人を……互いを理解できると確信しております。
人間ならば、過ちや遠回りをしたとしても、大佐たちならできます。
だ、だからもう少しだけ……未来を見つめて……。大佐と私が生きていた地球を……』
『私も一度は君がいない世界で未来を見つめた。
だが、その結果がこれだ。地球は腐敗し切った。我々をないがしろにして、スペースノイドは地球の重力に魂が繋がれてしまった。ま、待ってくれミコト! わ、私は……』
アスカがミコトの手を握っていたが、ミコトはしだいに半透明になり虚空の宇宙へと、
姿をくらました。
そして、アスカ大佐の意識は現実の戦場に戻っていた。




