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銀河機動戦記~紅蓮の飛鳥~  作者: 恥骨又造
第三章:『破壊と希望のヒカリ』篇
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追憶の銀河

ここは、地球と一直線上に位置し、静寂で蒼い光を放っている惑星、銀河帝国メルディアス。地球でいうと、中世の街並みと近未来の都市が融合された世界。


しかし、周辺を見回しても活気がなく人、人っこ一人、見られない惑星である。

そんな、銀河帝国メルディアスはいま、帝都――ルクシオンの玉間で会議が開かれていた。


「エリス姫様。どうやら、黄金騎士連合は地球の戦士たちとの戦いにより深手でを負った模様です。それでも《聖騎士長バーン》たちは、地球の戦士たちを追撃すべく、本星へ帰還するとのことです!」


話題に出た黄金騎士連合たちは、地球の機動戦艦ノア……剣持飛鳥率いる、【紅蓮機甲隊】との激戦で宙域を停滞していた。整備、修理が完了しバーンたちは己の信念に従い独立部隊として決戦のために銀河帝国メルディアスへ動いていた。


「あの木偶の坊とポンコツナックルズめ……。まぁ、黄金騎士に死者はいないのだろう?

問題は“聖断のガンマ”が討たれ、蒼き星の飛矢――戦艦がこのメルディアスの喉元まで

迫ってきていることだ!」


開戦当初、銀河帝国メルディアスは圧倒的な戦力で蒼き星『地球』を制圧していた。

本来の計画段階だと、すでに地球を制圧しエリス姫一族の宿願である、『地球帰還作戦』を遂行していた手筈だった。だが、地球人類は運命に抗い降伏しなかった。


そのなかでも、世界が敗れても黄金の島国……日本は徹底抗戦し紅蓮の少年の活躍により、

銀河帝国メルディアスの牙を打ち砕き、地球を救った。


これはまるで、誰かが予め予想していていたかのような戦況。

銀河帝国メルディアスが誇る最高戦力《黄金十二騎士》が二人も討たれる。


内一人の聖騎士、マリアが行方不明の事態。さらには、黄金騎士が三人束になっても痛み分けの戦果。さすがに強気なエリス姫も内心では戦々恐々としていた。


「このままでは、この星も……。あぁぁあ、こんな時あの方がいらっしゃれば……」

「ば、馬鹿! エリス姫様の前でそのよう戯言を……」


歴戦の家臣たちも初めてではないが、侵略される恐怖を肌で感じている。

ましては、現在銀河メルディアスは“謎の機械軍団”とも交戦状態にある。


「こ、このままでは……」


何とも言えがたい雰囲気が玉間に漂うなか、一人の男が姿を現した。


「おやおや。お困りのようですね、エリス様?」

「き、貴様何の前振りもなく突如、姫様の前に現れて!?」


家臣の一人が黄金の鎧に身を包まれた男に喰いかかろうとした瞬間――。

エリス姫は右腕を前に出して血の気の多い家臣を静めた。


「よい。して何か策はあるのか『聖寂のザード』よ?」

「あるにはあります。ですが……」


先ほどまで、川のせせらぎが聞こえるほどの静けさだった玉間。

突如、エリス姫の前に姿を見せた『黄金十二騎士、聖寂のザード』の言動により、

名前とは裏腹に一気に騒々しくなり、家臣たちはザードの発言に注目し耳を傾けた。


「そうとなれば、エリス様。どうか私と二人だけで今後の

銀河帝国メルディアスについてお話したくありますので……」


先ほどの流れで家臣たちは、ワンテンポ置いて一斉にエリス姫へ視線を送った。

たまらず家臣たちはザードに身を乗り出そうとしたが、

エリス姫かた氷のように冷たい視線が反射された。


有無を言わさぬ迫力を感じ取り、彼らは無言のまま百八十度反転して、

渋々退散しながら、終始ザードを睨みつけ玉間から退出していった。


「まずはエリス様。最近の戦果については、心中お察しいたします。

ですが、これもまた銀河帝国メルディアスに課せられた運命であり試練なのです。

脱却するためには、地球の戦艦を撃破して………。そのためには……」


このザードという男は、腰が低く物静かでありながら一旦、口を開くと饒舌。

彼の口から発せられる一つ一つの言葉には妙な説得力がある。

またザードの心と裏表。


誰も彼の本心は見て取れない。それでも、ザードは黄金十二騎士では古株でもある。

銀河帝国メルディアスでは数少ないの【有力者の一人】。

噂では、黄金騎士長バーンと勢力を二つにする程のカリスマ性も兼ね備えている。


国民ですら影の指導者と言うほど、武力もさることながら、政治力にも長けている。

このザードという男は異質な黄金騎士なのだ。


いつも強気なエリス姫でさえも、ザード相手では正直、

ワンサイドゲーム気味になってしまう。

そのため現状――、会話の指導権はザードにあった。


「ふっ、どの口が言えたことか。出し惜しみをせず、貴様の騎士団も出しておけば……。

それはそうと、早いとこもったいぶらずに用件を申せ!」


苛立ちを見せるエリス姫を前にザードはそっとため息をつき、静かに口を開いた。


「そもそも此度、色んな因果が重なって『地球帰還作戦』を発動しました。

しかし、肝心の【機械軍団】の攻撃の手が止みません。

ですが、キッパリ彼らの攻撃の手が休まり、我らの味方についたならば?」


エリスの威嚇にも動揺を見せず、ザードはことの顛末をひっくり返す案を提案した。

窮地に陥ったにエリス姫はザードの言葉を真剣に耳を傾け訊いた。


「そうなれば、戦況はこちらに傾く。しかし、その方法とはいかに!?」


手品の種明かしを聞きたがる子供のようにエリス姫はザードに答えを求めた。

しかしそれは、禁忌の扉を開けることになる。


「エリス様。それは――」

「な、なんと……!」


エリス姫はザードの提案を耳し、一気に表情が青ざめた。聖寂のザードは、聖断のガンマが放ってい数十倍不気味で禍々しく邪悪な、波動オーラのプレッシャーを放っていた。


その気配は瞬く間に玉間全体を包み込んだ……。

そして、エリス姫は銀河帝国メルディアスと地球の《運命》を左右する選択を決断したのだった。


その頃――地下に存在する小奇麗な部屋で一人の女性が祈りを捧げていた。

その姿はギリシャ神話に出てくる女神・ヴィーナスに匹敵するほど、

いや嫉妬してしまうような美しさだった。


ただしかし、どことなく『容姿』が誰かに似ている。

「失礼いたします、エミリア様。聖断のガンマは機動戦艦ノアの部隊に敗北。


ノアはそのままこのメルディアスに向かってるとのことです! その際、行方不明でした。聖騎士マリアこと、エクスカリバー・クィーンナイトも健在です」


「報告、ありがとうございます。いよいよですね……。地球と、私たち銀河帝国メルディアスが歩む運命の行方。そして、我が一族……エリスと私の宿命にも決着を……」


エミリア目は閉じたまま、一人寂しげに呟いた。

そして、そのまま『エミリア』を形作る遠い昔の記憶が呼び起こされた……。


「みてみて、エミリアお姉様! あのお星様!」

「もうエリスったら、そんなにはしゃいではしたないですよ!」


幼い少女たちは、勢いよく階段を駆け昇り楽しそうに光輝く宇宙の星々を指していた。


「おやおや、随分にぎやかで」

「元気なのはなによりじゃ!」


二人の両親の皇帝陛下と后仲睦まじい様子を見て、幸せを感じていた。

そんな暖かくもあり、大切で儚いエミリアの思い出。


「はぁはぁ。少し待って……」

「え、エミリアお姉様。大丈夫?」


息苦しいそうにしている姉、エミリアの姿を見かねて、妹のエリスは気遣い歩幅を緩めた。そして、そっとエリスはエミリアの手を握った。


「綺麗で蒼い星ね、エリス。とてもいいわ~」

「そうでしょ、エリスお姉様? 私がこないだお父様に教えてもらったの」


特殊な望遠鏡を使用すると、緑豊かで繁栄している銀河帝国メルディアスと

うり二つの《蒼い星》が見えた。


この奇跡の星こそ、太陽系に存在し飛鳥たちが生きている地球なのだ。


「へぇー、お父様が。そしたらエリス。私たちはあの星に負けないよう、美しさと豊かさを二人で築き上げ、メルディアアスを守っていきましょうね?」


このとき、幼き二人の姉妹は『銀河帝国メルディアス』の未来の繁栄を誓った。

しかし、幼き二人の姉妹の幸せで優しい刻は短かった。


暗雲が迫るなか二人の姉妹の父である皇帝は、立派に銀河帝国メルディアスを治めていた。

古来より銀河帝国メルディアスは形式上、皇帝が存在していた。それでも、貧富の差もなく平等の秩序を


守り抜いて、二人の父の皇帝は国民に愛され支持されていた。

だが、突如として――平和は崩れ去り、皇帝陛下と后は病魔に侵され他界した。

詳しい死因も判明されず、この真相は迷宮入りされた。


そして、その悲しみの波紋は国民だけではなく『第一皇女エミリア』に現れた。

もともと、体が弱く病弱だったエミリア。両親の死をきっかけ心身ともに弱っていた反動で『両目の光』を失ってしまった。


そんなとき、若かりし黄金騎士ザードが世論に驚愕政策を打ち出した――。


「第一皇女エミリア様は両陛下の死の悲しみにより、銀河帝国メルディアスの未来を見通す光を失われました。よってこの星の次なる覇者はエリス様こそが相応しい方だと、

ザードは熱望いたいます」


このときばかし、ザードの発言を聞いていた、周りの人間は我の耳を疑った。

古くから前皇帝に仕えていた、家臣、騎士たちも同じように驚愕した。


「え、エミリア様はその……。だ、だが一致団結して我々が支えていけば!」

「ザードよ。さすがに【聖騎士長】として認可できん」


先代から聖騎士長の称号を継承した“若き日のバーン”や黄金騎士たちも、聖寂のザードの暴挙に納得できないでいた。しかし、当の本人はと――。


「わ、私が……。この『銀河帝国メルディアス』の次期皇帝……。で、でも、私ではなくエミリアお姉様は……」

「なにを仰いますかエリス様。いや、エリス姫様! あなたこそが亡き両陛下の遺志を

受け継ぎ、大好きなエミリア様に光輝く未来を照らすお方なのですよ」


ザードは言葉巧みに幼き姉妹の心を揺さぶり、上手いことエリス姫を自分の口車に乗せた。

そして《最終権限》を持つ、エミリアに同意を求めた。


ザードの問いかけに対して、エミリアは静かに頷いた。瞳に光を失いながらも、頬から

聖なる滴を頬から流して、エミリアは唯一の肉親である妹、エリスへ覇道を歩ませた。


「ごめんね、エリス。お姉ちゃんがもっとしっかりしていれば……。

だけどエリスなら、きっとお父様やお母様が目指した……」

「エミリアお姉様。私は大丈夫だから安心して。必ずお父様とお母様の

遺志を受け継ぐから。だから……」


――この瞬間、エミリアは皇帝の継承権を妹、エリスに委ねた。

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